第202話 第三王子は兄上達と和解する!
アホな貴族達の大粛清も終わり、王族ファミリーが仲良く歩く事が夢でも見ているのではと、勘違いしそうになる『シュウ』です。
執務室に入り、各々ソファに腰を下ろした。
「先ずは、ジェニシスとパリックの件だが、シュウ、あの黒い煙の正体はなんだ?」
父上は僕に黒いモヤについて聞いてきた。
「あの兄上達に纏わり付いていたものは負の感情です。兄上達の負の感情と言うよりは外部から植え付けられた感があります」
「外部から……」
「そうです。ジェニシス兄上。魔法に対して嫉妬、妬み、恐怖、不満、利権など様々な感情が一つとなった物だと思ってもらえたらいいです」
「シュウちゃん、どこからそんな感情がジェニシス達に関係があるとか言うの?」
母上は自分の子達に魔法に接することも無いのになぜ魔法が…… という気持ちなのだろう。
「これは、僕の推測なのですが……」
「なんだ? シュウ言ってみてくれ。私達のことなら大丈夫だ。私達だって自分達が魔法…… 悪しき感情に支配されてしまったのか知りたい」
「パリック兄上…… 根本の原因はアポー正教会だと思います。アイツらは長い年月、魔法や魔女に対して、迫害や差別、拷問、処刑を先頭に立って行って来ました。その長年の思いが、気が付かない間に黒いモヤとなり、存在し続けたと思います」
「黒いモヤで良いのか? そのモヤが何でお前の兄達に纏わり付くのだ?」
マリーパパは疑問をぶつけてきた。
「多分ですが、それはピエールの仕業と考えています。アポー正教会がピエールに近付き、ピエールが黒いモヤ、負の感情に支配され、さらにピエール自身が持っていた権力を握りたいという欲望が一つとなり、兄上達に近付いた結果、アポー正教会とピエールの負の感情に取り込まれてしまったのではないかと思います。父上! このままアポー正教会をそのままにしておくのは危険です! 必ずヤツらは同じことをしようとします。これからの改革に邪魔な存在となります。今のうちに手を打っておいた方が得策と考えます!」
「そう…… だったのか…… 確かにピエールが近付いて来た時からお前が殺したいほど憎いと考えるようになった気がする……」
「そう言われれば、私もピエールが近付いて来た当たりでシュウの事が憎たらしいと思うようになった気がする……」
「ジェニシス兄上、パリック兄上……」
「シュウ…… 情けない…… 自分が情けない…… そんな感情に負け、大事な弟を手に掛けようとしていたなんて……」
「本当にすまなかった。心の弱い兄達を許してくれ……」
「兄上…… 父上! 兄上達の国外追放はなんとかなりませんか!」
「シュウよ…… 王族として、ケジメは必要なのだ…… わかってくれ…… ジェニシス、パリック。お前達は私とセリーナの子であることは今までもこれからも変わることはない!」
「そうよ。あなた達はどんなにかことがあっても私達の子供よ」
「「父上! 母上!」」
「それとな、追放と言ってももう一度お前達の追放先は決めてある」
「私達の……」
「追放先……」
「ああ、お前達にはハルタンへ行ってもらう。そこでハルタンとアルラサンド王国の王族外交官として働いてもらう。時々、フロンシニアスに帰って来るようにな」
「「ハルタン? 王族外交官? 」」
「おお、そうだ、そうだ。ジェニシス、パリック。お前達にまだ紹介していなかったな。こちらにいるお嬢さんがシュウの婚約者の…… 紹介してもらっても良いかい? エリスちゃん」
「はい」
「先ほどお義父様の話しにあったハルタンから参りました。シュウ君の婚約者でエリス・フォンテーヌと申します。お義兄様方、よろしくお願い致します」
「ハァ~、シュウの兄…… 私は兄と名乗って良いのだろうか……」
「兄上! 私の兄は昔も今もそしてこの先もジェニシス兄上とパリック兄上だけです! これからもシュウの兄だと名乗って下さい!」
「――ありがとう、シュウ…… 私はシュウの兄、ジェニシス・ビーン・アルパトスです。弟をよろしく頼む」
「同じく、シュウの兄のパリック・ボーン・アルパトスです。自分の言えることではないとわかっているが、どうか弟を支えてやって欲しい…… どうかよろしく頼む」
「はい、お義兄様方。しっかりとシュウ君を支えて行きます! 私の故郷についてはあとで詳しく説明致しますので」
「ああ、よろしく頼むよ」
「エリスちゃんで良いのか?」
「その呼び方でも構いません」
「では、シュウの婚約者のエリスちゃん。こんなアホな兄だがよろしく頼むよ」
「はい! お義父様。この話しはまだお母様は知りませんよね?」
「ああ、さっき思い付いたからな」
――行き当たりばったりじゃねぇーかよ!
「では、あとでお母様に伝えておきます」
「いや、その必要はないぞ。そのうちアリエス達はここに来ると思うぞ」
「父上、それはどう言った意味でしょうか?」
「今頃、面白いことになってるぞ! 多分……」
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