第101話 第三王子はマリーの相撲を見る!
相撲大会という歓迎会&親睦会が始まり、組分けがエリスと別々になり、ちょっと淋しい『シュウ』です。
東方、西方に分かれ二号生側は素人なので魔物さん主導で取組みの順番を決めた。そして、取組みの順番は相手側に教えない。取組み直前で相手がわかるというサプライズ的なことをするようだ。
僕と同じ西方のサムソンさんとボルトさんが、
「今回はシュウ、お前が最後な」
「横綱でござる」
「サムソンが横綱じゃないの? 僕の実力じゃ、横綱は張れないよ」
「な~に、大丈夫さぁ。今回は勝敗より人間と魔物たちの親睦が目的だろ。たまにはこんな、相撲大会があっても良いだろ」
「そうでござるよ」
「んー、わかったよ。それじゃ、横綱をさせてもらうよ」
「おお、ものわかりが良いじゃないか」
「横綱。頼むでござるよ」
「おう」
そして、次々と取組みが始まった。
魔物さんVS魔物さん、二号生VS二号生、魔物さんVS二号生などさまざまな組合せの取組みとなった。
魔物さん達はとても親切で、二号生に取組みの解説をしたり、二号生が勝った時は共に喜び、負けた時は共に悔しがり、こうすればもっと良くなる。などアドレスなどをして、しだいに人間側と魔物さん側の距離が近くなったような気がする。
――エリス達、ハルタンの人たちは魔女と人間、人間と魔物の融和、共存共栄を目指していることを実感出来た。この相撲大会が融和、共存共栄に向けての第一歩になるだろう……
取組みも進み、魔物さんと対戦した、バット、パトリック、ダンベル、ビルダー、サプリ、ヤス、メアリー嬢など二号生の力自慢どもが次々と負けていく。
まあ、魔物さん達と取組みをした連中は、初めての相撲だし仕方がないことだと思う。何せ彼らは毎日、稽古を重ねている猛者達なのだから……
そして、いよいよマリーの出番となった。対戦相手は以外や以外! サムソンさんだった!
マリーもびっくりしていたが、対戦相手を明かさないところもまた面白い試みだと思う。
パワーVSパワー対決。マリーもかなり稽古を重ねたと言っていたからサムソンさんには勝てないとしても善戦するんじゃないだろうか?
「はっきょーい のこった!」
行司の声が高らかに上がる。
やはりパワー対決! 正面からのぶつかり合い、がっぷり四つの体勢になった。
双方上位クラスの力士と言って良いくらい堂々とした立ち合いだった。しかし、身体強化の魔法をかけているとはいえ、マリーの方が若干だが、力で負けているマリーの方に部が悪いように見える。
だか、僕が言うのもおかしいが、前回の瞬殺された時より随分と上達したと思う。特に下半身の重心が下がり安定している。
今回は、勝てないまでも良いところまでイケるかもしれない!
お互い攻めきれないのか、それとも相手の手を読んでいるのか、微動だにしない。マリーも相当な稽古を積んできたんだろう。なんせ、親方が我が愛しの横綱エリスだからな!
サムソンさんが、しびれを切らしたのか前へ押し出す! マリーも後ろに下がらないように踏ん張る!
「マリー! 踏ん張れ!」
「がんばれー! マリー」
「サムソンにお前の根性みせてやれー!」
東方から二号生と魔物さんから声援が上がる!
西方からも
「おい! いつもの力はどうした!」
「そこだー! 押せー!」
「頑張ってー! サムソンさんー!」
人間と魔物さん達が一つになった瞬間だった。
――ここには、恐れる魔物もいない。怖れる人間もいない。僕たちの目指す風景がそこにあった…… 感動して涙が出そう……
マリーは摺り足で横に移動しながら、サムソンさんの力を逃がそうとしたが、そこは百戦錬磨のサムソンさん! 上手投げを警戒して重心を下げる。
マリーは疲れ始めたのか、腰が少しだけ浮き重心が高くなった。
サムソンさんは、その隙を見逃さず、さらに自分の膝を曲げ、腰を極端に下げた!
「我が48の殺人技の一つ! ウイニング・ザ・レインボーシャワー!!」
サムソンさんは、殺人技を叫び! 一気に立ち上がり、瞬発力とパワーでマリーが掴んでいた『廻し』を強引に引き剥がし、マリーを空中高く投げ飛ばした!!!!
マリーが頭上高く投げ飛ばされた瞬間、スローモーションでも見ているような現実味の無い光景だった!
誰かが叫ぶ――
「危ない! マリー」
あの高さから落ちたらケガだけじゃすまないぞ!!
――!?
マリーは後方伸身二回宙返り二回ひねり下りをし、サムソンの背後に着地した!!!!
――!? 伸身新月面宙返りだと!! 僕の口から自然にある言葉が出た……
「キン肉○ン マリポーサ…… 改め、キ○肉マン マリーポーサ……」
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