第152話 第三王子は内緒にされる!
アイリスちゃんが金魚のように口をパクパクしている。クッキーでもあげたらパクパク食べるのかなとゲスな考えをしてしまう『シュウ』です。
さすがにソフィアちゃん、それはまずいですよ。
「ソフィアちゃん、ちょっと良いかな?」
「なにシュウ兄様?」
「火の玉を土管に当てると土管が壊れちゃうよ」
「え~っ、やだ!」
――土管が壊れるのが嫌なのか、火の玉を使えなくなるのが嫌なのか、どっちなんだろう?
「火の玉出したい、出したい!」
「火の玉を使うと土管が壊れて危ないからなぁ」
「私は壊しても大丈夫!」
「ソフィアちゃん? それじゃ、土管さんが痛いって泣いちゃうよ」
「土管泣かない。土管強い子」
「……………………」
「土管最強! 土管最恐! 土管最凶! 土管最狂!」
「……………………」
「アイリスちゃんも一緒に!」
「土管最強! 土管最恐! 土管最凶! 土管最狂!」
「――土管最強…… 土管最恐…… 土管最凶…… 土管最狂……」
「アイリスちゃん! 元気がないよ! 一緒に!」
「「土管最強! 土管最恐! 土管最凶! 土管最狂!」」
――ソフィアちゃんがいつの間に土管信奉者になってたよ。
「ソフィアちゃん、そんなに火の玉を出したいのであれば、丈夫な土管を作ってみるよ。少し待っててもらえるかい?」
「OKサムソン道場!」
「ソフィアちゃん、意味がわらんのだが」
「シュウ兄様はお笑いのセンスが絶望的に無いのよ。アイリスちゃんもシュウ兄様に言ってやって!」
「――この、人の知識を如何にも自分の知識のようにドヤ顔するのやめたら」
――!? 僕にお笑いのセンスが絶望的に無い? そ、そんな馬鹿な! 一流芸人と自負していたのに…… 僕は自称『一流芸人』だったのか…… アイリスちゃんも中々の毒舌やなぁ…… やっぱり、ドヤ顔だっかぁ…… 事実なだけに反論出来んわ……
「シュウ兄様、早く土管作って!」
ソフィアちゃん、切り替え早すぎ!
「お、おう。今急いで作るよ」
「は・や・く は・や・く は・や・く は・や・く アイリスちゃんも一緒に!」
「「は・や・く は・や・く は・や・く は・や・く!!」」
――ソフィアちゃんとアイリスちゃんの大合唱が始まった! 二人共、ブラック企業の上司並みの煽りをして来やがる!
僕は急ぎ耐熱性のある土管を作った。特別サービスで土管の色を緑色にしてあげた。これでスーパー○リオ感が倍増された。
土管のレイアウトはソフィアちゃんとアイリスちゃんに任せた。僕がレイアウトしても良かったが、『違う! そうじゃない! この禿げ!』とか言われそうだったからお任せした。ソフィアちゃんはアイリスちゃんの意見聞きながら魔法を駆使してレイアウトをしていった。
「ねえ、シュウ君。ソフィアちゃん達の楽しそうにしてるわね」
「そうだね。子供同士すぐ仲良くなれるみたいだね」
「アイリスちゃん、人見知りしてたのかしら?」
「ウツボ様から話しは聞いてたと思うけど、知らない土地に連れてこられた感じだからね。魔法も初体験だしね」
「そうね。ソフィアちゃんを通して魔法がどんなものか知るのも良いわよね」
「それは言えてるね」
「シュウ兄様! 出来たよ!」
最初の土管遊具よりかなりのレベルアップをしていた。そう、それはまるでスーパーマリ○ブラザーズ2を彷彿されるレイアウトだった。アイリスちゃんはまだ、魔法を使えないからほどほどに遊んで欲しい……
二号生のみんなはソフィアちゃん達が楽しそうに遊んでいる姿を見て、なぜか自分達も遊び始めてしまった。
僕はソフィアちゃんを呼んだ。
「ソフィアちゃん、二号生のみんなは攻撃魔法が使えないから火の玉は少しお休みしてくれないかな?」
「どうして?」
「どう説明したら良いかな……」
「ソフィアちゃん」
「なに? エリス姉様」
「あのね、ソフィアちゃん。もし、ソフィアが持っていない物を他の人が持ってたら、ソフィアちゃんならどうかな?」
「ソフィアも欲しい!」
「ソフィアちゃんだって欲しいわよね。二号生のみんなもアイリスちゃんも火の玉を使うことが出来ないの。これはわかるわね」
「うん、わかる!」
「偉いわね。ソフィアちゃんだけが火の玉を使ったら、みんなソフィアちゃんが羨ましいと思うんじゃないかしら」
「うん」
「ソフィアちゃんがみんなにあわせてあげることもみんなと仲良くなることなのよ。わかるかな?」
「わかった! みんなともっと仲良くなりたい。火の玉使わない!」
「そうね。その方がみんな喜ぶわ。しゃ、みんなと遊んでおいで」
エリスはそう言って、アイリスちゃんや二号生のみんなのところへソフィアちゃんを送り出した。
「エリスはすごいなぁ。ソフィアちゃんを納得させられて、僕は何にも出来なかったよ」
「そんなこと無いよ。ソフィアちゃんは、賢い子だから…… 物分かりが良いのよ。ただ、物分かりが言い分、我慢をさせてるンじゃないかと思うこともあるわ。でもねシュウ君だけなんだよ。ムチャなわがままを言うのは」
「そうなのかなぁ」
「フフフ、シュウ君は気が付かないところでみんなを支えているんだよ」
「たとえば、どんなところ?」
「それは…… 内緒……」
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