第199話 第三王子は護られる!
パワーネット公爵家地獄の三人衆は想像絶する悪逆非道に犠牲になった者達に哀悼の意を捧げます…… ここは戦場なのか? おびただしい鮮血に膝から崩れ落ちる『シュウ』です。
「ち、ち、父上…… これからどうしましょう?」
「どうもこうもないだろ…… まずはアイツらが死体蹴りを止めさせよう……」
地獄の三人衆は動かなくなった貴族、軍の関係者を落武者狩りでもするかのように一体づつ足蹴りにしていく。少しでも意識のある者は反王族派だろうと関係無しに容赦なく、拳でトドメを刺していく…… 現在版『落武者狩り』である。現在進行中、故にこんなチープな表現力しか頭に浮かばない……
「と、とりあえず、治癒魔法を!」
エリスは倒れている者全てに治癒魔法をかけようとしたが、
「エリスちゃん 待ってくれ!」
「お義父様……」
「治癒魔法をかけないでくれ。とかではない。反王族派の連中も一緒に治したらうるさくなるからな。まずは拘束器具で拘束してからヤツらに治癒魔法をかけてくれ!」
「――はい」
「父上、コイツは反王族派ですか?」
「んっ、ソイツは違うな」
「お義母様、この方は?」
「この人、確か…… 反王族派だったと思うわ」
「父上! コイツは?」
「あん、こいつかぁ。反王族派じゃないが、気にくわないから拘束しておいてくれ」
――冤罪じゃねぇーか!
◇
やっとのことで反王族派の連中を拘束することが出来た。母上の要望でジェニシス兄上とパリック兄上には拘束器具を付けなようお願いされた。
「ハンマー。お前らやり過ぎだ! 関係の無い者までディナーにしてるじゃないか」
「人が面白いように宙に舞ってたわよ」
父上と母上は笑いながらマリーパパ達に抗議をしていた。
「ついつい楽しくてよ。久しぶりに我を忘れて遊んじまったぜ!」
「ハンマー、マリー。人をぶん殴るのって凄く楽しかったわね」
「はい! お母様。無抵抗の人間をぶん殴るのがこんなに楽しいものだとは思いもしませんでしたわ」
「クッククククッ」
「フッフフフフッ」
「ワッハハハハッ」
「キャハハハハッ」
「ハッハハハハッ」
――なんなんだ? このサイコパス集団は?
「――エリス…… そろそろ治癒魔法をかけても良いんじゃないか?」
「――そうね…… シュウ君……」
『地上最大集団治癒魔法』
エリスの治癒魔法で、倒れていた物は達のキズが治っていく。僕はその間に血の海と化した庭園をキレイにすることにした。
『綺麗清潔完璧掃除』
お掃除魔法で、あっという間に血の海が綺麗になった。
「キャーー人殺し!」
「殴るのはやめてくれー!」
「金は出すから助けてくれ…… 体が動かないぞ! 早くこの縄をほどけーっ!」
「なんなんだ? この縄は?」
「命だけは助けてくれー!」
「悪魔が来るー! 笑いながら殴るのはやめてくれー!」
「ヤメテーー! 大股に開くとスカートの中が見えちゃうからヤメテーー!」
――気絶させられる前の記憶だろうか? 意識がもどった瞬間、阿鼻叫喚地獄が待っていた…… 最後のご婦人、理不尽にもマリーのキ○肉バスターを喰らったご婦人なんだろうなぁ~
兄上達も意識を取り戻したようだ。
「父上! 私達が何をしたというのですか?」
「そうです! 私達はこのゴミに国王は任せられないと言っただけじゃないですか? なぜ、このような仕打ちを!」
「そうです。悪いのはこの役立たずのゴミじゃないですか?」
「父上! 耄碌でもされたのですか? 早く退位をして私に王位を譲って下さい!」
「パリック! 何をふざけたこと言っている! 王位を継ぐのはこの私、ジェニシスだ!」
「ジェニシス兄上こそ黙っていて下さい! 王に相応しいのは私だ!」
「……………………」
「父上! 黙ってないでなんとか言って下さい! 王位は私に!」
「いや! 父上! パリック、お前こそが王に相応しいと言って下さい!」
「この愚か者がぁぁ!! さっきから聞いていれば自分の事ばかり、お前らは自分の事しか頭に無いのかぁぁ!!」
「「……………………」」
「自分の事しか考えていないお前達に王位を譲るわけが無いだろうが」
「――お前のせいだ……」
「このゴミさえ居なければ……」
「ウワッワワワワ! 死ねェーごのグズヤロウがぁぁぁぁあ!!」
「お前なんか殺してヤルゥゥゥゥウ!!」
ジェニシス兄上とパリック兄上が隠していた短剣を握りしめ、僕に襲いかかってきた!!
「シュウ君! 危ないっ!!」
「あたたたたたたぁーー!!」
『ドスッ!! ゴギッ!!』
『バキッ!! ボギッ!!』
エリスはジェニシス兄上とパリック兄上に相撲の最高峰難易度強の百烈張り手を喰らわせた!
兄上達は数メートル先まで飛ばされた! 折角意識を取り戻したのにまた、意識を失うとは…… なさけない……
――身体強化の魔法を使った相撲をするエリスは最強だなぁ!!
「ごっつぁんです!」
エリスは僕を護ったことが嬉しかったのか、それとも勝利した事が嬉しかったのか、|それとも両方なのか、相撲レスラー《エドモンドほん○》の名台詞をブッ込んで来た!
「――エリス、助かったよ。ありがとう」
「いえ、いえ。このくらいは余裕だよ!」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇえ!! クソモブがぁあ!! テメェーのせいで! てめぇーのせいでぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!」
「――!? ピエール!!」
「シュウ君、危ない!!」
ピエールは、どこから持ち出したのか、ウォーハンマーを振り回しながら、僕に襲い掛かってきた! まさか⁉ パンツの中か?
『ドサッ!!』
「――!? レ、レイニー……」
「このモブたぬきがぁ!、面倒をかけさせるんじゃねぇースッよ!!」
突然現れたレイニーがピエール侯爵の首元に手刀を喰らわせ、気絶させられるさせた。
『今日は たくさんの人が 気絶したから 気絶記念日』
――ピンチにピンチを重ね、ついつい一句読んでしまった……
「レイニーさん、ありがとう」
「いえ、エリス様のピンチに現れるのが、この『クールビューティー』のレイニーですから」
父上がレイニーに近付き、声をかけた。
「おお、レイニー! 助かったぞ! 技のキレ、最高だったぞ! さすが、俺の妹だ!」
「お前なんかに妹だとか言われたくねぇーよ」
「あらあら、ウフフ。相変わらずレイニーはツンデレさんね♡」
――ハァ!? え、え、何!? 『俺の妹』、『ツンデレさん』? 何、言ってんだこの人たち?
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