第34話 第三王子は魔物をみる!
「ええ、そうよ。もしかしたら、いや、確実に魔法が戦争の道具にもされるわ」
「…………………………」
僕は理想と現実の狭間に言葉を見つけることが出来なかった……
善と悪の心に打ちひしがれる『シュウ』です。
「そうかもしれないけど、僕はみんなを幸福にする魔法の未来を信じたい!」
僕はただの甘ちゃんだ…… でも、これが、僕の本心だ!
「シュウ君ならそう言うと思っていたわ。意地悪なこと言ってごめんなさい……」
――エリスもずっと理想と現実の狭間で葛藤して来たのだろう……
「別に謝ることないさ。エリスが言ったこともまた事実だと思うし」
「そうね。でも、魔法の未来が明るくなると良いね!」
「うん!」
「じゃ、急いで食べて出掛けましょう」
「了解!」
僕たちは朝食を済ませて、出掛ける準備をした。
「レイニー、ここのトイレってどう思う?」
僕は何気もなく聞いてみた。
「水洗トイレって良いですね。匂いもほとんど気になりませんし、トイレットペーパーも気に入りました。フロンシニアスに帰りたくないですね」
「それは言えてる。ここにある水洗トイレは前世、前々世の日本にもあったんだよ。」
「さすが! じっちゃんですね」
「それは言うな!」
「じゃあ、エリスの所に行こうか?」
「もう、エリス様はお待ちになっていると思いますよ」
「それじゃ、急がなきゃ!」
玄関に着くとエリスとレーニャさんがすでに待っていた。
「エリス、遅くなってゴメン!」
「私たちも今来たところだから大丈夫よ」
「遅いですよ。 似非、婚約者のシュウ様」
「似非って…… まぁ、確かに今は似非だよなぁ……」
「ゴメンね。シュウ君、レーニャの口が悪くて! レーニャもそんなこと言わないの!」
「では、心の中で呪います」
「では、私も心の中で呪います」
「…………………………」
――ダブルで呪われちゃったよ…… 恐るべしレーニャ&レイニー最凶コンビ!
「もう、二人とも!」
「エリス、僕は大丈夫。もうこの最凶コンビに慣れてるから……」
「シュウ君、本当にゴメンね!」
「気にしなくても良いよ。それで、どこから行くんだい?」
「処理場から行こうと思うの」
「エリスに任せるよ」
「じゃあ、瞬間移動」
一瞬で大きな建物の前までたどり着いた。
「ここが処理場よ。みんな入るわよ」
エリスの案内で建物の中に入った。白を基調とした室内、清潔感漂う感じだった。
「ここはロビーでこの先が処理場の心臓部よ! 驚くわよ!」
エリスはロビーから奥に続く通路を歩きはじめ僕たちはエリスに続いた。通路の一番奥に着き扉があり、
「ここが心臓部よ」
そう言って、エリスは扉を開けた……
「「――――!?」
「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! なんじゃ、ありゃーーー!」」
僕とレイニーは今まで見たことが無い非現実的光景が広がった――
そこには、テニスコート1個分のプールが30個あり、得体の知れない透明なぶよぶよした物が大量にうごめいていた!
「エリス! あの透明なぶよぶよした物はなんなの?」
「あれは、『水スライム』という魔物よ」
「「ま、まものぉーーーーーー!」」
――マジか!? マジで!? マジだ!! SH〇W TIME!
「マジで居たんかい!? 魔物水スライム!」
「キモー! キモー! キモー! 似非婚約者! キモー!」
――途中、レイニーのヤローから何か雑音が聞こえたような……
「水スライムは汚れた汚水を浄化して綺麗な水にしてくれるの」
「ハァ! ハァ! ちょっと驚きすぎて興奮しすぎたよ!」
「私も初めて魔物を見ました!」
――さすがに、自称『クールビューティー』のレイニーさんも驚いたようだ……
「ここ、ハルタンは各地域に下水道が通っているの。家から出た汚水は下水道を通って処理場に集められ、ここで、浄化され綺麗になった浄化水はこの先にある川に流されるわ。そして、海に流れて行くのよ」
「確かに汚水が集まって来てる割には汚水の臭いが少ない!」
「水スライムが頑張ってくれているのよ! テイムされた魔物は村民には無くてはならないものなのよ! 凄いでしょ?」
「村の中に魔物がいるってこういう事か、確かに凄いな!」
――結構、魔物って、村に普通に居たんだな……
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