閑話 大狂乱! サイドチェスト祭!
ついにやって来ました! 『サイドチェスト祭』! この日をどんなに待ちわびて来たか! ドキドキわくわくの『シュウ』です。
マリーのお屋敷に一号生の全員が集まり、『サイドチェスト祭出し物は何にする! 会議』と言う名のお茶会が開かれた。
様々な意見交換が交わされたが、『マッチョによるマッチョの為のマッチョな組体操』に決まった!
エリスは乗り気はなさそうだ。エリスのマッチョ嫌い疑惑が浮上した! まぁ、後でエリスに聞いてみよう。
僕たちは休み時間やホームルームを利用し組体操の練習と筋トレに励んだ!
◇
そして、努力の結晶をお披露目をする場がやって来たのだ!
朝からみんな緊張の為かソワソワしている。
「おい! シュウ、聞いたか? 今年の三号生は凄いらしいぞ!」
ビルダーに声を掛けられた。
「聞いてる! 聞いてる! 今、その話で盛り上がっているところだ!」
僕の周りには、心の友パトリック、デッチャン、ダンベル、ヤス、サプリと三号生の出し物について話しに花を咲かせていた。
「おお、そうか! 何をするのかトップシークレットみたいでな。練習風景も非公開で警備員まで雇って監視していたらしいぞ!」
「マジか!? どんなのやるんだろ?」
「三号生は最後だからなぁ。まぁ、最後のお楽しみってヤツだ! そろそろ時間だぞ! グランドに行くか!」
そんな和気藹々とした時間か過ぎた…… まさか、あんな惨劇になるなんて誰にも想像できなかった……
『ドーン! ドーン!』
巨大大砲の空砲が鳴り響く、いよいよサイドチェスト祭がはじまった!
「私がトレスベン学院・学院長、ポウジン・グランドである! 生徒諸君の日頃の鍛錬を、この場に晒すがよい! 特に三号生にとって最後のサイドチェスト祭だ! 思う存分、気張れよ! 来賓の方々や親御さんに立派な紳士淑女になった姿を晒すのだぞ! 以上だ!」
――見てもらうじゃなくて晒すのかぁ……
ポウジン・グランド学院長のあいさつから始まり、一号生の出番となり男子生徒は上半身裸に下は学院指定の短パン、女子生徒は学院指定の半そで、短パン。
男子と女子に別れ組体操が披露された。筋肉に若さもあり紳士淑女としてはまだ役不足なようだったが、観客から大きな声援もあり、概ね好評だった!
二号生は、自慢の肉体を存分に活かした武踊だった!? 舞踊じゃないのかと思ったが、男女混合で踊るような仕草…… いや、ポージングをしながらの棒倒しを行うのだ! 舞踊と棒倒しを融合させた見事な武踊だった!
そして、最後のお楽しみ、三号生の出番となった。
ビキニパンツ、ビキニ姿で筋肉ゴリゴリの三号生は、グランド中央に集まり、横に6人そして、間隔を空けてまた6人並び、縦もある程度の間隔を空けて6人ずつ並び整列した。総勢72名の演技となる。
すると、校舎から2メートルは優に超える大筋肉男が現れ、司会の先生からマイクを受け取ると……
「三号生筆頭兼生徒会長のジャキ―・ダイゴウィンである! 来賓の方々、ご父兄おかれましては、我トレスベン学院サイドチェスト祭に足をお運び頂き感謝する。我ら三号生にとって最後のサイドチェスト祭となり、この三年間、鍛え上げられた肉体を堪能して頂きたい! では、サイドチェスト祭名物団体行動『院部獲陀阿夏慧夢印魔津猪!」
「ヤローども行くぞー!」
「おおおおおおおおっ!」
三号生は地に響く雄叫びを上げた! ジャキ―・ダイゴウィン三号生筆頭は一番後ろの空間が開いているセンターに立った。
――ビキニパンツ姿の大筋肉男のラスボス感がハンパない!……
訂正! 総勢72名ではなく、総勢73名の誤りでした。謹んでお詫び致します。
三号生の集団は、縦1,3,5列目が『フロントダブルバイセップス』 2,4,6列目が『モストマスキュラー』のポーズを決める。
ジャキ―・ダイゴウィン三号生筆頭は満面の笑みで『サイドチェスト右』のポーズを決めていた。
そして、軽快なミュージックが流れる。
『デ、テ、デ、テ、デ、テ、デ、テ、パギューン! パギューン! デ、テ、デ、テ、デ、テ、デ、テ、パギューン! パギューン! デ、テ、デ、テ……』
集団は軽快なミュージックのリズムに合わせて、右に1歩横に移動した瞬間! 縦1,3,5列目が『フロントダブルバイセップス』から『モストマスキュラー』へ2,4,6列目が『モストマスキュラー』から『フロントダブルバイセップス』へポーズを変え!
