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第163話 第三王子は呆れられる!

マリーにジャーマン・スープレックスの大技を喰らい瀕死の重傷の中に起き上がろうとした瞬間、別な痛みが僕の身体を襲う! エリス先生に助けを求めるが、エリス先生から自分の苦言を聞かなかったと窘められる『シュウ』です。



「エリス先生助けてーー! バネが…… バネが…… 痛ででででで!」


「シュウ何が起こったンだ?」


マリーが心配そうに声を掛けたが、その顔はニマニマと笑っているように思えた。まさに、悪魔の所業!


「シュウ君、そうなるのは当たり前でしょ。良く考えたらわかるでしょ?」


「わかりました! わかったから助けてちょうだい!」


「しょうがないわねぇ…… ちょっと痛いけど我慢して、まあ、自分の戒めとして痛みには我慢しなさい」



「いぎゃァァァァア! 痛でぇよぉー! 痛でぇよぉー! エリス先生! あまりそこ引っ張らないでェェェェエ!! マジで痛てぇよぉーー! フンギャァァァァア!!」



エリスは呆れた顔で僕から巨大リーグボール養成ギブスを一つひとつ外してくれた。



「一体、何がそんなに痛かったンだ?」



――マリーのヤツめ。僕がこんな目にあっている原因を知っているのに、あえて僕に聞いて来るとは…… さすが『残虐』の神に愛されし聖女!



「腕を戻した瞬間、バネとバネの間にお肉が挟まるンだよォォォォオ!! 凄く痛かったンだよォォォォオ!」


腕のお肉を見ると何ヵ所もバネに挟まれただろう、真っ赤になった跡が刻まれていた。中二病には堪らない傷痕だ!



「まさかと思うが、こうなると知らないで装着したのか? ま、ま、まさか、お前はドMじゃないよな?」


マリーはドヤ顔で僕に聞いてきた。


「気が付かなかった……」


「考えなくてもそんなことわかるだろ? シュウ。お前、一体何歳になったンだ?」


「14歳です。年は関係ないと思うけど……」


「小さな子ならいざ知らず、14でこれは無いわぁ」


「……………………」



――マリーの辛辣な言葉に、僕はマリーの超極悪な罠に嵌まったことに気付いた…… 知っていたら最初に言ってくれよォ! エリスはあまりの馬鹿さ加減にウンザリしたのか言葉を発しなかった。 これが一番堪える。



「すみません…… でした……」



「まあ、いいわ。エリスみんなが集まってると思うから急ぎましょう」


「ええ、シュウ君。お大事に……」



一人残された僕は赤くなった腕に治癒魔法を施し、みんなが待つ園庭へと向かった。




すでにみんなが待っており、アイリスちゃんもいた。



「アイリスちゃん、おはよう」


「シュウさん、おはようございます」


「今日から僕も魔法の特訓に参加することになったンだ。よろしくね」


「こちらこそお願いします」



――この娘には、前に魔物さん達が全員女性だという間違った情報を意図的に流されたことがあった。まあ、要するに騙されたということだ。その手口は『オレオレ詐偽』をもっと巧妙にして大胆に蝶のように舞い、ハチののように刺す的な感じだった。この僕ですらまんまと騙されてしまったのだ。本当に恐ろしい子がこの世に存在していたとは…… その事を踏まえて表向きは大人の対応をしているが、心までは許してはいない。




学院長が僕たちのところへやって来た。紳士の嗜みの秘書の二人と僕たちを見送りに来たかも知れない。


「二号生の諸君、そのままで聞いてくれ。今日もハルタンでの特別課外授業となるが、ハルタンで学ぶことは多いであろう。しかし、しっかりと学んで来るのじゃ。その一つひとつが人々の為になることを忘れないようにな。頼んだぞ!」


「「「ハイ!」」」


「エリス嬢もマリー嬢も頼んだぞ」


「「ハイ」」



こうして今日もまたハルタンへと向かった。



僕とエリス、アイリスちゃんはお母上様に挨拶の為にお屋敷に向かった。途中、アイリスちゃんはソフィアちゃんの所へ行くと言うことで僕たちとは別々の行動になった。


お母上様の執務室に入るとお父上様が、


「おっ、来たか」


「おはようございます」


「お父様、おはようございます」


「おはよう」


「お母様は?」


「今、ちょつと席を外している。すぐに戻ると思うが、シュウ、ギブスはどうした? 着けてないのか?」


「あんな危険な物、着けられませんよ」


「根性がねぇなぁ。男だったらビシッと着けて見せてみろよ」


「ここに来る前に着けましたよ。ひどい目にあいましたよ」


「……………………」


エリス先生は沈黙を貫いた……


「そうか そうか そりゃ大変だったな(ニコニコ)」



――お父上様の顔が悪魔の顔に見えるのは僕の心が汚いからなのか?





「お待たせ! ごめんね。待たせちゃったわね」


お母上様が慌てた様子で部屋に入って来た。


「おはようございます」


「シュウ君、おはよう」


「おはようございます。お母様」


「おはよう、エリス。ところでシュウ君、ギブスは試したかしら?」


「はい…… エリスに手伝ってもらい装着しましたが、あまりの激痛で止めました」


「それを耐えるのが男の子ってもんなのよ。それに新しいギブスも作っておいたわ。題して『大リーグボール2号養成ギブス』よ!」


「……………………」



――直球キタァァァァア!! ガチヤバの予感…… お母上様、お願いですから少しは世間的な配慮というものをお考え下さい……

お読みいただき誠にありがとうございます。

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