第176話 第三王子はビルダーと未来を語る!
『バンザイ社畜! 感謝のブラック企業! 嬉しいサービス残業! 楽しい休日出勤! 華麗な過労○をありがとう!』
社畜社員スローガンに洗脳されている二号生男性陣をかつての自分をみているようで辛い…… 『シュウ』です。
社畜社員になって一ヶ月が過ぎた。二号生の男性陣はレイニー上司の叱咤激励のお陰で作業は順調に進んでいる。ほとんど魔法は使わずに手作業だけで! 理由を聞いてみると、手作業の方が筋トレに丁度良いらしい。
ダンベル曰く、
「俺の肩にちっちゃなショベルカーが乗ってるだろ!」
サプリ曰く、
「広背筋が筋肉群の山脈だろ!」
ビルダー曰く、
「俺の胸は巨乳だろ!」
――ビルダー。そんな筋肉で出来た巨乳はいらない…… それだけ絞るのにどれだけ社畜労働をしていたのかと考えると夜も眠れないよ…… しっかりと寝るけど。
「なあ、ビルダー。最近僕たち授業らしい授業はしていないと思うンだが?」
僕はビルダーに最近の僕たちの活動について聞いてみた。
「学院内で授業をするだけが、学びじゃないのさ。まあ、生きた授業ってヤツだな」
「そうなのか?」
「この経験が未来の俺たちに必要になって来ると思うぞ」
「そうか……」
「考えてもみろよ。俺たち全員が土木工学の最先端を行ってるんだぞ。言わば第一人者ってことになるだろ」
「確かに」
「俺たちの中から筋肉力士になるヤツやバットみたいに筋肉力士と兼用で土木工学のプロになるヤツ、土木工学一本で生きていくヤツ、メアリーみたいに舞台裏女優をしながら女性筋肉力士になろうと頑張っているヤツもいる」
「ヤスとパトリックは?」
「犯人役オンリーの役者とパトリックはやっぱりヒモだな」
――犯人役オンリー? そんなの舞台でヤスが出てきた瞬間、『犯人はヤス』だと、観客に一発でネタバレするンじゃないのか? そんなのミステリーにもならないような気がするが、ここは黙っておこう。パトリックはヒモになるのは良くわかる。年上からの人気はすごいからなぁ……
「ビルダーは将来はどうするんだ?」
「俺か? 俺は教育者だな。お祖父様の背中を見て育って来たからな、自然と教育者の進むようになっているのさ」
「そうか…… 頑張れよ」
「ああ、お前はフロンシニアスの王様になるンだよな?」
「一応、その予定になってるよ」
「一応ってなンだよ?」
「何事もなければって意味だよ」
「何事かあるのか?」
「まあ、いろいろだよ」
――兄上達から命を狙われているとはさすがに言えなかった…… これから先、兄上達とはどうなって行くんだろう…… あとで、マリーパバから護身術でも教えてもらっておいた方が良いかも。
「シュウ…… お前も大変そうだな」
「ビルダーほどじゃないよ」
「身内が凄いと俺達を見る目も違うからな」
「そうだな。どうしても親とかと比べられるからなぁ」
「まぁな。逆に言えばそれだけ頑張りが必要ってことさ」
「ビルダーは前向きだな」
「そう思わないとプレッシャーで潰されそうになるからな。そんなんじゃ、立派な教育者にはなれないよ」
「お前凄いなぁ。ちゃんと先の事考えて」
「そんなことないさ。それよりも俺から見たらシュウの方がスゴいと思うぜ」
「なんで? どこが?」
「ドMなところがな」
「なにぃー!」
「冗談だ、許せ。まあ、お前は世の中を変えようとしている。実際にアルラサンドも変わろうとしている」
「それはエリスのお陰だよ。エリスが居なきゃ、僕は何にも出来ないからな」
「そんなことないと思うぞ。確かに殆んどがエリスの知識だと思うが、お前が居なきゃエリスだって動かなかったと思うぞ。宝はな地中に埋まっていたら宝とは呼べない、地上に出て初めて宝って言えるんだよ。埋もれていたエリスの知識という宝をこの世界広めようとしているんだ。そのきっかけを作ったのはお前だ。いや、エリスの知識という宝を掘り出したのはお前だ! そういうことさ」
「そうか…… そんな風に考えた事がなかったよ」
「お前が何にも出来なくっても、誰かが知恵を出し、誰かがその知恵を現実にしてくれる。生まれもっての人徳ってヤツなのかもな。ボディービルダーの大会の掛け声で言えば、『筋肉の徳が高すぎる! 前世で国でも救ったんか!』だな」
「前世で国でも救ったんか!かぁ……」
――前世か…… 国は救わなかったけど、幼馴染みだけは救えたんだろうか……
「んっ。どうした? 急に黙り込んで」
「あっ、なんでもない。ありがとうな、ビルダー」
「将来は教育者になるンだ。これくらいの事は口から出任せも言うさ」
「ひでぇ、今までのは出任せかよ!」
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