第137話 国王陛下の来訪
マリーパパより国王陛下の会談にお呼ばれされて緊張しまくりの『シュウ』です。濃いキャラクターだと感じるのは僕だけだろうか……
あっという間に、国王陛下がマリーのお屋敷に来る日になりました。本当にあっという間ですね。ご都合主義だからしょうがない
僕とエリスが約束の時間に合わせてマリーのお屋敷に着くと、マリーパパとママ、マリーが出迎えてくれた。
「遅いぞ、シュウ! なにをやっていた!」
「えっ? 時間通りじゃないですか?」
「お前にはやってもらいたいことがあるから早めに来いと言ってたはずだ!」
――そんな話し聞いて無いのだが? マリーを見るとマリーは僕から目を反らした。あのヤロウ、忘れていやがったな!
「遅れて、す、すみません……」
「わかれば良い。早くこっちへ来い」
僕はマリーパパにネコ掴みをされ、エリス、マリー、マリーママを置いて風呂場へ連れていかれた。
――これくらいの理不尽、前々世の社畜時代を思えば大したことはない…… 自分の事ながら悲しくなるなぁ……
風呂場に着いた僕はマリーパパから
「急で悪いが、天井を高くしてくれ!」
「今からですか?」
「そう、今からだ! 国王が来る。すぐに取りかかってくれ!」
「出来る限り要望にお答えします」
「頼んだぞ! 俺は違う所の準備があるから急いで頼むぞ!」
そう言って、マリーパパは居なくなってしまった。風呂場に残されたのは僕一人。返事はしたものの、どうやって天井を高くするんだ?
天井を爆裂魔法で粉砕し、エリスから教えてもらった新しい魔法、超吸引魔法を使い瓦礫を撤去した。ここからどうする?
上の階の床と風呂場の天井の耐久性が落ちるので、土魔法の一つ『硬い石壁』と『硬い棒・鉄筋』、火炎魔法の一つ『乾燥バキバキヒーター』を使い補強した。そして、僕の粋な計らいで天井の照明を7色に変わる電飾に変えてあげた。これで、リラックス効果抜群! 如何わしい目で見たら、叡知の館の如何わしい部屋に見えるのは僕だけだろうか?
如何わしいのはダメ! ゼッタイ!
ということで、やっつけ仕事で完成させた。マリーパパに確認をしてもらうと天井の高さは及第点を。そして、気になる電飾は予想以上に気に入ってもらった。
――マリーパパはこういうのがお好みらしい…… 叡知な公爵様め!
僕が大広間に行くと、学院長、秘書の超兄貴の二人、ヒスト・リーファン先生がすでに来ていた。学院長と超兄貴達は今日の為か金色の糸で刺繍されたネクタイを締めておられ、ビキニパンツ一丁にネクタイ! どこまでも紳士の嗜みを忘れないとは頭が下がる思いだ……
それから、しばらくして礼服を着たバットがやって来た。
「シュウも来てたか? 早いな」
バットは僕に話しかけてきた。
「ああ、ちょっと色々あってな風呂場のリフォームをしてたんだ」
「なに!? 風呂場のリフォームだと! なぜ俺を呼ばない? 呼んでくれたらすべてを投げうってでも駆けつけたのに……」
――悔しいそうな表情を浮かべ、四つん這いになるバット…… お前、いつから建築系が好きになったんだ?
「折角、サムソン師匠に自慢出来ると思ったのに……」
「――マリーパパから急に言われて…… 次はバットにも声をかけるから…… 我慢してくれ」
「シュウ、その時は頼んだぞ! マジで頼むからな!」
――バットは建築系マニアにクラスチェンジしやがった! その建築にかける情熱はどこから来るんだ! まさか、バットが建築系マニアにクラスチェンジをするとは思わなかったよ……
「お前達の準備は出来ているのか?」
大広間にマリーパパがやって来た。
「ジジィも来るとは思わなかったぜ!」
マリーパパは学院長に舐めた口調で話しかけた。 僕の学院長に、何を舐めた口をきいているんだ!
「お前に任せておったら、碌な結果にならんからな」
「へい、へい その時は頼むぜ、ジジィ」
――なんなんだ? このフラグは? また何か始まるのか? 120%嫌な予感しかしない……
「ハンマー、そろそろ陛下が来る時間よ。あなたもちゃんと準備は出来ているの?」
マリーママが国王陛下の来訪時間を告げる。
「ああ、大丈夫だ。エリス嬢から聞いた料理も出来ている。シュウ、安心しろ。お前用にミノノモンタから貰ったリンゴも大量に準備してあるからな」
一人のメイドさんが大広間に入って来た。
「旦那様、国王陛下がお着きに為りました!」
「おお、そうか。ありがとう」
「いえ、失礼致します」
そう言って、メイドさんは速攻で部屋から出て行った。
マリーパパがみんなに声をかける。
「皆の衆。話しは聞いたな! お・も・て・な・しの開幕だァァァァア!!」
「「「オオー!!」」」
僕たちは国王陛下の出迎えの為、急ぎ玄関へと向かった。
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