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第15話 朝の風景

「実はね、エリス…… 僕ね、前々世と前世の記憶があるんだ…… 長くなるけど聞いてくれるかい?」


「えぇ、聞かせてもらうわ……」


エリスさんから告白して貰えると喜んでいたら、僕の秘密がバレた! まさに天国から地獄の奥底に叩き落された『シュウ』です。



エリスに僕が前々世では愛する妻、子供たちに見守られながら病で亡くなった事や前世では川で溺れた幼馴染を助けようとして、逆に川で溺れて亡くなった事、現世ではフロンシニアス王国第三王子として生きている事などを話した。


エリスは相槌を打ちながら僕の話しを聞いてくれた。最後は、ニコニコ笑いながら


「――シュウ君、あなたの秘密を話してくれてありがとう! やっと確信できたわ!」


僕はエリスが、なぜ僕の秘密を知っているのか? 何を確信したのか? エリスは何者なのか? 疑問だらけで頭が働かない…… 逆に、エリスに聞いてみた。


「申し訳ない。エリス、頭が混乱して、何を言えば良いのかわからないが、君は一体何者なんだ?」


エリスは考え込んだ顔をして、


「今は、何も言えないわ。ただ、今、言える事はどんな人よりも私はあなたの一番の味方ってことよ!」


エリスは上機嫌で答えたが……


「えっ!? 答えになってないんだけど…… あと味方ってなんだい?」


僕は不満げに聞いてみた。


「そのうちにわかるわよ! 今は私の話しを信じて頂戴!」


「はぁ~」


納得出来ない返事を返す。


「この事は誰にも言わないわ。安心して頂戴。私とあなたとの秘密ね!」


エリスは満面の笑顔で答えた。 



――かわいいなぁ…… マジかわいい。

 


あの笑顔を見せられたら『あぁ、そうかぁ』と納得するしかないな。と思うことしか選択肢はない。


「これからもよろしくね! シュウ君またね!」


そう言って、上機嫌でエリスは走って去って行った。


『ふぅー』


その場に残された僕は深いため息をついた。



寮の自室のベットに倒れこみ、エリスの事を考えていた――


しかし、いくら考えたとしても圧倒的に情報量が乏しい。疑問だらけで今の自分には打つ手が無い。とりあえずエリスの言葉を信じて生活を続けて行こうと決めた


「今日は疲れた…… 早めに寝よう……」


独り言を呟き就寝するのだった。



翌朝、レイニーが音もなく自室に入ってきた。相変わらずノックも入室時の挨拶もない…… 完璧に自称『クールビューティー』を貫いている。信念のあるメイドさんなのだろう……


「ロッシュウ様、早く起きて下さい。早くしないと授業に遅れますよ。早く掃除をしたいので、さっさと学院へ行って下さい」


「おはようレイニー。部屋に入る時はノックだけはしてくれないか? 一応、僕にだってプライバシーという物があるんだよ」


僕はベットから起き上がりレイニーに告げる。


「おはようございます。ロッシュウ様……」


「ロッシュウ様には、始めからプライベートもプライドも人権も尊厳もありませんからご安心を……」


レイニーのヤロー。何がご安心をだよ! 最後には完全にディスってるじゃねぇーか! ()()()が付けば何でも良いのかよ! 


このメイドさん、本当に僕の専属メイドなのか? 忠義、忠誠が全く無いのも考え物だと思うが、レイニーであれば是非もなし…… by 信長


「あの~レイニーさん、着替えるので部屋から出て欲しいンですけど」


「あっ。今、出ますので、着替えが終わりましたら食堂室までお越し下さい」


そう言ってレイニーはスタスタと部屋を出て行った。


普通のメイドさんだったら着替えを手伝ったりするのだがレイニーの場合は、正装の時以外はノータッチである。 



――何かが間違ってる?



着替えを終え、一階の食堂へ向かった。


この寮は男子寮、女子寮は隣接して建てられ、一階に男子寮と女子寮を繋ぐ渡り廊下があり、寮生が行き来が出来るような構造になっている。男子寮の一階に学生食堂があり、女子生徒達は朝食、夕食にはこの渡り廊下を通り、男子寮の学生食堂へ来て食事をするのだ。女子生徒は男子寮へは行き来できるが、当然のことながら男子生徒は女子寮には行くことは出来ない。特別な理由があれば、立入り許可証をもらい女子寮に立ち入る事が出来るらしいのだが…… 男子生徒が女子寮に入ったとか聞いたことがない。因みに男子寮一階には、水風呂場という名の水行場がある。


食堂に着き、とりあえずレイニーを探した。 


――そこには衝撃の事実が……


レイニーが僕より先に朝食をモグモグと食べていたぁ!


いや、いや、レイニーさん。貴族間における常識として普通は、僕の朝食を準備して待っているのがメイドさんのお仕事じゃないですか! 一応これでもフロンシニアス王国第三王子なんですよ! 僕は!  


――もうヤダ! この人……


僕はあまりにも理不尽な現状にその場に跪いた。


「シュウ君、朝からなにしてるの?」


後ろからエリスの声がした。


「あぁ、エリスか、おはよう……」


「シュウ君、おはよう! それで朝からどうしたの?」


「僕のメイドが、僕の存在を忘れて自分だけご飯食べてたんだ……」


昨日の事もありぎこちない顔でエリスに向けて顔を上げた。


「あらあら、大変ね、ウフフ。 じゃ、しょうがないから私とご飯食べましょう」


エリスは今の自分には眩しすぎる笑顔で答えた。


「ごめん、じゃ、一緒に食べようか」


「別に謝らなくても良いのよ。 じゃ、朝ご飯取りに行きましょう!」


「うん」


と答え、食堂のおばちゃの所へ行き、朝食を2人分をお願いした。

おばちゃんから


「あんた達、仲いいわね! もう付き合ってるの?」


「!? ――おばちゃん! な、何言ってるの!」


「私達まだ……」


「あらあら、若いっていいわね」


「!?…………………………………………」


エリスの顔を見たら顔と耳が真っ赤になっていた。


多分、僕の顔も真っ赤になっていたと思う(恥)


おばちゃんにからかわれ、気分が落ち着いた所で、朝食を2人分受け取り空いている席に着いた。 


さぁ、気分を変えて今日の朝のメニューは!


健康の為に雑穀を混ぜたパン。筋肉の為にゆで卵2個。これは一人2個の強制ノルマとなっている。 因みに、こちらの世界では食中毒予防の為、生卵は食べてはいけない事になっている。卵は必ず火を通すこと! 健康と筋肉の為に塩茹でした野菜と鳥のササミ、豆のスープ、付属で一人1個フィンガーボウルとナイフが付てくる。以上が本日の朝食メニューになります!


この国にもスプーン、フォークは使われていない、ワイルドに手掴み又は親指に乗せて食べる! しかし、この国な食事風景はマナーを守りみんな綺麗な所作で食事をしている。


フロンシニアス王国とは大違いだ! フロンシニアス王国の場合、汚い食事風景が一面に広がる。食事をしている最中でも尿意を催せば食堂の壁に近づき、みんなが見てる前で放尿しやりやがる! 


――お食事ならぬ汚食事……

 

筋肉=結束=道徳心ということが良くわかる。 


――筋肉って偉大だなぁ!

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