第127話 第三王子はセンスに嫉妬してしまう!
気絶するくらいの何かを食べさせられた『シュウ』です。その後、マリーは料理が禁止令が出た訳です。
――裏切り者バット。キサマだけは絶対に許さんぞ!
翌朝、バットから
「すまん。どうしてもマリーには逆らえない…… 許してくれ……」
と、謝られたが、台詞の後の(ニヤリ)だけは忘れないからな!
◇
マリーのお屋敷のリフォームだが、数日で終わり、ちょうど一週間で終わった。
魔物さん達と僕達は撤収した。マリーから後日、聞いたのだが、休暇を与えられたメイドさん達が戻って来ると屋敷内の変貌ぶりに大変な驚いていたそうだ。照明器具、水洗トイレ、銭湯風お風呂。どれもこれも見たことのない物ばかりでメイドさん達が度肝を抜かれている顔がメチャメチャ面白かったと感想を述べるマリーの『邪悪の五神』に、こっちがドン引きである……
メイドさん達は、
「トイレに臭いが籠らない」
「おまるが必要ないのが良い」
「温かいお湯に浸かれるのって素敵」
「この石鹸、すごい泡が立つんだけど?」
「しかも匂いも良いし」
「照明器具も明るくて蝋燭の嫌な匂いもしない」
など大好評だったが、メイドさん達には外部にリフォームの件は洩らさないように通達しているそうだ。訪問客に対してはリフォームをしていない場所に案内をするとのことで、決まったらしい。その為、玄関フロアなど応接室、宴会の為の大広間はリフォームをしていない。
リフォームをしているところは関係者以外立入禁止になっている。
徐々に魔法石の活用を広げて行こうと模索中なのだ。いずれ、ハルタンの存在が明るみになった時の為に対処も必要になる。
魔法石欲しさにハルタンに戦争を仕掛けて来る国も出てくるかも知れない。魔法石を悪用する者も居るかも知れない。魔法石に魔力を注入をさせる為に奴隷やブラック企業並みに過酷な労働をさせる者も出るかも知れない。など、様々な問題を抱えているが、一つ一つ解決策していかないと……
因みに、下水処理施設にいる水スライムの存在はごく一部の者しか知らされていない。まあ、水スライムのお世話はマリー、マリーパパ、マリーママ、ゴリーさんがお世話をしているとのこと。マリー曰く、三人とも一日中、下水処理施設から出てこない日もあるそうだ。
別に水スライムはニートだからお世話をしなくても良いのにと思うのだが、きっと愛着が湧いてぷよぷよスライムからガチムチスライムにクラスチェンジさせる気なのかも知れない。何に対しても愛情をかけることは良いことだとぼくは思うが…… やり過ぎだけは勘弁してほしい……
◇
ハルタンへ戻り、お外で可愛よのソフィアちゃんと縄跳びで遊んでいるとエリスが僕らの元へやって来た。エリスは僕に、
「マリーパパが私とシュウ君で話しをしたいって、マリーパパの都合がついたらマリーに日程を伝えるから来てくれって」
「一体、何の用だろう?」
「魔法石の話しかも知れないわね」
「ん~。何かいい方法でも考えてくれたのかな?」
「そうだと良いんだけど」
「まあ、マリーパパ待ちって事だから僕達も何か提案できるようにしていこう」
「そうね」
「それと二号生のみんなは?」
「魔法の特訓をしているわ。みんな、かなり上達したよ」
「そうなのかい?」
「攻撃魔法は教えてないから、ほとんどが生活レベルで使える魔法と防御系の魔法だけだからね。だけど、相撲の稽古ばかりしているヤス君なんて初級クラスの治癒魔法が使えるようになったわ」
「それは凄いな! 相撲ばっかりであまり魔法の特訓には顔をださないのに」
「ええ、才能があったみたいだね。みんなもそれぞれ自分の持っている魔力属性に合わせて次々と魔法を習得しているわ」
「早く魔法が怖れられるものから身近なものになれば良いね」
「ええ、早くそんな日がくれば良いね」
「うん。じゃ、そろそろソフィアちゃん。お家の中に入ろうか?」
「ちょっと待って、エリス姉様! 私、縄跳びで上手になったんだよ。見てて」
ソフィアちゃんはそう言って、エリスにご自慢の縄跳びを披露していた。
◇
――数日後
マリーが久しぶりにハルタンにやって来た。
「エリス、遅くなってごめんね。お茶会とか新年の挨拶でなかなか抜け出せなくって」
「良いのよ。マリー」
「相変わらず、忙しそうだね?」
「ホントにそうなのよ。お茶会だって、あのプロティンはどうだ。肩の筋肉はこう鍛えれば良いとか。そんことばっかり、今は、しなやかな筋肉が注目されてるのに遅れてるのよ。ホントな困ったものだわ」
――しなやかな筋肉はマリーしか注目してないから…… アルラサンド王国の令嬢達の会話が筋肉っていうのも何かシュールさを感じるのは僕だけだろうか……
「あっ、そうそう。シュウ、エリス。お父様が明日の朝に屋敷に来てくれって頼まれたわ」
「明日の朝かい?」
「ええ、明日の朝、伺わせてもらうわ」
「お願いね。じゃ私、戻るから! また、明日!」
マリーはそう言って帰って行った。
「エリス。マリー、忙しそうだったね?」
「そうね。台風みたいだったわ……」
――まさに厄害を運ぶ台風と言うに相応しい言葉だった。エリスの言葉のセンスに嫉妬してしまう……
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