第119話 第三王子は地上最強の親子喧嘩を見る!
ついに始まる地上最強の親子喧嘩! 心踊るというか街を破壊するレベルの闘いになるじゃないのか? と心配になる『シュウ』です。
マリーオヤジの圧倒的な強さには、度肝を抜くとはこの事を言うんだなぁと感心しているとエリスがあることを教えてくれた。
「マリーママから聞いたんだけど、マリーパパさんね。生涯に二度の敗北をしたことがあるんだって、負けなかったけど、どうしても勝てなかった人がいて、その人に敗北感を感じたそうなの。それで、あと、もう一つは圧倒的な力を見せられて完膚なきまで倒されて敗北したんだって! マリーパパさんあんなに強いのに世の中ってわからない事だらけだよね」
「ヘェー。マリーパパでも勝てない人っているんだ? にわかに信じがたいけと…… 上には上がいるって事かな?」
「そうね。私がマリーパパと取組みをしたら勝てるかどうかって感じ……」
「エリスでも五分五分かぁ」
「こればっかりはやってみないとわからないからね」
「そうか……」
マリーとマリーオヤジが土俵に上がった。お互い気合いが入った顔をしていたが、マリーオヤジがマリーに向かって、
「マリーよ。パパに強くなったところを見せてくれよ~ 期待をはずなさいでくれよ~」
と言い放ち、マリーを挑発する。
『プチン』
マリーの髪の毛が金色に輝き逆立ち、そして、全身が金色のオーラに包まれた…… まさか、この展開は前にも見たことがあるぞ!
――茶番だ。茶番劇が始まるぞ……
場内にいる二号生のみんなは初めて見る茶番劇に固唾を呑んで見守っていた。
「言いたいことはそれだけか」
マリーは冷静に大人の対応をしていた。
「殺る気になったみたいじゃないか? んっ?」
マリーオヤジは大人げなく、さらに挑発を続ける。
「キサマに明日がないことを知れ」
「クックククク…… そりゃあ、楽しみだ」
時間いっぱいとなり、行司が二人に立会いを促す。
「待ったなし はっきょ~い のこった!」
二人ともその場から動かない。
「のこった のこった! のこった!」
――のこった! と言ったものの、こまったのは行司さんの方だった……
最初に動いたのはマリーオヤジだった。右手からの張り手、それを紙一重でかわして、前に出るマリー。
マリーが前に出たところで今度は左からの張り手! 体を素早く左へ移動させ避けるマリー。しかし、マリーオヤジの目にも止まらぬ張り手の連打! マリーは張り手を避けるだけで精一杯のようだ。マリーは土俵際まで追い詰められた。あんな張り手を喰らった日には、ぶっ飛ばされただけじゃすまない。もしかすると頭と胴体がお別れしてしまうかも知れない…… マリーのピンチが続く。
マリーオヤジの改心の張り手!
危ないと思った瞬間、マリーが鮮やかにジャンプをして、マリーオヤジの背後につき、まわしを取った。得意の送り出しか送り倒しにするつもりだろう。みんなはマリーの逆転劇に興奮していたが、マリーオヤジまた、鬼の形相が発動! 土俵上の空間が完璧に歪んでいる。マリーは張り手を危険を察知したのか掴んでいて廻しから手を離し後ろに下がった。
「今のは良い判断だ。そのまま手を離していなければ手が取れてたぞ」
その瞬間。マリー恐怖を感じたようだったが、マリーには邪悪の五神の加護がある。
「『知性』『強力』『技巧』『飛翔』『残虐』発動!」
マリーは高らかに宣言し気力を取り戻し、マリーオヤジに全力疾走で近づき、張り手の連打を喰らわせた! 張り手の連打と言うよりは僕にはグルグルパンチにしか見えないが、あまりにも突拍子もない攻撃にマリーオヤジも困惑したようで数歩だが後ろに下がった。マリーはその隙をついてマリーオヤジの廻しを取りがっぷり四つの体勢になった。
マリーは技巧の加護を使いあらゆる技を出したが、さすがはマリーオヤジ。マリーの技をかわすかわす、まるで曲芸でも見ているように感じた。
マリーオヤジも手に余したのか、マリーの後ろ廻しを取り、つかみ投げの体勢になった!
体を持ち上げられたマリーはここで、渾身の一撃! マリーオヤジの顔面に張り手を喰らわせた!
――が、マリーオヤジは『ニヤリ』と笑い、マリーを猫のように持ち上げ土俵の外に優しく置いた。やはり、自分の愛娘が余程可愛いのか扱い方がバットとは全然違った……
「決まり手は つかみ投げ~ つかみ投げ~」
「マリー。強くなったな! 私を本気にさせるとはな! ワッハハハハ!」
「まだまだ、お父様には敵わなかったわ」
「また、相撲を取る時まで精進するのだぞ」
「ハイ! お父様!」
『パチパチ パチパチ』
場内から割れんばかりの拍手が送られた。
マリーでもマリーオヤジには敵わないのか!
あとは、残るはマリーママ。一人となった。
「遅くなってごめんなさい」
お母上様とお父上様が遅れてやって来た。
後ろに妙に見慣れた人物が二人……
――えっ!? 父上と母上……?
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