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第29話 第三王子は泣く!

『大魔導神・ハルタン』と『大賢者・エリス・フォンティーヌ』の出会いの物語


いじめられ公爵令嬢と転移たぬきの魔法 ~おまえらに俺のばけ学を見せてやる!~

完結済みです。

「まさか、エリス。 君も…… 転生者なのか?……」



衝撃! エリス転生者疑惑に迫る!? プロデューサーの『シュウ』です。



エリスの回答を緊張しながら待った。


「――シュウ君、私は残念だけど転生者じゃないわ」


「――!?」


「私が大賢者・エリス・フォンティーヌ様の生まれ変わりの話しをしたわよね」


「うん、その話しはちゃんと聞いたよ」


「私にはエリス・フォンティーヌ様の記憶はないわ。だけど、知識だけは覚えているの」


「エリス・フォンティーヌ様は日本からの転生者?」


「いいえ、転生者と言うよりは転移者はハルタン様よ」


「――!? たぬきのハルタン様が転移者!? んっ! 転移だぬき?」


「ハルタン様が転移者でも転移だぬきでも構わないけど…… 天地創造の神・ネキザアニウス様は大魔導神・ハルタン様をこことは異なる世界、日本と呼ばれる国から召喚されたの。」


「たぬきのハルタン様を召喚? 普通は人間じゃないのか?」


「ハルタン様はたぬき(ゆえ)に魔力が異常に高く『100年に一匹の天才』と呼ばれていたそうよ」


「…………100年に一匹の天才!?」


「そうよ。そのハルタン様がエリス・フォンティーヌ様が魔法の修行に明け暮れている途中で亡くなられたの。エリス・フォンティーヌ様な悲しみはとても深いものだと聞いているわ。ハルタン様の死後、エリス・フォンティーヌ様の生活は一変したそうよ」


「………………」


「魔法が使えず同級生からいじめられていた生活からいじめていた同級生からの謝罪、ロッシュウ・ルーン・アルパトス様との婚約。全てが良い方向へ変わったのね。」


「………………」


「どう考えてもおかしい状況にエリス・フォンティーヌ様はハルタン様が状況を変えるような事をして、その代価の為に命を落とされたと考えられたのよ。またハルタン様に会いたい一念からさらに過酷な魔法の修行を積まれたの」


「――!? たぬきのハルタン様スゲー……」


「エリス・フォンティーヌ様は修行の果てに極大究極魔法『感応道交(かんのうどうこう)』を得られたのよ。感応道交(かんのうどうこう)って言うのは、現世と神の世界と交信できる魔法だと思ってくれたら良いわ」


「――!? たぬきのハルタン様スゴイけどエリス・フォンティーヌ様もスゲー!」


「そうなのよ。これまで感応道交(かんのうどうこう)の魔法が使えたのは、エリス・フォンティーヌ様ただお一人よ」


「エリス・フォンティーヌ様、パネェっす!」


「シュウ君、さっきから何語を言ってるの?」


「あ、あの、すみません……」


「話しを続けるわね!」


エリスに睨まれた……

 

感応道交(かんのうどうこう)の魔法を発動されたエリス・フォンティーヌ様はついにハルタン様と交信が出来たそうよ。その中でハルタン様はご自身が何で亡くなったかは語ってくれず、代わりに日本の事を教えて下さったのよ。そのお陰でティーファンド王国の文明は発展したけど、王国の滅亡でその文化も文明も廃れてしまったの」



――僕はローマ帝国が滅んだ後、当時最高峰の文化、文明を衰退させ、低レベルまで落とした暗黒の中世ヨーロッパ時代を思い出した……



「それで、エリス・フォンティーヌ様の得た知識を私が活用させてもらったのよ。ところで、シュウ君は浴場を見て日本の事思い出した?」


「ああ、日本の銭湯と同じ感じで日本を思い出して懐かしかったよ」


「そう、それは良かったわ。作ったかいがあったわ! 普段はメイドさんとかみんなで入ってるの。時々、私もお邪魔させてもらってるわ」


上機嫌で喜ぶ二人を見て、エリスは誰とも仲良く出来るんだなぁ…… 


「ところでエリス他にはどんな物を作ったんだい?」


「そうね~。一番の自慢はお風呂だけど2番目はトイレかな。シュウ君もトイレに行った? もし行ってなかったら行ってみて、ビックリするわよ」


「あとで、行ってみるよ」


「あっ、もう少ししたらお母様に帰郷の挨拶に行くからシュウ君とレイニーさんも一緒にお願いね」


「了解。その時は声をかけて!」





こうして、僕はエリスの部屋から退室した。そして、急いで共同トイレに向かった!



「――!? 全部個室になってる!」



早速、個室の中に入ってみた。


「す、す、水洗トイレ!? し、し、しかも洋式!? マジか! トイレットペーパーまで! 換気扇まで付いてる!?」


どんな構造になっているか気になるところではあるが、僕は床に膝をつき便器を抱きしめ声を出して泣いた…… 


「うおおおおおおおお!」


「お前に会いたかったぞー! もう会えないかと思ってたんだぞー!」



僕はこの世界のトイレだけは不満があった。プライバシーも何もなく、葉っぱやヘラでお尻を拭く悲しいトイレ! 紙は高いからって使わせてくれなかったのに、ここには便器もトイレットペーパーも壁も換気扇もある! 凄いぞ! ハルタン様! エリス・フォンティーヌ様! ありがとう!


銭湯風お風呂も水洗トイレも13年ぶりに会えて感動した!――


感動で涙を流しながら部屋まで帰って来た。前世、前々世ではどれも当たり前だった事が実は当たり前では無かった事、普段の生活がどれほど恵まれていた事をこの世界で嫌というほど味わってきたか……


「レイニーも銭湯風お風呂も水洗トイレも見たら驚くだろうなぁ」


「私は満足です!」


――!? び、びっくりした!?


「いつの間に居たんだ! レイニーさん!」


「先ほどより居ましたが」


「全然、気が付かなかったぞ!」


「ロッシュウさんが抜けてるかも知れませんね」


「ぐぬぬぬぬ……  ところで、レイニーさんなんの用?」


「エリス様がロッシュウさんをお呼びになっておりましたのでお迎えに上がりました」


昨日までエリスさんと呼んでいたのに、次の日にはエリス様! 僕に対しては『様』から『さん』へ、ヤローの忠誠心の手のひら返しクルクルは、誰にもまねは出来ないと思う……


お読みいただき誠にありがとうございます。

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