第124話 第三王子は闘いの話を聞く!
神秘の存在として、女性陣から崇められる『シュウ』です。ホントに崇められているのか?
「そのことなんだけど……」
「セリーナ、ちょっと待って。マリー! ちょっとこっちに来てもらえる?」
「エリスもこっちに来なさい!」
お母上様とマリーママがマリーとエリスを呼んだ。
「「ハイ、お母様」」
マリーとエリスが僕らの座っているテーブルに来た。
マリーママが、
「セリーナが面白い話しをしてくれるって! あなた達も座って聞きなさい」
「「ハァ?」」
マリーとエリスは椅子に座り母上様の話しに耳を傾けた。
「ブルースとハンマーがどうして出会ったかというと」
「お父様とブルース様の出会いですか?」
マリーは母上に質問をした。
「ええ、あなたのお父様と私の夫、ブルースの出会いの話しよ」
「是非、お願いします」
「じゃ、続けるわね。あれは、ブルースが王太子になったばかりだった頃ね。婚約者だった私と地方視察という名の婚約旅行に出かけた時に、乗っていた馬車が谷底へ落ちてしまうハプニングが起きたの。これはシュウには話してあるわよね?」
「前にお聞きしました」
「馬車が真下さまに落ちてある途中で、アリエスに助けられたの。その時に魔法と魔境の森の魔女の村ハルタンを知ったのよ。ハルタンの生活が心地よくてね、しばらくお世話になっていたのよ。アリエスとマルクスから魔法を教えてもらって、ブルースは身体強化の魔法に魅了されたわ。それこそ、一心不乱に身体強化の魔法ばかりを特訓していたわ。なぜそんなに身体強化の魔法ばかり特訓をするのって聞いてみたのよ」
「お義父様はなんと答えられたのですか?」
「エリスちゃん、気になる?」
「ええ、気になります」
「あの人ったら『馬車が谷底に落ちた時?君に抱き付くことしか出来なかった…… もし、こんなことが有ったらセリーナ。僕は君を護りたいんだ!』って、言ったのよ。あの頃は本当に若かったわ~」
「「「……………………」」」
「父上があれほど身体強化の魔法に拘るのかわかった気がします」
「そうね。あの人らしい優しさね……」
母上は遠い目で呑んだくれた父上を眺めていた……
「それが、だんだん身体強化の魔法に、はまっちゃって今度は強い猛者に会いに行くって言い始めちゃったのよ…… 残念な人なのよ」
――どこで道を間違えた…… 父上。
「そして、ハルタンを離れ修行の旅が始まったわ」
――公務に戻れよ。王太子だろうが! 働かない格闘家はリュ○だけでいいから!
「旅を続けて半年、アルラサンド王国に地上最強の生物がいるって噂を聞いて、ブルースはいてもたってもいられずにすぐにアルラサンドに向かったわ……」
「それでお父様に会えたのですか?」
「いえ、会えなかったわ。私達がアルラサンドに着いた時には、あなたのお父様は修行の旅に立たれたあとだったの。ブルースはそれは、それは、立ち直れないほどショックを受けていたわ」
「その頃ね、私達も婚約旅行という名の修行の旅に出かけてたの。まさに強い猛者に会いに行くってヤツね」
マリーママが裏事情を話してくれた。
――強い猛者に会いに行くって、流行っていたのかな? 婚約旅行という名の修行の旅って、どんな旅だよ……
「ブルースがショックを受けてからさらに一年が過ぎたわ。私も身体強化の魔法が使えたからブルースに知られないように隠れて特訓を続けたの。王妃になる女性がめっちゃ強いなんてバレたらマズイと思ってちゃって。まあ、この前にバレちゃったんだけどね」
「…………………」
――バレたというか、ブチギレて理不尽なまでに暴れたじゃないですか? お母上様の膝の上で座っているソフィアちゃんが当時の事を思い出して顔色が青くなってますよ……
「セリーナお姉様……(プルプル)」
「んっ!? ソフィアちゃんはとてもお利口さんね。あとで、セリーナお姉様がギュッしてあげるからね」
――母上! これ以上、ソフィアちゃんにトラウマを植え付けるのはやめてーーーー!
「話しを続けるわね。アルラサンド王国を離れて一年が過ぎようとした時、地上最強の生物がアルラサンドに戻って着てるって聞いたの。私達は急いでアルラサンド王国に向かったわ」
「私達も『金色の戦士』と呼ばれる猛者がいるって聞いて、世界中を探し歩いていたの。でも、どうしても会えなくて諦めて帰って来たの。探せないのは当たり前よね。だって普段は普通の猛者なんだもん、気がつかないわよね。常に金色に光ってる猛者って危ない猛者じゃない」
マリーママがさらに裏事情を離してくれた。
「アルラサンド王国に着いて。地上最強の生物を捜し回り、やっとの思いで見つけたわ。最初に会った時、あの衝撃は今でも目に浮かぶわ」
「母上。その衝撃って、何があったのですか?」
「ビキニパンツ一丁だったのよ! いきなり初対面がビキニパンツ一丁って、マニアなら喜ぶんだろうけど…… 私はちょっと……」
「セリーナは細マッチョ系だもんね。ハンマーは己の超合金筋肉を魅せて、自分に闘いを挑んでくる筋肉を挑発してたのよ」
マリーママは追加で裏事情を話してくれた。ついでに母上の性癖情報はいらないです……
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