第１６１話 第三王子は威嚇される！
『す』と『し』の発音が苦手なネイティブアオモリンの恐ろしさよりも要注意危険物のように残虐な虐殺を繰り返す大ドゲスと邪悪の根源に言われ、お前が言うなぁ！とツッコミを入れたくなる『シュウ』です。
「ん～、レイニー！ こっちから押すからマヌルヌコ様を受け止めてくれ！」
「まあ、それしか無さそうだすね」
「よし！ マヌルヌコ様、今助けれやるからな。待ってろ」
僕はマヌルヌコ様に近付いた。
『シャーーーー！』
――!? どうしてだヌコ様？ 助けようとしている僕に、なぜ威嚇の『シャーーーー！』をする？ まさかと思うが、ドアのオブジェになるのが気に入っているのか？ 助かりたいのかオブジェになりたいのか、どっちなんだい！
僕はマヌルヌコ様に再度近付き、助けようとするが、またしても……
『シャァァァァア！』
再度の威嚇…… 僕に何か足りないものでもあるのか？ その辺をよく考えてみよう……
「わかったぞ！ レイニー。これでマヌルヌコ様を助けることが出来るぞ」
「何がわかったか知りませんが、くだらない事は確かですね」
「もう、うるさいよ。じゃあ、始めるぞ」
また僕はヌコ様に近付いた。
『シャァァァァア！！』
「アム○！ 認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを…… 今、君のようなニュータイプは危険すぎる。私は君を殺す！」
僕は無理やりマヌルヌコ様の頭を押した……
――結果。なんとかマヌルヌコ様を脱出させることに成功しました！が、成功の陰には尊い犠牲が付きもので、僕の手はヌコ様に何度も噛られ血まみれ、レイニーはヌコ様の脱出時に顔を爪で引っ掛かれ血まみれ。レイニーが言った通り、血まみれの血の海地獄と化した…… 僕とレイニーが坊やだからさ
「なぁ、レイニー。なぜ？ ここにマヌルヌコ様がいるンだ？」
「マヌルヌコ様は私の魂の半身！」
「……………………」
「ふと…… 神の声を聞いたような気がした…… 風と私は同じものであり 火と私は同じものである 水と私は同じものであり 土と私は同じものである 木と草と私は同じものであり 獣と私は同じものである 魚と私は同じものであり 鳥と私は同じものである 山と私は同じものであり 空と私は同じものであり 海と私は同じものである……」
――ヤベーヤツがヤベーこと始めやがったぞ！
「太陽と私は同じものであり 星と私は同じものである 宇宙と私は同じものであり 同じ魂同じ生命の海に生きるものである 天地一切の万物は私と同じものであり 私と天地一切の万物が同じものである」
――明らかにヤベーこと言い始めやがった！
「そんな思いが光となって私の胸を貫いた 言葉ではなく 理屈でもない 突然あらわれた光が瞬時闇を照らし 真実の世界をかいまみせたのに似ていた その光は思いとなって私の全身からあふれるように出て行った……」
――この人、ヤベーよ！ 何か悪い薬でもやってンの？
「魂は生命となってあらわれ 生命はまた魂となってかくれゆく 産み出されてこの方時はなく 私は永遠を旅する……」
――マジで恐いよーー！ 助けてママーー！
「人は我が姿見るにあらず 居るを知らず 万物に生命あるを知らず 万物の魂人の魂と同根なるを知らず こざかしいおろかしい眠れる魂よ 天の響きに耳かたむけよ 大地の語るを聞け」
――マジでこの人ヤベーよ！ ガチヤバもいいとこだ！
「風は我が心 火は我が力 水は我が生命 土は我が愛 真紅千年の生命の花を咲かそうぞ」
――この人、ガチでヤバよ。悪い薬でも使って紅○女にトリップしやがったのか!?
「と、言うことでマヌルヌコ様はここにいます」
マヌルヌコ様はレイニーに抱っこされ、強烈に暴れていた……
「あの～、それ全然説明になってませんけど…… それと、とてもマヌルヌコ様がレイニーさんの魂の半身に見えないンですが？」
僕は即座にレイニーにツッコミを入れた。
「……………………」
「……………………」
「シャァァァァア！」
マヌルヌコ様によって、血まみれになった僕とレイニーの間に沈黙が続いた…… マヌルヌコ様だけはその沈黙を許さなかった……
「ところで朝から何のようだったんだ？」
「アリエス様からこれを渡してくれと……」
レイニーの足元には大きな麻袋の中に何かが入っているようだった。
レイニーは足で麻袋を僕の足元には移動させると何も言わずマヌルヌコ様を抱っこして部屋から出て行った。
「シャァァァァア！」
――マヌルヌコ様と僕たちはどうも相性が悪いらしい。最初から最後まで威嚇されまくりだった。
「と、とりあえず、お母上様から預かった袋の中身を見てみるか」
『ゴソゴソ』
「――こ、これは!?」
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