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第33話 第三王子は朝食をいただく!

三竦(さんすく)み状態の食事がスタートし、足がガクガクブルブルの『シュウ』です。





何とか無事、夕食が終わりエリスと共に部屋へ戻った。これも全て三竦(さんすく)みの為、お互いを牽制しあい無難な会話だけで済んだのが救いだった…… 何を食べたのか、味の記憶もないけど……



『コン コン』


「エリスです。今良いかな」


「どうぞ」


エリスは部屋に入り、ソファーの腰を掛けた。



「シュウ君、明日の事だけど、どこか見てみたい場所とかあるかな?」


「気になる所が2ヶ所あるんだ」


「どこなの?」


「農村部とトイレの汚物がどうなっているかを知りたいんだ」


「農村部とトイレの汚物?」


「フロンシニアス王国の農村と王都とか都市と呼ばれる場所との貧富の格差が酷いんだ。それと、トイレ事情とか何とかしてあげたくてね」


「そうなのね」


「少しでも人の役に立ちたくて」


「それじゃ、明日は農村部と下水をどうしているか見に行こ!」


「ありがとう。そうしてもらえると助かるよ」


「明日が楽しみね」


「あと、この近くで泊まれるところを教えて欲しんだけど?」


「んっ!? そういう場所はハルタンにはないわよ」


「――!? そうか! 旅人とか来ないから宿がないんだ!」


「ええ、そうよ」


「じゃあ、今日からテント生活だな」


「テント生活?」


「さすがに若い女性の家に泊まるわけには行かないよ」


「それなら大丈夫よ! 何かあった時は魔法でぶっ飛ばすから! だから泊まっても良いんだよ!」


「えっ!? 良いの?」


「もちろん! 良いわよ。それにテント生活でもさせたら私がお母様に怒られるわよ」


「ありがとう! エリス! そうして貰えると助かるよ」


「シュウ君、今日はいろいろあったからゆっくり休んでね」


「うん! ありがとうね」





――こうして、長い一日が終わった……





「おはようございます。ロッシュウ様。起きて下さい。朝ですよ」


「ん~、もう朝か…… おはよう。レイニー」


「もうエリス様は、起きられて食堂におられますよ」


「じゃあ、準備が出来しだい食堂に行くよ」


「では、急いで下さい」


そう言ってレイニーは部屋から出て行った。僕は急いで食堂へ向かった。



――今朝のレイニーはいつものレイニーと違和感を感じる…… まさか、きのうは『さん』付けだったのが『様』付けに戻っていた…… ヤローに何があったんだ!



食堂に着きエリスが一人で朝食を食べていた。


「エリス、おはよう! あれ、ご両親はどうしたの?」


「あっ! シュウ君、おはよう! さぁ、座ってご飯を食べながら話すわ」


「じゃ、お言葉に甘えさせてもらうよ」



僕が座ると朝食が運ばれて来た。昨日は料理の味も感じない状況だったから料理の味を味わえると思うと普段エリスがどんな物を食べているか気になる。


運ばれて来た料理は、柔らかい白パン、これは! ちゃんと小麦を精製したものだ。シニアス学園では健康の為に雑穀を混ぜたパンだから香ばしいがパサパサしている。


あとは、目玉焼きに野菜サラダとスープどれも美味しそうに見える。

テーブルの上には調味料が並んでいる。



――まさか!? 醤油か!? ソースもある!? マジか?



「エリス! これはまさか、醤油とソースか?」


「ええ、そうよ。エリス・フォンティーヌ様の知識よ! みんなと一緒に開発したのよ」


「懐かし過ぎる! これはすごいよ! エリス!」


「えへへ。シュウ君、ありがとう。そこまで喜んで貰えると嬉しいよ!」


「あっ! ご両親の話しをしてたんだよね」


「お母様とお父様は魔境の森へ出掛けているわ」


「こんなに早く?」


「森の中に人が迷い込んでいるみたいなの」


「人が迷い込んでいる?」


「そうよ。時々だけど成長と共に魔法が使えるようになる人がいるの。そういう人達が本能的に魔女の村ハルタンに集まってくるのよ」


「本能的に……」


「だからお母様とお父様が迷い込んで来た人たちを保護しに行くのよ」


「そういうことがあるんだ」


「あとは可哀想だけど飢餓や貧困で子供を育てられない親たちが子供を捨てて行くの……」


「そんなことがあるのか!」


「これが現実よ……」


「…………………………」




「お母様とお父様がそういう子供も保護して村のみんなで育てているのよ」


「そうなのか……」


「夢物語かもしれないけど、他の国が魔法の理解や魔女の村ハルタンと友好的になれば、この大陸全体が豊かになるんじゃないか?」


「そうなれば、みんな豊かになるかもしれないけど、中には魔法を悪用しようとする人たちもいるのよ」


「――魔女裁判のことかい?」


「ええ、そうよ。もしかしたら、いや、確実に魔法が戦争の道具にされるわ」


「…………………………」


僕は理想と現実の狭間に言葉を見つけることが出来なかった……


お読みいただき誠にありがとうございます。

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