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第171話 第三王子はあることを考える!

人間の尊厳とは何か? 重力に逆らうとは何か? 岩壁で『ゼロ・グラヴィティ』をぶちかます、お母上様の所業に目眩のする『シュウ』です。『モンローウォーク』までは許せるが、『ムーンウォーク』と『ゼロ・グラヴィティ』はまずいだろ!




「足元と背筋に集中するのよ!」


「はい」


にこやかに笑うお母上様からアドバイスをもらい、僕も試してみた。




「ギャャャャャャャャャヤァァァァァァア!! だずげでぇーー!!」




岩壁を華麗に歩いていると言うよりは地上の重力に引っ張られてダッシュしていた!


「あらあら、うふふ。シュウ君も元気ね! 私も負けないわよ」



――イヤァァァァア!! 徒競走しているわけじゃないんだァァァァァァア!! 身体が勝手に走ってるンだよォォォォオ!! お母上様ーー! 助けてェーー!!



「心の師、仙道○さん! たすけてーー!」




『落ち着け…… まだあわてるような時間じゃない』




――聞こえないはずの仙道○さんの声が聞こえた…… まさか、僕は死んだのか?



心の師、仙道○さんの声で僕は冷静になれた。心の中で、まだあわてるような時間じゃないを繰り返し、次にすることは背筋を伸ばすとこに集中した。前屈みの姿勢から身体を起こし、自然と速度が落ちてきた。地上のから100メートルの地点だった。危うく地上に激突して、


『おら~は死んじまっただ~ おら~は死んじまっただ~ おら~は死んじまっただ~ 天国さぁ~ 行っただ~♪』


を歌うはめになるところだった!


「ふぅ なんとか助かった」


『ビューン』


もの凄いスピードでお母上様が僕を追い越して行った…… こりゃ~、天国に行くな……



「お母上様ーー!!」


「なぁ~に?」


「地上にぶつかりますよ!」


「大丈夫よー!」



――お母上様、随分と余裕ですね……



お母上様は地上から10メートル手前でジャンプし『ムーンサルト』を決め、地上に着地した……



――どこから見ても人間の範疇を超えてますよ。斜め上方向に……



「今の格好良くなかった?」


「格好良かったですが、心配させないで下さいよ」


「これくらいスリリングな方が人生楽しいわよ」


当たり前じゃないことを当たり前にしてしまうのが、この人の怖さだと思う。


「そんな人生、僕は要りませんよ」


「そう? シュウ君、人生の半分を損しているわよ」


「損しても良いですよ。僕は平穏であればそれで良いです」


「本当に勿体無いわよ。もっと楽しまないと」


「今までの9割以上がスリリングだったのでこれ以上は求めませんよ」


「まあ、良いわ。じゃ、麓まで行くわよ」


お母上様は岩の上を『ピョン ピョン』と軽快なリズムに乗りながら飛び跳ねて先に進んだ。


「やっぱり、キャ○ツ・アイのルイネェだよなぁ…… さあ、僕も遅れないように急ぐか」


僕も『ピョン ピョン』と飛び跳ねながら前に進んだ。いつも思うのだが行きと帰りでは、どうして帰りの方が時間の流れが早く感じるのだろうか? 今回はジャンプが上達したからなのかと思うが、普段から行きと帰りの時間の流れについて疑問に思う……





なんだかんだでやっと山脈の麓まで帰って来ました。



「じゃ、あとはハルタンまでね。急ぐわよ」


「えっ? 瞬間移動(テレポート)じゃないンですか?」


「家に着くまでが特訓って言ったじゃない」


「まあ、確かにそう言ってましたけど……」


「じゃ、行くわよ!」


「ハァ」


お母上様はハイヒールを物ともせず、かなりの速い速度で移動した。お母上様を見失うと迷子になってしまう。僕はお母上様のあとを追った。



「はっやぁ!? 何でそんなに速いんだ! もうあの人、人間辞めてるだろ!」


僕は小さな声で呟いた。全力で走ってもその差は縮まらない、逆に離されようとしている。まぁ、最悪迷子になったら瞬間移動(テレポート)でハルタンに帰れば良いのだが、何かお母上様の背中を見ているとそんなズルはしてはいけないと感じた……



「お母上様は身体強化だけでこんなにも差があるのだろうか? 他にも魔法を使っているのかな?」


僕はお母上様のあまりの速さに疑問が生まれた。


「風魔法で追い風にしているのか、また逆にジェット機のように推進力に使っているのか。または、重力魔法で体重を軽くし、ハイヒールと地面の摩擦率を0にしているンだろうか?」


とりあえず、風魔法で風をふかせてみた。


「うわっ! うわっ!」


台風で飛ばされそうなアナウンサーのように風に揉まれた……   ――失敗


次は風で推進力を作るに挑戦だ!


「背中に風魔法を使って推進力を生み出すかぁ、何か芸が足りないよな……」

お読みいただき誠にありがとうございます。

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