第140話 第三王子は興奮する!
マリーパパの策略に、はまり国王陛下が倒れ込んだ姿を『フゲフゲ』と見下ろすゲスな『シュウ』です。
まあ、あの高身長で照明器具を間近で直視したらそうなるよな。
「ちょっと~何してくれてるのよ! ハンマー!」
「悪い、悪い。わざとじゃないんだ。許してくれ。それでどうだ? この照明器具は?」
「何なのよ! このシャンデリア! 眩しすぎるわ! 良くこれだけの明るい高級蝋燭を準備出来たわね? 嫌な臭いも全然しないし」
「ウツボ。実はな。これ蝋燭じゃ無いんだ」
「ハァ? 蝋燭じゃ無い? じゃ、一体なんなのさ?」
「ちょっと待ってろ。ゴリー、照明器具のカバーを外してくれ」
「はい、旦那様。少々お待ちを」
「シュウも手伝ってやってくれ」
「ハイ」
僕とゴリーさんで照明器具のカバーを外した。
「ハァ? どういうこと? 蝋燭なんて無いなんて…… どうやって明るくなってるのさ?」
「ウツボ、これを見てくれ」
マリーパパは国王陛下に小さな魔法石を見せた。
「エリス嬢、頼む」
「ハイ」
エリスは指を鳴らすと魔法石は光り始めた。
「えっ? えっ? なんで? なんで石が光るのよ? どういうこと? ハンマー説明しなさいよ!」
やはり国王陛下も人の子、巨大なドレスを震えさせながら動揺していた。
「ん~、説明が難しい。エリス嬢、あとは頼む」
――さっきからマリーオヤジは『頼む』しか言ってないような気がするのは僕だけか?
「わかりました。それでは、陛下この石は魔法石と呼ばれる物です」
エリスは、あの国王陛下に堂々と説明を始めた。さすが、我が婚約者様!
「魔法石? 魔法石とはなんなの?」
「魔力が籠った石でございます」
「魔力?」
「そうです。魔力です。魔力は魔法の基本であり、この石は魔力の力で発動します」
「エリスちゃん? 私の聞き間違いかも知れないけど、今魔法って言わなかった?」
「ええ、確かに魔法と言いました」
「えっ? 聞き間違いじゃなかったの?」
明らかに国王陛下は混乱状態に陥ってしまった……
「ま、ま、魔法…… なんでそんな石がハンマーのところにあるのよ!」
「私が作ったからです」
――やっぱり、エリスはスゲーなぁ~ ここ一番の冷静さと度胸(お胸の話しはNG)はパネェ!
「あ、あ、あ、あなたが作った!? この魔法石を?」
「そうです。私が魔力を魔法石に込めて作りました」
「エ、エ、エリスちゃんが?」
「ええ、そうです」
「じゃ、エリスちゃんは魔法を使えるの?」
「はい、私は皆さんの言うところの魔女と呼ばれている者です」
「魔女………………」
陛下、誤解しないで下さい。私たちはこの国を滅ぼすとか危害をくわえようとは思っていません」
「それは………………」
「魔法が使えるというだけで、人間と代わりません。それに、魔法は訓練さえすれば誰にも使えます」
エリスは僕を見た。
僕は手のひらの上に小さな炎の竜巻を国王陛下に見せた。
「なに? なに? これが魔法なの? 手品じゃないの?」
僕は、
「正真正銘の魔法です。僕もエリスから魔法を学びました」
「そ、そうなの」
「魔法は誰にも使えます。魔法を学ばない者が、ただ単に魔法を使える者に嫉妬や利権を得たい者達から始まった差別や迫害に繋がっているのです。国王陛下! 魔法を恐れないで下さい。僕たちの目的は世界との共存共栄と融和です!」
「――あなた達の熱意はわかったわ。これからあなた達はどうしたいの?」
エリスは、
「この魔法石を世界に広めたいと思っています。魔法石が広まれば、全ての人が少しでも貧しい生活から救われます!」
「……………………」
僕は、
「国王陛下、疫病の原因はお分かりでしょうか?」
「瘴気じゃないの? 昔からそう言われてるし……」
「それは、違います。瘴気など、そんな物はどこにもありません。」
「「「えっ?」」」
エリス以外、その場に居たみんなは、僕の方を見た。
「僕はこの国に来るまでフロンシニアスで、疫病の原因と対策を語り続けて来ました。しかしそれは、この世界の常識に阻まれ実行に移せませんでした。誤解の無いよう予め話しておきますが、僕の父上は僕の話しを理解力してくれていました。しかし、あまりにも世界の常識の前ではどうすることも出来なかった……」
「「「……………………」」」
「僕が弱いばっかりに、父上は僕が異端の者と呼ばれ、暗殺事件をきっかけに僕を暗殺から護る為に、この国に留学させてくれたのです。でも、もう遠慮はしません。僕には味方になってくれる人がたくさん出来ました」
――僕は興奮のあまり何を言っているのかわからなくなってしまった…… ただ、僕の思いだけはみんなに伝えたかった……
「そんな事があったのね。辛かったわね……それで、疫病の原因と対策は何なの?」
「――すみません。興奮してしまいました。疫病の原因ですが、アルラサンド王国が疫病が他国より少ないのは、なぜかわかりますか?」
「筋肉で瘴気を寄せ付けないからじゃないの?」
「筋肉と瘴気という所は遠からず当っています。まず、原因は不衛生な環境です。フロンシニアス王国をはじめ、他国では疫病は水から感染する。生の野菜からも感染すると考えられています。基本的にお風呂に入らない。生野菜を食べない」
「不衛生?」
「不潔と言うことです」
「待って、シュウ。不衛生だっけ? 不衛生だと、どうして疫病が流行るの?」
マリーが僕に聞いてきた……
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