夏期学校ー高瀬日和
今日から夏期学校だ!
日和はワクワクしながら飛び起きた。次の瞬間、目覚まし時計がやかましい音を立てる。顔をしかめ、目覚ましを止めると、日和は苦笑した。
「日和は、いつもは自分で起きられないのに、楽しみなことがある日は早いよねぇ」
母の口癖だ。その通りなので笑うだけだが、普段もパッと起きられればいいのに、と言われるたび思う。
中学二年生の夏期学校は、京都への二泊三日の宿泊行事だ。班ごとの自由行動や和菓子づくり体験もあり、日和はとても楽しみにしていた。
家を出て駅に着くと、華乃はすでに着いていた。最寄り駅が華乃と同じだったので、集合場所の東京駅まで一緒に行くことにしていたのだ。
「華乃、おはよー!遅くなってごめんねー」
「日和ちゃん!おはよう。ぜんぜん大丈夫だよ!」
「いいかげんそのちゃんづけやめようよー!もう七月だよ?有希も言ってたし」
「うーん、でも慣れちゃったからこれ以外だと違和感が…って、電車来たよ!」
「ほんとだ!やばいやばい」
なんとか乗り込み、ほっと息をつく。
「ねえ、日和ちゃん…じゃなくて日和、服部くんは、有希ちゃんに告白するのかなぁ?」
「あ、華乃も気になる?どうなんだろね。コクるなら二日目の夜かなー?」
たわいのないことを話しているうちに、東京駅に到着した。集合場所にはすでにかなりの人数が集まっている。
「有希いるかな?」
「日和ー!おはよ!」
突然、日和は有希に背中を叩かれた。
「有希!もう、びっくりしたぁ」
有希はふふんと満足げに笑う。
「華乃もおはよー」
「有希、おはよう!」
華乃がそう答えると、有希は目を丸くして華乃を見つめた。そんなに驚いたのか、と日和が思うと、有希は華乃に抱きついた。
「きゃーっ、ついに呼びすてだぁ!」
こんどは華乃が目を丸くする。そんな二人を見て、日和は思わず吹き出した。




