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第109話 第三王子は二度コケる!

た、たぬきを喰いやがった! しかも、(なま)で塩を掛けながら…… 最後には美味しくないと…… 衝撃的な内容に僕の脳みそは、ミュージカルの内容がほとんど全部ぶっ飛んでしまった『シュウ』です。



僕たちは劇場から出ると怪しい四人組と怪しいカップル一組と共にまた同じ食堂に戻って来た。 ついに始まる。エリスさんの激しく厳しい説教が! ワクワクドキドキ!


8名でテーブルを囲み、議長でもあられるエリスさんから僕にとって、ありがたい一言が……


「マリー……」




「ミュージカルとっても良かったわ! みんな感動して泣いていたわよ」



『ガグッ』


椅子から滑り落ちました……



――僕にとって、ありがたい一言では無かったようです。まあ、しょうがないですね。お約束の展開ですから。



僕を含めた8名はミュージカルの感想など語り合った。マリー曰く、魔物さんたちのことも綯いように入れたかったらしいが、情報量が多すぎると大事な事が伝わらないとのことで今回は入れなかった。最後は魔法を使ってラスボスを倒す方が観客も盛り上がるだろうと考えたみたいだったが、最終的に平和的な相撲にしたらしい。シュウ王子には魔法で攻撃をしたが、あれは、王子の方が圧倒的に悪いと言うことで、観客からは納得した反応だったそうです。



――次回は、『悪役第三王子はざまぁされる!~悪党は氷漬けにしてお仕置きよ!~』

で、マリーに脚本を書いてもらうようお願いしてみよっと。



僕は、ある疑問をぶっ込んでみた。


「どうして、みんなでここにいるの?」


「「「――!?」」」


「「「………………」」」


僕の質問がえげつなかったのか、みんな黙り込んでしまった……



「わ、わ、私は、ソフィアちゃんとミュージカルに行く約束してたでしょ。それが、たまたま今日だったってことよね? ソフィアちゃん?」


口火を切ったのはマリーだった。


「うん、マリー姉さまが今日に行きましょうって!」



――ソフィアちゃん、素直で可愛(かわ)よ!



「へぇ~。わざわざ今日なのね? どうして、僕たちの後ろの席に?」


僕は、ジト目でマリーを見つめる。


マリーは、慌てた様子で、


「き、今日がたまたま、用事とか無くて都合が良かったのよ。ほ、本当、偶然って怖いわね。エリスたちの後ろの席になるなんて! 本当よ、エリス。私たちを信じて!」


「私は、マリーを信じるわ」



――な、なんて、エリスは寛大なんだ! 僕には、その場しのぎの言い訳にしか聴こえなかったが……



次は、お母上様に聞いてみた。


「お母上様たちは、どうしてこちらへ?」


「わ、私たちは、き、今日は、マ、マルクスとデートよ! そうデート!」



――お母上様は、明らかに動揺していらっしゃる……



「そう、だったんですか?」


「エリスちゃんならわかるわよね? わ、私達、今日がたまたま暇だったのよ。ねぇマルクス?」


「そ、そうだとも…… 今日たまたまだったのだ!」



――明らかに怪しい…… 



「お母様、お父様。そうだったのですね! それは良かったですね」


「「………………」」



エリスの返答にお母上様とお父上様も何も言うことが出来なくなったみたいです…… 



――次は、レーニャさんとレイニーですが、必ずみんなを陥れる発言をしてくるはず、ここはスルー一択で!



「私とレイニーさんはソフィア様の付き添いで参りました。そうですよね? レイニーさん?」


「ハイ、私たちはソフィア様の付き添いです!」



――レーニャさんが聞いてもいないのに御自(おんみずか)らの発言!? 普段とは違い、まともな発言にこっちの方が驚いた! 



「そうだったの? いつもソフィアちゃんに付き添ってくれて、ありがとう」


「姫様、勿体なきお言葉!」


「エリス様に永遠の忠誠を!」



――エリスさん。みんなの言葉に騙されてはいけませんよ。特にレーニャさんとレイニーには!



あとからマリーから聞いたが、あのミュージカルは大人気となり、連日満員御礼に加え、公演延長になったそうだ。街では、『相撲』『魔法』『騎士道精神のたぬき』『シュウ王子ざまぁ』が流行語になっていると聞いた……




結局、エリスと二人で出掛けたはずが、帰りは8名になっているという不思議を味あわされ、僕たちのデートは終わった…… 









――そして、数日後。僕たちは新しい年を迎えた。



新しい年が明けたからと言って特別やることはない…… テレビやゲームもなく、エリスはエリスで新作小説の挿し絵が忙しいとの事で、相変わらずボッチです。暇なので、農村部に出かけ、サムソンさん宅でリンゴを食べてます。


「サムソンさん、暇だね? どこか面白い事ないの?」


「そんなのあるわけないだろ。お前暇なんだろ? 姫様と出かけて来たらどうなんだ?」


「んっ。エリスと二人で出かけても、必ずみんなついてくるんだよ」


「まあ、みんな姫様の事が大好きだからな、心配でついてくるんだろう」


「本当にエリスはみんなから好かれているよね」


「ああ、姫様あっての俺たちだからな」


「そうなの?」


「おう、当たり前だ。姫様が居なかったら俺たちはどうなって居たことか……」


「エリスと何かあったの?」


「懐かしい話しさ……」


「どんな話しなの?」


「俺たちには重大な話してってだけだ……」


「もったいぶらないで教えてよ!」


「しょうがねぇなあ…… よく聞けよ……」


「………………」



――最近、溜めが多いなあ。



「俺たちに日本酒を教えてくれたってことだよ」



『ガグッ』



またもや、椅子から転げ落ちた――


「酒の話ですか?」


「お前なあ、俺たちから日本酒を取ったら何が残る! 日本酒ありきの俺たちだぞ!」


「そんなに日本酒好きなんですか……」


「今まで相撲に合う酒が無かったんだ! 例えば、相撲大会で優勝したとしよう、大盃で飲む酒がワインやピール、ウイスキー、ブランデーだったらどう思う?決まらんだろ! 日本酒だからこそ、大盃に合うんだ」


「そうだよな。大盃と言ったら日本酒だよな。優勝力士も大盃で日本酒飲んでだよな」


「そうだろ、そうだろ。大盃には日本酒なんだよ」


「お~い。サムソン、邪魔するぜよ!」


「おお、ミノノモンタ。シュウも来てたぞ」


「だと思って、酒とつまみ持って来たぜよ。リンリンたちもすぐ来るってよ」



――こうして、魔物さんたちと宴会が始まった……

お読みいただき誠にありがとうございます。

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