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第11話 クラスメイト

一号生筆頭の人格的勝者の実力をまざまざと見せられ、レイニーと比べてしまう卑しい自分に吐き気がする。『シュウ』です。


聖女オブ聖女と自称『クールビューティー』のレイニーさんと比べたら、聖女オブ聖女のマリー様に申し訳ない。


学院生活が数日過ぎ、初等部から付合いが多いパトリックを通し、何人かと知り合うことが出来た。


――あぁパトリック! 君は僕にとって大切な心の友だよ…… 僕にボッチじゃない祝福を授けてくれてありがとう! 友好神パトリック様に感謝! 


学院長ポウジン・グランド様の教育方針が浸透しているのか、貴族と平民のお互いの仲が良いのには正直驚いた。陰で貴族が平民出の特待生に嫌がらせをしてるのではと思っていたが……


貴族出の生徒曰く、


「筋肉は身分を超える! 尊いものだ!」


「筋肉愛に国境無し! ただそこに筋肉愛があるだけ……」


「筋肉は『博愛』『平等』『自由』『融和』『平和』の象徴! 筋肉は最後の希望だ!」


と言うことで、みんな仲良しだ。筋肉の事しか頭にないのか、まさに『脳筋』と思った時も多少あったが、実際にはエリート学校だけあってみんな優秀だ! 落ちこぼれなんて一人もいない。『心は熱く、身体は鋼のように硬く、頭は柔軟に』を学院のテーマにしているだけあって、ただの『脳筋』ではない! 貴族、平民関係なく仲間を大事にする本当に良い奴等だ。


僕はアルラサンド王国の人達をうらやましく思う。祖国フロンシニアス王国は身分の差が酷過ぎる。国民の大多数占める『農奴』と呼ばれる農業を生業する国民は『生かさず、殺さず』で貴族に支配されている。生きていく為の教育すら満足に受けられない。飢餓、疫病で苦しんでいても貴族たちは贅沢な生活を送りながら国民の苦しみに対して、殆ど何もしない。僕は王族の一人として、いや一人の人間としてこの現状を変えたかった。


この三年間を勉学、身体、精神を鍛え、必ずフロンシニアスを変えて行こうと決意を固めた。


「シュウ、どうした? 思いつめた顔をして?」


「バットか、いや、何でもないよ。 ちょっと考えこんでただけだから大丈夫」


校庭にあるベンチで物思いに浸っていると『バット』が話しかけて来た。


バットはバワーツ子爵家の三男でシックスバット・バワーツという名前で、青み掛かった黒髪でイケメン、しかも一号生副筆頭で明るく面倒見の良い細マッチョだ! 

因みにパトリックはまだ幼さが残る可愛い系の顔で末っ子タイプで上級生の女子生徒からの弟のように扱われているというかペットになっている。 ――将来、比喪ひもクズ男にはならないでくれよ! 心の友よ!


「そうか、それなら良いんだが何か困りごとがあったらいつでも相談してくれ」


「ありがとう 相談事があるときは話を聞いてくれ」


「ああ いつでも構わないぜ! 遠慮はするなよ!」


「その時はよろしく頼む」


「じゃ、今から職員室へ行かなきゃいけないから、またな!」


バットは手をヒラヒラと振りながら職員室へ去って行った。


「ん~、そろそろ僕も教室へ戻ろう」


背伸びをして午後の授業を受けるため教室へ向かった。



「シュウゥゥ! 聞いてくれよぉぉぉぉ! またみんなが俺の事、犯人扱いするんだ! 俺は、何もやってないし犯人じゃない! お前は信じてくれるよなっ? なっ? なっ? 信じてくれよぉぉぉぉぉ!」


「落ち着けよ! 何があったんだ! 事件か?」


「メアリーがペンを無くしたって、それでペンを盗ったのはお前じゃないかって! みんなが言うんだよ! 酷すぎるよぉぉぉぉ!」




――そりゃ、お前の名前が悪いからだよ。名前が…… 




ダライヤス・ピアポートくん…… 


通称…… 『ヤス』!


教室に入ると同時にいきなり、ヤスが泣き顔で抱きついてきた。何とかヤスを引き離し、一緒にメアリー嬢のペンを探すことになった。


「ヤス! これから僕の事を『ボス』と呼べ!」


「ハイ! ボス!」


ヤスの元気な返事が返ってきた。 


――何か事件の臭いがする……


僕はヤスに指示を出す。


「ヤス、捜査を開始する。まずはメアリー嬢の体を念入りに調べるんだ」


メアリー嬢は汚物を見るように僕とヤスをジッと見ていた。


「ボス!それはセクハラです。女性の体をむやみやたらに触ったら俺が逮捕されます」


『チッ!』 


舌打ちをし、ヤスの奴め気が付きやがって、メアリー嬢に触った瞬間に逮捕して職員室へ連行してやろうと考えていたのに……


ここは、引いてはいけない、強気で行く!


「ポケットに入っている可能性がある! しっかり調べるんだ!」


「ボス!それはセクハラです。女性の体をむやみやたらに触ったら俺が逮捕されます」


――コピペかぁ……


しょうがない、ここはメアリー嬢に話しをきいてみよう。


「メアリー嬢、ちょっとお聞きしたいのだが、ペンが無いのに気が付いたのは?」


「え~と、昼食を食べ、午後の授業の準備をしている時です。お昼休み前までは確かにあったんです!」


「それは間違いはないか?」


「ハイ、間違いないです。信じて下さい。ペンは何処へ行ったのでしょうか?」


メアリー嬢ノリノリだなぁ~


僕は、左手をおでこに当て推理をする。



――ペンは一体何処へ……





僕はハッと気付きメアリー嬢へ質問をした。


「ペンの特徴など覚えているかい?どんな些細な事でも良い、教えてくれないか?」


「え~と、あっ! 赤いペンで三匹のタヌキの小さな人形が付いていました」


「タヌキが三匹ねぇ~……  どんだけタヌキが好きなんだよっ!」


僕はメアリー嬢にツッコミを入れた。体には触れてはいない。僕だって、セクハラで捕まりたくない。


「すまない。気が動転してしまった」


メアリー嬢に謝罪をした。僕は『ボス』だ! 間違いは間違いとして認めなければならない。


「あっ!」


ヤスが何かの気付いたらしい。


「どうしたヤス? 何か気付いたのか?」


ヤスは重い言葉を吐いた。


「そのペンお昼休みに拾って職員室に落し物として届けた」


「ヤス! やっぱりテメェーが犯人じゃねーか!」


「えっ、そうなの?」


ヤスは何が起きたのかわからず動転していた。


「ヤス、貴様を逮捕する。職員室まで行くぞ! メアリー嬢も証人と職員室まで来てもらうが良いか?」


「えぇ、大丈夫です」


「犯人は俺じゃねぇーよ! 俺は悪くねぇー!」


「黙れ、ヤス! 僕はお前を信じていた。 ――残念だ」


僕の一喝でヤスは項垂れた。


「では、そろそろ職員室へ行こうか、行くぞ! ヤス」


こうして、悲しい事件は解決したのだった。


ボス()、ヤス、メアリー嬢は、ペンを返して貰うため仲良く職員室へ向かった。


クラスのみんなは、そんな僕たちの後ろ姿を生暖かい目でいつまでも見つめていた……


クラスのみんな、茶番劇に付き合ってくれてありがとう! 感謝の気持ちは忘れません。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

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