第30話 第三王子はご両親に会う!
便器を抱いて
「お前に会いたかったぞー! もう会えないかと思ってたんだぞー!」
洋式トイレに執着をする『シュウ』です。和式トイレも忘れないよ……
「シュウ君、お母様とお父様のあいさつ大丈夫?」
「大丈夫であります! 失礼の無いように気を付る所存です。」
「ロッシュウさん。存在そのものが失礼ですけど」
「レイニーさん、あまり毒舌が過ぎると院部異陀阿夏獲威夢の闇に落としますよ」
「私には相棒の『フレイル』がありますから撲殺です」
――相棒の棒とフレイルの持ち手の棒を掛けてるのかな? レイニーさんが段々ヤベー人になってる気がする……
「ロッシュウ様。本当に気を付けて下さいね。姫様が疑われますから」
「ハイ……」
レーニャさんの辛辣な一言が一番辛い……
エリス、レーニャさん、レイニーさん、遠く離れて僕の4人でエリスのご両親のお部屋へ向かっている。
――因みにこの並びはカースト制度による差別である…… この世界は理不尽で出来ている……
◇
「ここが、お母様とお父様のプライベートルームよ」
「えっ! 応接室とかじゃないの?」
いきなりのご両親プライベートルームにご案内ってどういう事?
「お母様が、シュウ君が緊張しないようにって、この部屋を指定したの」
「ご配慮、ありがとうございます」
「言葉が固いわよ。どうしたの?」
「ちょっと緊張しちゃって」
「「ここでボケないんですね」」
「僕はツッコミ担当でボケ担当じゃないですよ」
レーニャ&レイニーコンビは僕に何を求めているんだろう……
エリスがノックをし、
「エリス只今、戻りました」
「エリスね。どうぞ、入って」
女性の声が聞こえた。この女性がエリスの母上なのだろう。
ドアを開けるとその先には上がり框がありさらにその先には障子の引き戸になっていた。
上がり框で靴を脱ぎ、エリスは床に両膝を付き、
「失礼します」
と言ってから両手で引き戸を開けプライベートルームへ入って行った。それに僕たちも続いた。
「失礼します。 ――!? 畳!? 床の間!? 折脚和風座卓テーブル!? わ、和室!?」
プライベートルームは和室になっておりご両親が座っていた。
「ロッシュウ殿、どうなさいました?」
エリスのお母上様であろう女性から声を掛けられた。
「大変失礼いたしました。和室があるとは思わず……」
「どうぞ、みなさんも座って」
エリスのご両親が上座、エリスと僕は下座、レーニャさん、レイニーさん両脇という配置になった。
エリスのお母上様は綺麗な銀髪碧眼で僕の母上と対峙するくらいの美人さんでお父上様も金髪碧眼でイケメンだ。エリスは僕と違いご両親の良いとこを受け継いでおらっしゃる…… 僕の父上も母上もイケメン、美女の理想のカップルで全然悪くないのは承知している。しかし、なんでここにいる僕だけがモブ顔なんだろか……
「シュウ君だっけ? そんなに緊張しなくても良いわ。ここはプライベートだから楽にして頂戴。それとシュウ君、いつもエリスが世話になっているみたいでありがとうね。私がエリスの母親のアリエス・フォンティーヌよ。私の事はお母様と呼んでね。」
「――!?」
「私のとなりが夫の……」
「マルクス・フォンティーヌだ。絶対にお父様とは呼ぶなよ!」
「――はぁ~!?」
――お父上様から速攻で敵認定されました…… 会った瞬間に敵認定って…… まぁ、娘を持つ父親としたら心中穏やかじゃないことは想像できるが、いきなりの敵認定は僕のHPを0にするくらい辛い…… がここは引いてはいけない!
「フロンシニアス王国第三王子ロッシュウ・ニオ・アルパトスです。こちらこそ、エリス嬢にはいつもお世話になっております」
「おまえ! 私のかわいいエリスちゃんにいつも世話になっておるんかぁ!」
――まさかのお父上様がブチギレ状態! 狂戦士にクラスチェンジされました……
「い、いえ、そのような意味では……」
「どういう意味じゃい! 言ってみろ!」
――さらに狂戦士モードを発動されました…… 敵認定からの狂戦士モードのコンボ…… 悲しい(泣)……
「――!? ぐふっ」
お父上様がその場に倒れこみ悶絶している! 一体なにが!?
「あなた、少し黙ってもらえる――」
お母上様の目が氷のように冷たい…… 多分、お母上様がお父上様に何かしらしたのだろうと思うが、お母上様だけは絶対に敵に回してはいけないと僕の第七感が警報をつげる……
「ごめんなさいね。うちの主人たらエリスには目が無いのよ。この人ったら狂戦士にクラスチェンジまでして、恥ずかしいわ」
――!? マジで狂戦士にクラスチェンジしてたんかいっ!?
フォンティーヌ家! こ、怖すぎる…… 魔女が恐れられていたのがわかった気がする……
「ところで、シュウ君。あなたって、大魔導士、ロッシュウ・ルーン・アルパトス様の生まれ変わりなのよね? エリスから聞いているわよ」
「ええ、エリス嬢から私も、その様に聞いております」
「どうりで魔力量が多いわけね」
「はぁい!? 私に魔力があるのですか?」
「あるわよ」
「――!?」
お母上様は当然と言った感じで答えた……
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