第100話 第三王子はエリスとわかれる!
レイニーさんの忠誠心0を改めて確認できた『シュウ』です。某戦国ゲームだったら謀反ですよ! む・ほ・ん!
二号生のみなさんは、ついにサムソンさん方との初対面になります。どんな反応を見せるか楽しみです。
◇
真新しい土俵のある大広場までやって来ました!
あそこに見えるのはリンリンさん!
エリスが、
「リンリンさーん! お待たせ! みんなを連れてきたわよ!」
リンリンさんは手を振って僕たちを迎えてくれた。そして、ニコニコしながら、
「あらっ! みんなさん、いらっしゃい! 私はゴブリン族族長のリンリンよ。よろしくね」
二号生のみなさんは初めて話す魔物を見て、驚いていたが、リンリンさんの人懐っこい性格のせいなのか、驚いていたもののすぐに安堵の表情へと変わった。
「こんにちは。リンリンさん、今日はお世話になります」
「あら、マリーちゃん! あれから強くなった?」
「ええ、勿論、今日こそは勝ちに行きますから!」
「それは、楽しみね」
「そこにいるのはバット君じゃない? どうしたの、コソコソして?」
「いや~、前回ボロボロにされて、あれから稽古しようとしたけどあんまり出来てないんですよぉ~」
「なにィィイーー!!!! やっちまったなぁ!!!! 漢は黙って相撲の稽古! 漢は黙って相撲の稽古!」
リンリンさんはそう言って、近くにあった杵で餅をつき始めた。バットは臼の餅をひっくり返し始めた……
――仕込みか? 仕込みなのか? いつの間に仕込んだんだ? バットと仕込む時間は無かったはず…… しかも、さっきまで臼と杵、そして、蒸したもち米なんて無かったはず……
リンリンさん&バット…… そのギャグ、みんな知らないから…… 僕は、リンリンさんのスベる姿だけは見たくないんです……
「キャハハハハハハ!」
「キャャャャ! 可笑しぃぃぃ! 笑いすぎてお腹が痛い……」
「その動きやめてー! アゴが外れるからやめてーー!」
「なんだよ! 漢は黙って相撲の稽古!って可笑しすぎるだろ!」
――えっ!? ハァ!? いまのが面白い? どこが面白いの? マジで? なんで? どうして? これまで僕があたためて来たギャグがすべてリンリンさんとバットに持っていかれてしまう…… 僕の積み上げたものがぁぁぁぁ!
「ゼェ、ゼェ、ねぇ、シュウ。リンリンさんって面白いね」
パトリックがお腹を抱え、涙目になりながら僕に話しかけてきた。
「アア、スゴイ、オモシロイネ、ヨカッタネ。パトリック……」(棒)
『ヒーヒー』と悶絶しているパトリックになぜか棒読みで返すことしか出来なかった……
――あたい凄く悔しい!! 美味しいところを全部リンリンさんとバットに持っていかれたーー!! と、被害者ぶる『シュウ』です。
「お前も来てたか、シュウ」
「サムソンさん、こんにちは」
「今日はお前も出るんだろ?」
「ええ、そのつもりです。今回は負けませんよ!」
「ハハハハ、楽しみにしているぞ! ところでマリー、お前さんが望む土俵がさっき出来上がったぞ!」
「えっ!? ホント? 早く見たい!」
「おう、そうか。じゃあ、土俵に上がっても良いぞ」
「えっ!? 良いの? 土俵に上がっても良いの? ホント?」
「ああ、良いぞ」
前回、マリーたちが来たときは地面に丸く俵を埋めただけの簡易的な土俵だったから本格的な土俵は初めてになる。
マリーとバットは裸足になり、土俵へと上がった。
「これが土俵なのね……」
「なあ、マリー。結構高く感じるな?」
「そうね。ここで相撲を取れるって最高の気分なんでしょうね……」
マリーとバットは本格的な土俵に感動していた。
エリスがみんなに声をかけた。
「みんなに紹介するわね。え~と、リンリンさんはさっき自己紹介したと思うけど、改めて、ゴブリン族族長のリンリンさんよ」
「リンリンです。みなさんヨロシクね」
「「「よろしくお願いします!」」」
「そして、オーク族族長のサムソンさん!」
「よろしく頼む」
「「「よろしくお願いします!」」」
「リザードンマン族族長のトーカゲさん」
「ヨロシク」
「「「よろしくお願いします!」」」
「ミノタウロス族族長のミノノモンタさんよ」
「よろしく頼むじゃ」
「「「よろし……………………」」」
「だから! ミノノモンタ! みんなの前で南部弁はやめなさいって言ってるでしょ! みんなわからなくて固まってるじゃない!」
リンリンさんが、ミノノモンタさんにツッコミを入れていた……
「えー、次はコボルト族族長のボルトさん!」
「よろしくでござる」
「「「よろしくお願いします!」」」
エリスさんは、何事も無かったように紹介を続けた。リンリンさんのツッコミにはスルーなんですか?
「みんなこっち注目して~! 今からみんなで相撲始めるから、相撲のなんたるかを説明するからちゃんと聞いてね!」
リンリンさん、御自ら説明をされるみたいだ。なんて、幸運な!
◇
二時間かけてリンリンさんの相撲講座が終わった。みんな真剣な眼差しでリンリンさんの『心』『技』『体』の理からルール、技の種類、実技、内容の濃い講義だった。
サムソンが、
「これからお前たちと魔物の混合チームを作るぞ!」
「えっ!? もう始めるの?」
「まだ、技覚えてないよ」
みんなは初めての相撲であり、魔物さん達と混合と聞いて戸惑っていたが、ミノノモンタさんが、二号生と魔物さん達に声をかけた。
「ハハハハッ! みんな初めてだからな、技なんてやっていれば自然に出来るようになるさ! あとな、今回は人間と魔物の親睦会だ。勝敗よりも楽しくやれば良いんだよ!」
「みんなこっちに来るでござる!二号生と魔物達と別々に並ぶでござる。姫様も並ぶでござるよ!」
相撲大会から逃げようとするエリスにボルトさんが、逃げ道を塞ぐ、
「ぐぬぬ…… ボルトさんめ!」
――ついに出ました! エリスさんの『ぐぬぬ』! 僕たちの『ぐぬぬ』と違ってエリスの『ぐぬぬ』はひと味違うな…… かわいい……
僕たちは二号生と魔物さんたちと二列に並んだ。
トーカゲさんが、二つの箱を持ち、
「コレカラ クジビキヲ スル。ハコノナカニ カミガハイッテイル カミヲイチマイトル カミニ『ヒガシ』ト『ニシ』トカイテアル 『ヒガシ』はリンリンノトコロ 『ニシ』ハサムソンノトコロへイケ」
くじ引きは、人間側と魔物さん側の人数が片寄らないように上手く調整しているようだ。
二号生と魔物さんたちは一人づつ、くじ引きを始めた。結果……
エリスとマリーは東方、僕は西方となり、別々となった……




