第102話 第三王子は裏切られる!
マリーは後方伸身二回宙返り二回ひねり下りをし、サムソンの背後に着地した!!!!
――!? 伸身新月面宙返りだと!! 僕の口から自然にある言葉が出た……
「キン肉○ンマリポーサ…… 改め、キ○肉マンマリーポーサ……」
決して口に出しては絶対イケない禁忌の言葉を出してしまった!『シュウ』です。
サムソンさんは、絶対的勝利を確信していたのか油断をしていた。
マリーは即、サムソンさんの背後を取り、土俵の外へ押し出した!!
「……………………」
会場内はあまりの出来事に静まり返った……
行司も何があったのか把握出来ず、数秒遅れで、
「決まり手はー 送り出し~ 送り出し~」
「……………………」
「キャャャャー、マリー!すごーい!」
「マリーが勝ったー! マリーがサムソンさんに勝ったー!」
「サムソンがマリーに負けるなんて……」
「サムソンさんも凄かった! ウイニング・ザ・レインボーシャワー!凄かったー!!」
場内は両者を称える称賛の声が高良かに響いた……
サムソンさんがマリーに、
「すげぇーじゃねぇか! マリー!」
「やっと…… 私、サムソンさんに勝てたのね?」
「おう、マリー、お前の勝ちだ!」
「エリス! 私、やったよー! サムソンさんに勝っちゃったよー!!!! あなたが私に稽古をつけてくれたおかげよ。ありがとうエリス!」
マリーは、あまりの嬉しさにエリスに抱きついた!
「マリー、おめでとう! 私は何もしてないわ。これは、あなたの努力の結果よ!」
「………………」
――二人に水を差すようで申し訳ないが、僕は一度もサムソンさんに勝ったことないよ……
「シュウ殿の出番でござる。横綱、頑張るぜよ!」
――!? なんで急に土佐弁?
「ボルトさん? 僕の対戦相手って、エリスじゃん! 勝てるわけないじゃんか!」
「また? 対戦相手が姫様とよくわかりもうしたな?」
「そりゃ~わかるよ?マリーとエリスしか残ってないのにマリーが取組みに出たら残るのはエリスしかいないじゃないか!」
「そうでございましたか。拙者としたことが…… さあ、横綱。土俵へどうぞ! どうぞ!」
「マジで!? マジか!? マジだ! ショォータァァ○ム!」
――僕が仮〇ライダー『指輪の魔法使い』に変身してもエリスには勝てないよ!
「シュウ、そろそろ行って来い」
取組みの終わったサムソンさんが戻って来た。
「エリスに殺される……」
サムソンさんは僕の耳元で囁く。
「何をビビっているんだ! 考え方を変えてみろ。がっぷり四つになったら合法的に姫様におさわり出来るんだぞ!」
「――!?」
「なあ、合法的にだぞ! 合・法・的・に♡」
「………………」
「………………」
「フフフフ、そちも悪よの~ 越後屋」
「お代官様には構いませぬ」
「お互いにのぉ~」
「「ワッハハハハハッ」」
「と、ういうことで行って来い! 姫様には内密だぞ!」
「お、おう、わかってる! じゃ、ありがとう。サムソンさん!」
僕は、意気揚々と土俵へ上がった。
エリスは恥ずかしそうに土俵へ上がってきた。
エリスが土俵の上で僕に一言……
「シュウ君、顔、顔」
「えっ!?」
――思いのほかニヤケ顔でキモかった? ヨダレは出してないと思うけど、垂れてたらゴメン。ムフフ……
行司が、
「時間いっぱい! はっきょーい…… のこった!」
僕は、エリスが受け止めるだろうと、低い姿勢からおもいきって突っ込んだ!
「天誅&成敗!!」
エリスは僕の勢いに慌てること無く体を開き、僕の両肩を上から叩いた。
――!?
横の動きから両肩を叩かれたことによって急に下のへ動きになり、対処出来ないまま土俵に両手をついてしまった!
「……………………」
場内は静寂に包まれた…… マリーの時とは違う。あっけない取り組みにみんな呆然としていた。僕も何が起こったのかわからないまま呆然としていた。
行事も十数秒遅れで軍配をエリスに上げた。
「決まり手 叩き込み~ 叩き込み~~」
静まりかえっていた観衆も我に返り、
「シュウ! 何やってるんだ! このタヌキ」
「シュウのタコ、イカ、タヌキ!」
「エリス!カッコいい!」
「ヨッ! 横綱エリス!」
「シュウのアホ! マヌケ! このポンコツだぬき!」
エリスには称賛の声、僕には罵倒の声!
そして、時々混ざる『たぬき』ってなんだ?
確かにムフフな展開を期待していた訳じゃないが、なんなんだろう、この仕打ち……
エリスは見てはいけない物を間違って見てしまったような目で僕を見ていた……
――エリスさん。誤解だ! ご・か・い・なんだー! 僕を信じてくれーエリス! エリスなら僕を信じてくれるだろ? 信じてくれるよね? 僕はサムソンさんに唆されただけなんだー!
エリスはまだ、見てはいけない物を間違って見てしまったような目で僕を見ていた…………
「――まあ、シュウのことはほっといて宴会の準備が出来てるから行こうぜ!」
サムソンさんがみんなに声を掛けた。
――!? なにっ? サムソンさん!? どういうこと? 自分には全然関係ありませんよ。という態度はどういうこと? ま、まさか。逃げるきか! 逃げるんだな! 僕を裏切って逃げるきかァァァア!!!!
「シュウ君、ちょっとお話しがあります。わかっているとは思いますが、あちらで反省会をします。わかりましたね」
「………………」
エリスの目が恐い…… ガクガクブルブル……
「返事は?」
「ハイ!」
――僕は、反省会という説教を受けるのだった……
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