ジャキ―・ダイゴウィン三号生筆頭はまたも満面の笑みで『サイドチェスト左』に変えた!
ポーズを横に移動する度に交互にポーズを変え、右に5歩、左に10歩、そして、1歩前進、さらに右に10歩、1歩前進、左に10歩、1歩前進を軽快なミュージックのリズムに合わせ一糸乱れぬ動きで繰り返した!
「国立筋肉博物館!」
「上腕二頭筋ナイス! チョモランマ!」
「土台が違うよ!土台が!」
「美味しいメロン肩!」
「マッスルラーメン! 筋肉もりもり!」
「筋肉の徳が高すぎる! 前世で国でも救ったんか!」
「筋肉増税120%!」
「いい血管出てるよ!」
「肉詰まりすぎです密です‼ 筋肉は密でいいんだよ!」
「ケツのキレがバームクーヘン!」
「プロテインにイースト菌混ざってんのかい!」
「後ろにもマッチョいっぱい。劇場版無限マッチョ!」
「プロテイン飲んだシルバニアファミリーか!」
「ギャァァァァァァァァ!」
「筋肉国宝!国立アルラサンド美術館に展示したい!」
「手羽先の完全究極体!」
「マッチョの住宅展示場!」
「どんどん迫ってくるよ!マッチョの院部獲陀阿夏慧夢!」
――観衆から大々的な大絶賛と大歓声が上がる! 一部、悲鳴にも似た歓声が上がった!
軽快なミュージックのリズムは時間と共に、徐々に速くなった。それに合わせて移動速度も上がり観客の方へ近づいて行った…… その先にあるものは……
――そう! みんなが大好き! レイニーさんだった!
レイニーさんを見ると三号生の集団が1歩、1歩近づくたびにレイニーさんの顔は青から真っ青に、そして白くなった…… 最後に血の気が無くなり白眼となり、泡を吹き始めた!
レイニーさんはホント表情豊かだなぁと僕は微笑ましく眺めていた……
ビキニパンツ、ビキニ姿の筋肉ゴリゴリゴリマッチョ集団がレイニーさんの眼前に迫ると
「ヤメテユルシテクダサイアヤマリマスワタシワルクナイゼンイン〇ロス…… ふんぎゃぁぁぁ! 筋肉ダルマ全員こ〇す! 絶対にころ〇! 地獄の釜に送ってやるー!」
白目になったレイニーさんはついに壊れ、キレた!…… 三号生に打撃武器の『フレイル』を持ち出し、三号生にフレイルを振り回しながら追いかけ回し、暴れに暴れまっくった!
「ギャァァァァァァァッ! レイニーさんやめてー!」
「レイニーさん、落ち着いて! 話し合いしましょぉぉぉぉぉ!」
「全員! 退避ー! こっち来んなー!」
逃げ惑う三号生、トレスベン学院のグランドで異様な別次元の光景が繰り広げられ、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した……
――三号生相手に打撃武器の使用はさすがにマズイですよ。レイニーさん! 〇の中も相当の問題発言すぎてヤバイです! それに、レイニーさん、フレイルをどこから出した!?
結局、レイニーさんの阿鼻叫喚の地獄絵図の大暴れでサイドチェスト祭はさすがに中止になった……
因みに『フレイル』は柄の先に鎖などで打撃部を接続した打撃用の武器だ。打撃部には鉄球にトゲが付いている物もある。レイニーさんが使用したのも鉄球にトゲが付いた物だった…… レイニーさんはなんでも持ってるなぁ……
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