第149話 第三王子はみんなを待つ!
悪魔神官アイリス様のご登場の予感にビビりまくりの『シュウ』です。
「それで、エリスちゃんにお願いがあるの?」
「ウツボ様。何でも言って下さい。私に出来る事であれば、何でも強力します!」
「率直に言うわね。娘のアイリスに魔法を教えて欲しいの? 無理にとは言わないけど…… 王家の者が魔女になったら魔法を使う人達の後見人になってくれるんじゃないかと思ってね。無理強いはしないから安心して」
「――わかりました。ウツボ様のお気持ちをありがたく思います。アイリス様のご意志を聞いてからになりますが、魔法をお教えいたします。しかし、生活魔法のみとなりますがそれで、よろしいですか?」
「エリスちゃん、ありがとう。生活魔法だけで良いわ。下手に攻撃的魔法なんて使われたらお城が何個あっても足りないわ」
「「「……………………」」」
――やっぱりなぁ…… アイリス王女は要注意人物のようだ。
「ま、まあ。大体の方針は決まったし、細かいところは後日ということでメシにしようぜ! エリス嬢が手によりをかけて作ってくれた料理だ。楽しみにしていろよ!」
こうして僕らは食堂に向かい、エリスの手料理を楽しんだ。
――ウツボ様の会見から数日後
「エリス、シュウ。お父様からウツボ様がハルタンへ行く日程が決まったわ」
「マリー、いつになったの?」
「三週間後よ。学院長をはじめ、工事関係者全員、ハルタンに集合だそうよ」
「そうなの? じゃあ、あのアイリス王女も来るってことだよな?」
「王女様も来られるわ」
「アイリス王女ってどんな人なの?」
「――ん~、良い人よ」
――なんなんだ今の間は?
「とにかく会えばわかるわ。じゃ、今から学院長の所へ行くから、またあとでね」
マリーは急いで学院長へと向かった。
「なあ、エリス。アイリス王女はどんなに人なんだろ?」
「シュウ君、気になるの? 浮気はダメよ」
エリスは怖い笑顔で微笑んでいた……
「いや、違うよ。ウツボ様の娘さんだからね。ウツボ様に似て濃いキャラクターなのかなぁと思ってね」
「そ、そうね。言われてみればそうね」
「嫌な予感しかしないンだよね」
「まあ、その時はその時よ。私たちが年上みたいだから、ちゃんと見てあげないとね」
「ああ、そうだね」
「シュウ、エリス。何の話しだ」
「あっ、ビルダー。今度、国王陛下がハルタンへ行くことになったんだ。お前も来るか?」
「その話しかぁ、お祖父様から大体の概要は聞かされている。『お前も土木工学を学べ』と言われているけど、俺でも役には立つのか?」
「学院長から聞いてたんだ。なら話しがはやい。人数が多ければ多いほど助かるんだ。王都の下水処理施設の工事だからな。かなりの大工事になると思う。早く出来れば、その分みんなの暮らしが豊かになるからね」
「そうだな…… わかったわよ。協力させてもらうよ。それで、いつなんだ?」
「ビルダー君ありがとう。マリーの話しだと、三週間後の予定だって言ってたわ」
「そうか。じゃあ、予定を空けておかないとな。二号生のみんなには声を掛けたのか?」
「さっき、マリーから聞いたばっかりだからまだたけど」
「じゃあ、俺の方からみんなには声を掛けておくよ」
「ありがとうな。ビルダー」
「ビルダー君、ありがとうね」
「気にするな。俺達は仲間だろ。また、あとでな」
ビルダーはそう言って、自分の席に戻って行った。僕たちは本当に仲間に恵まれていると思う。
――普通なら、こんなご都合主義みたいにならないぞ! これもチート持ちの転生者の宿命なのか? こんな自分が怖い……
なぁんて、僕にはチート能力なんて一つも持ってないからな! グッハハハハ…… 虚しい……
――学園とハルタンでの土管作りに精を出していると、あっという間に約束の三週間が過ぎた。
学院の園庭でハルタンへ向かう時間を待っていると二号生のみんなが集まって来た。しかも一人も欠けていない。本当に全員が工事関係者として集まってくれた。ありがとうね。みんな!
学院長たちもやって来た。
「あとは、ハンマーとウツボだけじゃな?」
「ええ、少し遅れているようです」
エリスが学院長に答える。
その瞬間、ちょっと離れた場所にマリー、マリーパパ、ウツボ様ご一行が現れた。
「お待たせー。みんなごめんなさい。待たせちゃったわね」
「マリー、私達は大丈夫よ」
「遅れたってほんの少しじゃないか、気にするなよ」
二号生のみんなはマリーには優しいなぁと僕は、そんな彼らを僕には辛辣なのにと怨み節を交えながら見守っていた…… ゲスですまん。
二号生のみんながウツボ様の存在を確認すると一斉に片膝を付き、臣下の礼をとった。
ウツボ様は二号生に対して、
「皆のもの今はプライベートだ。臣下の礼はしなくても良いぞ」
ウツボ様の優しさは、たぬきのモフモフを越えるでぇ!
しかし、二号生のみんなはウツボはの声を掛けた聞かず、臣下の礼をやめようとしなかった。
ウツボ様は諦めたのか、それ以上は何も言わなかった……
ウツボ様の後ろには8歳位の金髪で碧眼の可愛い女の子が立っていた。多分この娘がアイリス王女だと思う。 初めての瞬間移動だったせいかお二人とも顔が青くなっていた。初めて瞬間移動は、そうなるよな。僕だってそうだったし、あとでフォローしてあげようと思ったが……
――失礼を承知で、ウツボ様とアイリス王女、全然似てないじゃないか! よく父上と僕が似てないと疑ったな! お前ら親子も全然似てねぇじゃねぇーか!! スッキリしました。
「あとは、ブルース達だけだな」
マリーパパは一言呟いた。
父上と母上もここに来るのかぁ。と考えていると父上と母上、そして、レイニーが現れた。
――このメンツにお母上様とお父上様、ソフィアちゃん、サムソンさん達が加わったら、何かの化学反応を起こして、大爆発でもするんじゃないかと心配してしまう……
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