第32話 第三王子は婚約する?
「ん~、エリスも満更でもないみたいだし、あなた達、お似合いだし結婚でもしたら? ん~、結婚はまだ早いから、そうね、婚約が良いわね!」
「「――――――――!? えっ!?」」
いきなり婚約を提示されて固まる『シュウ』です。
「突然、何言ってるの? お母様っ! シュウ君も固まってるじゃない!」
「ウフフ、シュウ君はエリスと婚約出来てうれしいのよ。」
「お母様、それは違うと思う…… シュウ君も何か言ってよ!」
「…………………………」
エリスは僕の腕を揺さぶった。
僕は我に返り何と言って良いか考えたが咄嗟に
「こんな僕がエリス嬢と婚約なんてエリス嬢に失礼に当たります! それに僕はフロンシニアス王国第三王子です。国王の許可なく勝手な真似は出来ません!」
「な~に~! うちのエリスはでは不満だと言うんかい! 婚約は認めんが何が不満だ!」」
――お父上様、復活! パワー! パワー! 婚約させたいのか、させたくないのか、どっちなんだい!
「あなたは黙ってて!」
「シュン……」
お母上様に睨ませてお父上様は大人しくなった…… お父上様ちょっとかわいそう……
「それもそうね。じゃあ、あなたのお父上に許可を貰ってきなさい。エリスはシュウ君との婚約は嫌なの?」
「嫌じゃないけど、いきなりすぎるよ!」
――お母上様、突然の無茶ぶりがひどいです……
「あなた達は、ロッシュウ・ルーン・アルパトス様とエリス・フォンティーヌ様の生まれ変わりだものきっとうまくいくわよ!」
「あの、そう言う問題なのですか?」
僕はお母上様に聞いてみた。
「あなた達の運命の出会いを信じなさい」
「「はぁ~」」
僕とエリスは何とも言えない状況に困り果てたが、僕はエリスの耳元で、
「ごめんよ。まさかこんな展開になるなんて……」
エリスも僕の耳元で、
「お母様が勝手に話しを進めちゃってごめんね」
「お前らー! 離れんかぁー!」
――お父上様、2度目の復活! 2度あることは3度あるって言うからな……
お父上様は僕とエリスの間に入り僕たちを引き離した。
「あなた!」
「シュン……」
お母上様にまた睨ませてお父上様は大人しくなった…… パブロフの犬なのか!?
「2人とも明日はデートと言うことでよろしくね!」
「お母様っ!」
エリスでもお母上様の暴走は止めることは出来ないらしい……
「じゃ、夕食まで2人とも部屋で休んでなさい」
「「――ハイ」」
――やっと、僕たちはお母上様から無茶ぶり地獄から解放された……
「エリス、大変なことになったね」
「ええ、お母様が…… ごめんなさいね」
「いきなり、婚約だからね」
「シュウ君、あのね、婚約とか嫌なの?」
「そ、そんなことないよ! エリスとなら大歓迎だけど」
「うれしい!」
エリスは僕の腕にしがみ付いてきた。
――お胸様が…… 当たらない!? 僕だけの秘密にしておこう……
「エリス様、そいつにそのようなことをしてはいけません! それはゴミです!」
「そうです! そいつにそんな価値はありません! ゴミはゴミ箱へ!」
――ひどい言われようだ…… さすが、レーニャ&レイニー最凶コンビ、いつにもまして風当たりが強い!
「実際問題、父上になんて言えば良いのか……」
「ん~それは、あとで考えましょう。今は少し休んだ方が良いわ」
「エリス、ありがとう」
「「まさか、エリス様こんなことになるとは嘆かわしい……」」
――いい雰囲気を壊しやがって、レーニャ&レイニー最凶コンビ! わざとやってるだろ!
エリス達3人と別れ部屋に戻った。
ソファーに横になり今日一日の事を思い出していた。魔境の森から天地創造の神・ネキザアニウス様、大魔導神・ハルタン様、大賢者・エリス・フォンティーヌ様、大魔導士・ロッシュウ・ルーン・アルパトス様、魔女、魔法、魔女の村『ハルタン』、エリスのご両親、そして、婚約…… 正式じゃないけど……
◇
『コン コン』
「シュウ君、夕食の準備が出来たみたいよ」
「ああ、エリス。ありがとう」
僕とエリスは食堂へ向かった。勿論、エリスの後ろにはレーニャ&レイニー最凶コンビが付いてくる。
食堂に着き、辺りを見渡すと天井照明が豪華なシャンデリアになっており、テーブルには白いテーブルクロスが掛けられ豪華な料理が並び、ナプキンの上にはナイフ、フォーク、スプーンを置いてあり、すでにエリスのご両親が席についていた。
ご両親の対面側に僕とエリスが座り、ここでは、フロンシニアス王国のテーブルマナーは邪道過ぎて使えない。前々世の記憶の記憶を頼りに食事が始まった。
お父上様は何故か僕を睨んでる。そのお父上様が悪さをしないかお母上様が睨む、そのお母上様が爆弾発言をしないかエリスが睨む三竦み状態の食事だった。
実は、正確的には僕がどこにも睨むところが無いので三竦み状態にはならない……
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