最終話 シュウとエリスの秘密!
最終話となります。
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エリスの唐突な質問に一瞬頭が追い付かないおバカさんな『シュウ』です。
「前の奥さんと幼馴染みのこと?」
「ええ、今シュウ君がどう思っているか確認しておきたいの?」
「奥さんになったエリスには申し訳ないと思うけど、ぼくは今でも妻を愛している…… でも、誤解しないでくれ。その気持ちと同じくらいエリスも愛してる…… お馴染みはきっと僕が生きてたら将来は一緒になってたと思う」
「シュウ君、ありがとう」
エリスは僕の腕にギュウっとしがみつきニコニコと嬉しそうに表情をしながら、
「あなた…… まだ気付かないの? 相変わらず鈍いわね」
「えっ!? 何を?」
「秀弥もう、あなたを離さないわよ」
「――!? えっ!? なぜ、その名前を……」
「私が誰かわかる?」
「ま、ま、ま、ま、まさか! 愛里か?」
「ピンポーン! 正解!!」
「ホントに愛里なのか?」
「あなたに嘘言って、誰が得をするのよ! じゃあ、これは? 秀ちゃん!」
「――ハァ!? なんで? なんで? その名前まで……」
「私よ、私。絵理華よ!」
「ハァァァァァァァァァア!? どうして? その名前を?」
「絵理華、本人だもん!」
「――!? 僕の頭の記憶でも見たの?」
「違うわよ。あなたの妻の愛里であり、幼馴染みの絵理華よ。そして、今世ではあなたの奥さんのエリスよ」
「い、一体どうなってるの? 頭がパニックになりそうだ……」
「何を言ってるの? もうパニックになってるじゃない」
「せ、せ、せ、せ、説明をして欲しい」
「じゃあ、みんな待ってるから歩きながら教えてあげるね♡」
「お願い…… します……」
「私も前々世と前世の記憶を持って、この異世界にエリス・フォンテーヌとして生まれ変わったの」
「どうして教えてくれなかったんだ?」
「あなたがいつなったら気付いてくれるのかなって、まあ、ちょっとしたイタズラよ」
「ちょっとどころじゃないよ! 僕にとったら大きなイタズラだよ」
「テヘペロ♡ 思い当たるヒントは結構あったんだけど、以外に気が付かないものなのかな」
エリスは満面の笑みで舌を出した。
――エリスの言う通りだ! 確かに気付いてもおかしくない。あの肉じゃがの味は思い出補正じゃなくて愛里本人の味だった…… 相撲もそうだった。愛里の相撲オタクの知識、BL好き、農業の知識,、そして、酒豪! 言われてみれば見るほどエリスは愛里だと確信した。
「じゃあ、エリス・フォンテーヌ様の記憶と知識は?」
「あるわよ。でもね、記憶と言っても思い出程度なもので大きくは影響しないわ。ロッシュウ様の記憶が甦ったあなたならわかると思うけど?」
「うん、確かに思い出程度で人格には影響してないしね」
「そう言うことよ」
「じゃあ、あの知識は?」
「前々世と前世の知識よ」
「――!? それにしてはハルタンは凄い発展してたよね?」
「魔法とか便利なものがあったからね。知識と魔法を組合わせたらどんなことも出来るからね。あなたのおかげでさらにいろいろ作ることが出来たからね」
「日本の知識を持った人間が増えたらより知識量も増えるからなぁ」
「三人寄れば文殊の知恵ってヤツかな? 二人しか居ないけど……」
「あっ!? 絵理華ちゃんはどうなったんだ? 助かったのか? それとも……」
「残念だけど…… 駄目だったわ」
「そ、そうか……」
「あの時は私のせいでごめんなさい…… あなたまで巻き込んじゃって……」
「もう過ぎたことだよ……」
「ありがとう。良かったこともあるのよ」
「どんな?」
「私との約束を少しだけ守ってくれたことかな」
「約束?」
「私を一人にしないって約束! ほんの少しの時間だったけど…… それにね、あなたは川の中でずっと手を握ってくれてたわ」
「そうだっけ?」
「忘れたの?」
「いや、君を助けるのに夢中だったから……」
「それでも嬉しかったわ」
「質問良いかな? 絵理華の学校の成績とか良かったけど、その時も前世の記憶があったの?」
「あったわよ。大人になって結婚したら全部話そうかと思ってたけど」
エリスはあっけらかんとした顔で答えた。
「そうなの……」
「でも、またあなたに逢えて嬉しかったわ。エリス様とロッシュウ様との関係が無くても……」
「そっかぁ~ ずっと僕らは一緒だったんだね」
「そうなのよ。今までもこれからも…… なんか私、怖いこと言ってない?」
「うん、ちょっと愛が重いけど…… 嬉しいよ」
「これからもよろしくね。秀弥、秀、シュウ君」
「ああ、こちらこそよろしく。愛里、絵理華、エリス」
「ウフフフ」
「ハハハハ」
僕らはこれからも一緒に未来を歩み続けるだろう……
「エリス、君に約束をするよ。もう一人にしないからね」
「うん、今度はしっかり約束を守ってね」
「任せておいて」
僕らはみんなの待つ庭園へと急いだ。
披露宴の最後には僕とエリスでみんなへの感謝の気持ちを表したくて、魔法を使い『花火』を打ち上げた!
――あれから色々な出来事があった。
僕たちに子供が生まれ、王位も子供に譲って隠居生活を送っていたが、僕とエリスはお互いの年老い、エリスは最後の時を迎えようとしていた……
ベッドに横たわるエリスの手を握り、エリスに声をかけた。
「エリス…… 目を覚ましたんだね」
「――ええ、シュウ……」
「お母様! お婆様が目を覚ましたよ」
「母上様! しっかりしてください!」
「お義母様! お義母様!」
息子たちと孫がエリスの周りに集まった。
「みんな…… エリスを…… エリスを静かに見送ってあげよう……」
僕は目に涙がこぼれそうになりながら息子達に伝えた……
「父上様……」
エリスの手を強く握り締め
「今度は君との約束を守れそうだよ」
「私との約束を守ってくれてありがとう……」
「僕もすぐに君のところに逝くからね」
「それはダメ…… 前に約束を破った罰を受けてもらうは…… あと10年はこっちに居てね…… 私は大丈夫…… ネギアニウス様とハルタン様のところにいるから…… 大丈夫…… シュウ、あなたはゆっくり私に会いに来て…… ずっと待ってるから……」
「ああ、わかった…… その時は必ず絶対に君に会いに行くよ。約束だ!」
「ええ、約束よ…… シュウ愛してる……」
「僕もだ。エリス愛しているよ」
そう言って、僕はエリスにキスをした……
「僕が逝くまでハルタン様のところで待っててくれ……」
「……………………」
エリスは静かに旅立った…… 本当に直ぐにでも起き上がり、元気な顔で『おはよう』と言いそうな安らかな顔だった。
僕はエリスから手を離し、窓から夜空を見る……
「エリス…… また、逢えるのを楽しみにしているよ…… それまで待っててくれ……」
完
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