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第28話 第三王子はお屋敷の中で!

ついに来ました! エリスのお宅訪問のお時間です。玉杓子(おたま)を持ち、晩ごはん時を狙って突撃です。某テレビ番組のようにエリス宅の晩ごはんを蹂躙してやるです。と考えている『シュウ』です。



エリスが玄関の扉を開けると両脇にメイドさん達が並んでいた。そして、


「姫様、お帰りなさいませ」


一斉にエリスを迎える。


「ただいまー! みんな元気だった?フィールド・レーミーのクッキー買ってきたからみんなで食べてね!」


「「「「「「「「「「ハイッ!」」」」」」」」」」


「エリス様。お帰りなさいませ。長旅お疲れさまでした。すぐに湯浴みを準備させますので、準備が整うまでお部屋でお休みくださいませ」 


執事と思われる中性的な顔のイケメンがエリスのカバンを受け取った。そして、僕たちに目を向け、


「これは、ロッシュウ・ニオ・アルパトス殿下とレイニー殿ですね?遠路はるばるお出で頂きましてありがとうございます。

私、執事長を勤めております。『メリー・サンゴランド』です。お見知りおきを…… 長旅でお疲れと思いますのでお部屋を準備してございますので、今、ご案内させていただきます。何かご用が御座いましたら遠慮なくメイドにお申し付けくださいませ」


「お招き頂きありがとうございます。フロンシニアス王国第三王子ロッシュウ・ニオ・アルパトスです。よろしくお願いします」


「ありがとうございます。フロンシニアス王国第三王子ロッシュウ・ニオ・アルパトス殿下、専属メイドのレイニー・エントランです。よろしくお願い致します」



執事長のメリー・サンゴランドさんとの挨拶を済ませ、客室へ案内された。当然レイニーとは別々の部屋である。これまでの事をレイニーの質問攻めにあわなくて助かった。僕だって今日の出来事があまりにも自分の常識からかけ離れ過ぎてまだ、パニックを起こしている。


「はぁ~、今日はいろんな事がありすぎて疲れた……」


ソファーでまったりしていると


『コンッ コンッ』


ドアのノックがなった。ドアの外からメイドさんが声を掛けて来た。


「ロッシュウ殿下。湯浴みの準備が整いましたのでお知らせに上がりました。ご案内させていただきます」


「ハイ! わかりました。ありがとうございます。」


僕はドアを開け廊下に出ると、


「――!?」


「シュウ君、お風呂の準備が出来たわよ」


そこに居たのはメイド服を着たエリスとメイドさんだった。


「ど、どうしたの!? その恰好?」


「私のメイド服!どうかな? 似合う?」


「ああ、とても似合うよ! 超かわいい!」


「ねぇ、聞いた! 超かわいいですって!」


「えぇ、確かに聞きましたわ。姫様、良かったですね」


「あの~これはいったい?」


「ちょっと、シュウ君を驚かせようと思って!」


「いきなりメイド服で現われるとは思ってなかったから驚いたよ」


「姫様、ドッキリ大作戦、大成功ですね!」


「ありがとう。これもあなたの協力のおかげよ! レーニャ!」


エリスとメイドさんはドッキリ大作戦の成功に手を取り合って喜んでいた。

僕としては驚かされたけど、エリスの可愛いメイド姿が見れて最高にラッキーだった……   それに、エリスもドッキリ大作戦が成功して機嫌が良い! お互い大満足な感じだった……


「そうです! それより姫様、湯浴みのご案内を」


「そうだったわ。忘れてたわ! シュウ君、浴場まで案内するわね」


「ありがとうエリス。今、着替えを準備するからちょっとだけ待ってもらえるかな?」


「あっ、そうね。じゃ、廊下で待っているわね」





着替えの準備も終わり浴場の脱衣場まで案内してもらったが、僕が服を脱ごうとしてもエリスとメイドのレーニャさんが二人並んで一向に脱衣所から出て行こうとしない。


「あの~今から服を脱ぎたいんだけど……」


「どうぞ、私たちにはお構いなく」



――レーニャさんがとんでも発言をしてきた。 何となくレイニーさんと同じ匂いがする……



「僕が気にします。お願いですから出て行って下さい!」


『チェッ』


レーニャさんが舌打ちをし、不満げな顔で二人は渋々脱衣場から出て行った。


――僕、一応お客様なんですけど…… やはり、レーニャさんはレイニーさんと同類、いや、レイニーさん本人かもしれない……



僕はエリスとレーニャさんがのぞきをしていないか周囲に目を配り裸になった。そして、浴室への引き戸を開け入った――



「――――!?」




日本の銭湯だった! 大きな湯船にシャワーが完備され、日本の銭湯そのまま光景だった! 



――ただ違ったのは銭湯と言えば定番の日本一の富士山の大きな絵がない! 確かに絵はあったが長い髭を生やした老人とたぬきが仲睦まじく戯れている絵なのだろう、ネキザアニウス様がたぬきのハルタン様をモフモフされて表情が死んでいるたぬき…… なかなかシュールで味のある絵だった……   



「おぉ、シャンプーとボディーソープまで有る!」

身体の隅々まで洗い、この世界に生まれてここまでスッキリした事は無かった。

誰もいない浴室で一人、大はしゃぎでお風呂を堪能した。


最後にとまた湯船につかり自然に声が漏れた。


「はぁ~、帰りたくないよぉ~。やっぱり日本人はお風呂だよなぁ~! ――!?

なんで! 日本の銭湯がこの世界にある!? 日本人の知識がなきゃ出来ないはずだ! ここに日本からの転生者がいるかもしれない!」


急いでお風呂から上がり、エリスに会いに行った。廊下ですれ違ったメイドさんにエリスの居場所を聞き、案内してもらいエリスの部屋の前まで来た。ノックをし、


「エリス。今、良いかな? 少しだけ話せる?」


「良いわよ。どうぞ、中に入って」


本当は、身内でない者が女性の部屋に入ることはタブーなのだが今の僕には転生者がいるかいないかの方が僕にとって大問題だった。


「エリス。突然押しかけて申し訳ない。え~と、お風呂ありがとう。それでお風呂の件で聞きたい! あのお風呂、前世の世界、日本で『銭湯』と言われる大衆向けのお風呂だったんだけど、なぜ、この世界に存在するんだ? 日本人じゃなきゃ知らない知識だ! エリス教えてくれ!」


「あの浴場は姫様が考えられた物です。他にも姫様が発案されたのは沢山ありますよ」


レーニャさんはエリスが考えた物だと教えてくれた。


「まさか、エリス。 君も…… 僕と同じ転生者なのか?……」

お読みいただき誠にありがとうございます。

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