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中二病vs銀行強盗

作者: 狸寝入り

 とある町の銀行に高校生の少年が、口座を作りにやってきた。


 彼の名前は、風間隼人かざまはやと。ルックス上の中、成績上位。


 だが、モテない。何故なら隼人は、中二病だからである。


「いらしゃいませ」


 中に入ると、銀行員の女性が声をかけてきた。


「ふん、出迎えご苦労」


「はぁ、どういったご用件でしょうか?」


 女性は戸惑いつつも、笑顔で業務をこなす。


「我が資金をためる、貯蔵庫を作りに来た」


「あ、はい。口座の開設ですね。こちらへどうぞ」(何、この変わった学生さん)


 女性は少し顔をしかめながらも、案内に徹する。


 銀行の中は朝も早い平日ということから、窓口の方に他に客はいない。


 ・・・・・・・・・


「さて、我は何をすればいい?」


 風間は席に座ると少し落ち着かない様子で、女性に聞く。


「では、身分所の提示をお願いします」


「ふむ、ではこれで」


 そう言って、右手の手の甲を見せる。


 そこにはよく分からない、紋章のようなものが書かれていた。


「えっと~書面でお願いします」


 困り顔を浮かべて、違うものの提示を促す。


「王家の紋章ではダメか……ではこの世界の仮の身分証でいいか」


 風間は鞄から、親に渡されていた書類を取り出し渡たした。


「……はい、大丈夫です。書類をお持ちするので少々お待ちください」(王家の紋章って何?)


 書類に目を通して早く終わらせようと立ち上がったところで後ろから、「おい、動くな」と風間とは違う声がして、動きが止まる。


「え?」


 女性が声に驚き振り向くと、銃を持った大柄な男が立っていた。


「騒ぐなよ? 動くなよ? 他の奴もだ」


 銃を持った男は、風間の頭に銃を突きつけながら騒ぐ。


 今この場にいるのは、女性店員が二人で警備員と支店長の姿は何故かなかった。


「……どうすればいいでしょうか?」


 勇気を振り絞って、聞く。


「金だ、金をこの袋に入れろ」


 男は大きなスポーツバックを投げ渡す。


「おい、貴様……」


 今まで黙っていた風間が口を開き、立ち上がる。


「何だテメー」


「この我に銃を向けるとは、とんだ命知らずのようだな」


 風間は強盗の方を向き手を広げて言う。


「何、動いてやがる。頭を打ち抜かれてぇのか?」


「やれるものならやってみるがいい!! その前に我がダークフレームソードが貴様を切り裂くがな」


 風間はそう言って、少しドヤ顔を見せる。


「な、何。言ってやがる」


 強盗は少し後ろに下がり、警戒をした。


「ふはははははは、どうした? そんなに怯えて……うぅ奴が目を覚ます……」


 俯いて、腕に仕込んだカラコンを素早く装着する。


 右目が赤で左目は黄色の色になり、強盗の方を向く。


「おい、どうなってんだ……お前目の色が……」


「ようやく、代われたか……さて、こいつを殺せばいいのか……」


 強盗はカラーコンタクトというものを知らないのか戸惑っている。


「えっと。君、ふざけてると危ないよ」(もう、何なのよ。って、雪ちゃんまでいなくなってるし)


 店員が風間に声をかけた。


 この騒動の隙に、いつの間にか同僚の雪がいなくなっていることに苛立ちを覚える。


「ふん、黙っていろメス。今、こいつに生きていることが嫌になるくらいの苦痛を与えてやる」


「黙って聞いてたら、ふざけやがって。くらいやがれ」


 強盗が銃を風間に向け、狙いを定めた。


「きゃ!」


 突然強盗の上にあった蛍光灯が割れて、店員が小さく悲鳴を上げて、強盗がしりもちをつく。


「ふん、どうやら貴様には見えぬようだな! 今のが我が奥義、ダークソウルファイヤーだ」


 もちろん、風間にそんな力はない。


 隠し持っていたスーパボールが運よく狙いどうりに当たっただけである。


「クソ。なっ、覚えってやがれ」


 強盗は風間の不気味さと近づいてくる、サイレンにビビッて足早に立ち去っていく。


 先に逃げていた、雪が警察を呼んでいたのだ。


「ふん、雑魚が」


「あの、お客様。ありがとうございます」


 店員が風間の横に行きお礼を言う。


「ふん、うぅ。もう交代か」


 俯いて、コンタクトを外す。


「その設定ってどういうやつなの? 蛍光灯が割れたのはどうやったの?」


 ぐいぐいと質問攻めされる。


「設定ちゃうわ。うぅん。我は王家フレームベル家が長男にして、大魔王ダークエンペラーをこの身に宿いし者」


 少し素を出してしまい咳ばらいをして、自分の設定を説明した。


 その後、銀行側の感謝のおかげで警察には少しの注意で済んだ。


 完





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