第174話 第三王子は心配する!
どこかで女の子たちがロッシュウ様カッコいいなんて噂でもしているのかな!といい気になって、まさか『白い木馬から出撃する連邦の白い悪魔』が乙女の禁忌魔法に指定されているとは露知らず、お幸せに暮らす『シュウ』です。
日々お母上様とエリス先生からのご指導いただき少しづつですが魔法も上達している次第です!
土管、洋式便器作りも今までの何十倍も早く、大量に作れるようになった。
特別課外授業も終わり、いよいよアルラサンド城のリフォームと王都の下水処理施設関係の工事をすることになった。お城のリフォームはアイリスちゃんが責任者となり、紳士の嗜みの二人と共に陣頭指揮を取ることになった。一方、下水処理施設関係は我らがバットが陣頭指揮を取る。難しいところは夜にサムソンさん率いる魔物さんが来てくれることになった。
「マリー、サムソンさんたち大丈夫なのかな?」
「急に何よ。工事期間中は天幕を張って、誰の目にも入らないようにウツボ様からお触れを出してもらう予定よ。天幕の脇には近衛兵が警備することも決まってるわ」
「それは前に聞いたけど、今までにない大規模な工事だろ、ちょっと心配になっちゃって」
「珍しいわね。あなたがそんなところまで気を回すなんて」
「いつ魔物さんの存在が明るみになるか心配なんだよ」
「あなたってそんなに神経質だったけ? まあ、隠密魔法と防音強化魔法を使うから大丈夫だと思うわよ。何かあったら、エリスの洗脳魔法もあるしなんとかなるわよ」
――それ洗脳魔法じゃなくて悪名高い魅了魔法だろ! 僕のエリスがモテモテになるだろうが!
「ところでマリーはどこの配属になったんだ?」
「私はウツボ様のお城よ。アイリス様からの強い要望でね」
「アイリスちゃんか…… あの娘にこの前リンリンさんたちが女性だとすっかり騙されちゃったよ」
「アイリス様が!?」
「そう、アイリスちゃん」
「珍しいこともあるものねぇ」
「どういうこと?」
「アイリス様は生真面目な方で、冗談や人をからかうとかしない人なのよ。その生真面目な性格が災いして人付き合いが苦手なのよ。それをあなたにって……」
「アイリスちゃんってコミュ症なの? ニート?」
「そこまでじゃないけど、物静かな感じかな」
「そうなんだ。ソフィアちゃんと仲が良いからそんなことないと思ってたよ。すごい強そうだったしね」
「当たり前よ。アルラサンド天下一武踏会で初等の部優勝するくらい強いのよ。強いだけじゃないわ。頭もキレて、まさに容姿端麗、頭脳明晰、才色兼備! まさに生きるパーフェクト超人ってヤツね。だけど涙がでちゃう コミュ症なんだもん」
「また、そんな古いアニメネタをここぞとばかりにぶっ込んで来やがる! 残念なところもあるけど、アイリスちゃんって凄いンだなぁ。ところでアルラサンド天下一武踏会ってなんなの? 聞いたこと無いんだけど?」
「あなたってホントポンコツね。アルラサンド天下一武踏会と言うのわね。女性だけに許された武踏会よ」
「そもそも武踏会ってなんなのさ? 武道会と舞踏会どっちなの?」
「両方よ」
「両方? まさかドレスを着飾って闘うのか?」
「そうよ。武踏会で難しいところはただ単に強いだけじゃダメなのよ。淑女としてエレガントに気品を満ちていないと失格になるわ。負けただけだと悔しいけどそれほどショックはないわ。たた、失格だけは女性としてのプライドが土台から崩れるわ。立ち直れないほどに…… どれ程数多くの女性が失格で涙を飲んできたことか…… 私もその失格者の一人よ」
――!? あの邪悪の五神の聖女、マリーでも失格になる時があるのか! わからなくもないが…… エリスなら圧倒的絶対王者になれるだろうが……
「マリーでも失格になるのか?」
「あの時は油断してしまったわ。勝利を確信して油断してしまったのよ」
「勝利を確信して油断……」
「そう油断よ。あの時の慢心は生涯忘れないわ」
「その話しを聞かせてくれよ。頼む!」
「思い出すだけで自分自身に腹が立つわ。慢心、高慢、思い上がり、まさに唯我独尊だったわ。失格になって天狗の鼻を折られた気持ちだったわ。それから私は清楚で謙虚に生きることにしたの」
「――清楚で謙虚に生きる!?」
――僕に対して、何一つ出来てないじゃないかぁ!
お読みいただき誠にありがとうございます。
少しでも面白い! 続きが読みたい! と思って頂けましたら『ブックマーク』『評価☆マーク』『感想』をお願いします。
『評価☆マーク』『いいね』ボタン押して頂けましたらモチベーションに繋がりますので、応援よろしくお願いします。




