第138話 第三王子は国王陛下に会う!
アルラサンドの国王陛下がどんな人物か、ある意味楽しみな『シュウ』です。マリーからは気さくなお方だと聞いている。としか教えてもらっていない…… 濃いキャラクターが続いているのでここはあっさりとした、キャラクターであって欲しいと願うばかりだ!
僕たちが玄関先で待っているとアルラサンド王家の紋章の付いた、見たことも無い豪華で巨大な馬車が止まった……
従者が国王陛下が馬車から降りるために色々準備を始めた。しかも大掛かりな準備だった……
やっと馬車から降りる準備も終わり、馬車のドアが開いた…… さぁ、いよいよ国王陛下との謁見だ! 僕らは臣下ではないが礼儀として臣下の礼をした。頭を下げているので、まだ国王陛下を見ることは出来ない。
僕はアルラサンド国王陛下にお会いしたことがなかった。本来ならこの国に来たときに謁見すべきだっただろうが、入学にあっての準備と不安でそれどころじゃなかったし、一番の理由は邪悪の根源の邪魔だった……
『ゴクリ』
従者が声を上げる。
「国王陛下のお出ましである。皆のもの面を上げよ」
ここで頭を上げてはいけない。一度目では頭を上げないのが礼儀の一つになっている。二度目の声掛けで初めて頭を上げるのだ。
「皆の者、面を上げよ」
また違う声が聞こえてから僕らは頭を上げた。
――!?
僕はあまりのことで失礼ながら、2歩ほど後退りしてしまった……
そこに現れたのは……
2メートルを遥かに越える巨大な岩石筋肉オネェオヤジだった!? なぜ可愛いドレスまで着ている!? 僕は心の底から叫びたい!!
『お前、ギルティィィィイ!!』
――マジかぁ! 見るからにやべぇヤツと一発でわかる風貌、なんで、この国のキャラクターは、斜め上を行く人間しかいないんだぁよぉ!!!! 僕の精神を殺しに来ているのか? どうして、巨大オネェオヤジなんだ!?
「久しぶりじゃな。ウマツボックリ・オネェ・デラックス」
「師匠に会えてボックリ、カンゲキ~」
マジで国王陛下なのか? 学院長が師匠?
「よく来たな。ウツボ」
マリーパパが国王陛下!?に声をかけた。
「ハンマーちゃんも久しぶりね。あなたなかなかお城に登城しないだもん。もうプンプン丸よ!」
「そりゃ~、面倒クセェからよ。城に行きたくないんだわ」
「ハンマーちゃんも相変わらずね」
「国王陛下、お待ちしておりました」
今度は、マリーママが国王陛下?に声をかけた。
「エミーも久しぶりね。元気だった?」
「お陰さまで、国王陛下もご健勝でなによりです」
「エミー! 私の事はウツボちゃんと言いなさいって毎回言ってるでしょ! なんでウツボちゃんって呼んでくれないの?」
――ハァ!? ウツボちゃん? 海にいるウツボのことか? ウミヘビのことなのか? ウケを狙ってるのか? 笑えねぇよ! コイツら絶対僕に憤死させようとしているのか? 何て高度な暗殺者なんだ!
「そ、それは…… 陛下に失礼にあたりますので……」
「あなたと私は同級生なんだからプライベートでは遠慮しないで! 次にウツボちゃんと呼ばなかったらハグハグ&おひげジョリジョリの刑よ! わかった?」
「ウ、ウツボちゃん…… ハグハグ&おひげジョリジョリの刑はマジで勘弁してください」
――マリーママが怯えているだと!? あの地上最強の鬼嫁が!? この国の国王陛下はマジモンのやべぇヤツでしたか?
「あなたマリーちゃん!? 大きくなったわね! 最後に会ったのがあなたがまだ、小さい時だったから懐かしいわ~ あの頃はおひげジョリジョリされても『キャッキャッ』って喜んでたのよ。久しぶりにおひげジョリジョリしてあげる」
「――!? へ、陛下に、そ、そのようなことは……」
「マリーちゃん、私に遠慮はしなくても良いのよ」
「あっ、い、いえ、遠慮などと……」
さすがのマリーも国王陛下!?のおひげジョリジョリの刑はものすごく嫌らしい…… 僕だって、おひげジョリジョリの刑だけは逃げ出したい……
「見慣れない顔があるわね? あなた達は?」
国王陛下!?は僕とエリスの顔を見て話しかけて来た。
「申し遅れました。フロンシニアス王国第三王子、ロッシュウ・ニオ・アルパトスです。私の事は、シュウとお呼び下さい。どうぞ、お見知りおきを……」
「あっ、あなたがブルースちゃんとセリーナちゃんの息子さん? 確か…… この国に留学してるって聞いたけど、全然二人に似てないわね?」
――ズキッ! 国王陛下!?の何気ない一言が僕の胸に足利尊氏の愛刀『骨喰藤四郎』で、骨もろともぶった切られたような痛みを感じる…… こういう時はバットがなんとかしてくれる! バット、いつものように僕を助けてくれ!
「国王陛下、申したい義がございます」
ついに来た!! 我が救世主バット様!
「なぁ~にぃ、バット君♡」
「国王陛下の言う通り、全然似ていません!」
――ハァァァァア!? バットのヤロー、マジで僕を裏切りやがった! なんてサイテーなヤローなんだ!
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