第175話 第三王子は社畜社員になる!
武踏会とはなんぞや? 強いだけじゃなく、エレガントとで気品がないと失格してしまうなんてどんな感じなんだと気になり、マリーに聞いてみたら衝撃の事実にあのマリーが失格だって! わかる気がすゥるゥ『シュウ』です。
「僕には辛辣だけどね」
僕は小声でマリーに指摘してあげた。聞こえないような小さな声で……
「ハァン! 何か言った?」
マリーの片方の眉毛がピクリと動き、完全なヤンキーネェちゃん仕様にクラスチェンジしてしまった……
「なンにも言って無いです! 本当です。僕がそんなこと言う人間に見えますか?」
「逃げるのに精一杯だな。次は無いぞ」
「本当に何も言って無いですから」
「命乞いなど無駄なことを」
「すみません」
「わかれば良いんだ。この短足禿げが」
――今のはポリコレ的にアウトなンだが、マリーに訴えることが難しそう…… 異世界だからしょうがない。
「それで話しを戻すけど、マリーはどうして失格になったのさ」
「完全に私の方が優勢で、最後に『サマーソルトキック』でトドメを刺したら、ドレスの裾が少しだけめくれたの。それだけでエレガントさがない! 品性に欠けると言うことで失格になったのよ。思い出したらめちゃくちゃ悔しい! なんであの時、華麗なダブルラリアットにしなかったが本当に悔やまれるわ」
「……………………」
――この人、鬼だわ…… サマーソルトキックでトドメを刺しに行くあたり、人間の皮を被った鬼だわ…… いや、残虐の神だわ…… もし、『ダブルラリアット』ならいざ知らず、『スクリューパイルドライバー強』だったら相手の女の子、ガチでトドメを刺されていたと思うと可哀想になる……
「――まあ、そんな感じで、失格になったのよ」
「アイリスちゃんって初等の部で優勝したんだろ? 本物の淑女ってことだろ。エリートじゃないか?」
「だから言ってるじゃない。パーフェクト超人だって! コミュ症だけど…… それと、えっ? 何? 私が本物の淑女じゃないってこと? 二号生筆頭の私がエリートじゃないってこと?」
「そ、そんな、意味で言ったわけじゃないよ」
「言葉には気を付けることね。悪意があった時は、シュウ、あなたを『スクリューパイルドライバー強』が口を開けて待っているわよ」
――!? 『スクリューパイルドライバー強』が出来るンかい! さすが、技巧の神! どんな技でも易々とやってしまいそうで恐いわ…… でも、ア○ル兄さん(おしりの穴じゃないぞ)のナパーム・ストレッチ、ア○ル版マッスルスパークだけはやめて欲しい! ラーメン○ン、ロビン○スク曰く、『完璧な殺人技』と言わしめる完璧な殺人技だからな!
「まあ、そうわけだから私はそろそろ行くわね」
「アイリスちゃんに会ったら、僕がよろしくと伝えておいてくれ」
「ロリコンなの?」
「ちげぇーよ! ソフィアちゃんと仲良くしてもらってるからな。その挨拶だよ」
「はい、はい。わかってるわよ」
「じゃあ、またな」
「またねー」
こうしてマリーと別れたが、アイリスちゃんのことが知れて良かった。
◇
いよいよ工事の初日を迎えた。
設計図はあらかじめ、サムソンさん達、職人が隠密魔法を使いお忍びでやってくれたみたいだ。仕事の出来る人が羨ましい…… 魔物さんだけど。
王都の外れに天幕を張り、下水処理施設建設に取り掛かった。二号生の男性陣はバットを中心として、魔法を駆使しながら土台作りに励んだ。勿論、僕も掘り起こされた土砂を収納魔法に入れる。自称『レベルアップした自分』に酔いしれ、どんどんと土砂を片付けていく。
ところで、レイニーは疲れ果てている二号生を見ると優しく、『過労○確定』の癒し魔法を強制的に掛けてくれるという親切なこの上ないことをしてくれていた。 さすが、ブラック企業上司の鑑! 僕には『過労○確定』の上位互換である『極!社畜ゾンビ認定』を掛けてくれる。こんな時だけやさしくしてくれるなんて、なんてツンデレさんなんでしょう。
「お疲れ様! 今日はこれくらいにするか」
バットが作業の終了を告げる。みんなはレイニーのお陰で疲れている様子はない。なんて出来た上司様なンでしょう。
「これであなたも社畜の仲間入り! ビバ 社畜! ビバ ブラック企業! ビバ サービス残業! ビバ 休日出勤! ビバ 過労○!」
レイニーがみんなを集めて大号令をしている……
「「「バンザイ社畜! 感謝のブラック企業! 嬉しいサービス残業! 楽しい休日出勤! 華麗な過労○をありがとう!」」」
みんなが…… レイニー上司に洗脳されていく…… 見ていられない……
「そこのモブ顔! 声が出ていないぞ! お前もみんなに続け!」
レイニーの檄が飛ぶ!
「バンザイ社畜! 感謝のブラック企業! 嬉しいサービス残業! 楽しい休日出勤! 華麗な過労○をありがとう!」
――社畜の鬼すぎる……
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