第136話 第三王子は茶番劇と言われる!
学院長にトラマスクⅡ世の名言を聞かされ、なんでお前が知ってるだとツッコミを入れたくなる『シュウ』です。
「エリス嬢、ちょっとだけ聞いて良いか?」
学院長はエリスに聞きたいことがあるみたいだ。
「ハイ、なんでしょう?」
「魔道具とは、一体どんな物なのだ?」
「それなら学院長、我が邸宅にいらっしゃいませんか? つい最近、魔道具を使い改築したばかりです。一度、みなさんで体験されたらよろしいかと思いますが?」
「なに!? すでに魔道具を使っているのか?」
「ハイ、お父様、お母様もとても便利な魔道具には喜んでおります」
「あのハンマーとエミーがか?」
「そうですが、何か?」
「いや、何でも無い。では、後日伺うとしよう」
「ハイ、お待ちしております」
「ところでマリー嬢、ハンマーは魔道具の売買について何か言ってなかったか?」
「ハイ、国王陛下に無理やりでも許可を取り付けると行っておりましたが……」
「陛下にはもう話されたのかの?」
「いえ、国王陛下を我が邸宅にお迎えして実際に見ていただく予定にはなっておりますが、まだ日程の方が決まっておりません」
「ん~、そうか。もし日程が見決まったら教えてもらえんだろうか? 私も一緒にその話し合いに参加しよう」
「えっ? 学院長がですか?」
「そうじゃ。私ではご不満かな?」
「い、いえ、そんなことはありません。日程がわかりしだいお伝えします」
「そうか そうか。よろしく頼むぞ」
「ハイ」
僕たちは学院長室から退室した。
「シュウ君。大丈夫だった?」
「結構キツかったよ」
「長時間、空気椅子に座っている人、はじめて見る気がする」
「僕だって、長時間座らせられるとは思ってもみなかったよ。まだ足がプルプルしているよ」
「これで、シュウも俺たちの仲間だな」
「バット。どういうことだ?」
「この国では12才になると24時間耐久空気椅子の儀式があってな、誰もがその道を通るのだ。食事もトイレもだぞ」
「……………………」
「過酷過ぎないか?」
「ああ、もう一度やれって言われても二度とゴメンだ。クリアする自信も無い」
「鍛練というよりは拷問に近いんじゃないのか?」
「肉体と精神を追い詰めて、忍耐力を養う儀式だからな」
「この国はどこまでストイックなんだよ」
「ストイックだからこそ、人に優しくなれるし、共感も出来るんだよ」
「そんなものなのか?」
「試練を乗り越えた者だけが到達出来る境涯というのかな? 悟りを開く事が出来るんだよ」
「――そうか」
――僕にはバッドが何を言っているか理解出来ません……
「しかしなぁ、エリスが本物の姫様とは思わなかったよ。ハルタンで姫様、姫様って言われてたからすっかり、アリエス様のご息女だからと思っていたが、それとは違う意味合いもあったんだなぁ」
「そうことだよ。エリス・フォンテーヌ様の生まれ変わりだから、この世界には無い知識があるんだろうね」
「良い意味で、ハルタンの文明は異次元の世界だからなぁ」
「そうだな。この文明が人々の役に立ってくれたらどんなに良いか」
「きっと、大丈夫さぁ。シュウの願いが叶う時がきっと来るさ」
「そうか、バット…… ありがとう」
「照れること言うんじゃねーよ」
「二人共に茶番劇はそのくらいで良いかしら?」
「「……………………」」
――茶番劇って…… マリー、どこからどうみても感動的なシーンだろ? それを茶番って…… 僕は忘れていた…… マリーが邪悪の五神に愛されし者だということを!
「バット、これでわかった? エリスとシュウが婚約した意味が?」
「ああ、まさか二人共、元夫婦だったとは思わなかったよ」
「エリス・フォンテーヌ様とロッシュウ・ルーン・アルパトス様の生まれ変わりだったなんてね。二人が惹かれ合うのも当然のことだった気がするわ」
「俺も婚約の話しを聞いた時は、止めようとしたくらいだったからな」
「バット…… 実は私もあなたと同じことをしたのよ。生まれ変わりの話しを聞いて、ああ、これが運命の再会なんだなぁと思ったわ。現実問題、そんな事って無いからね」
「これが俗にいう『世界ふ○ぎ発見! ひとしく○人形』なんだろうね」
「バット、あなた良いこと言うじゃない!」
「……………………」
――今のが良いことなのか? なんでお前らが『世界ふし○発見!』を知っているんだよ? まさかの司会者と筋肉で繋がっているのか? まさに、異世界○しぎ発見!だ……
――数日後の教室
「エリス、シュウ! お父様から国王陛下の会談の日程が決まったって」
「マリー、それはいつなの?」
「五日後よ。二人共予定は空けておいてね。私は学院長のところへ行って伝えて来るから」
マリーはそう言って、教室から出て行った…… 台風を超えて竜巻みたいだな……
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