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名前

「ヒール!!」


ミゼルに向かって手を翳し、回復スキルであるヒールを発動する。


元々レベル1の状態でも止血程度は可能なスキル、痣や擦りむき傷を治すことは造作もないだろう。






その瞬間、ミゼルの周りを緑の光が包み込んだ。


これがヒールが発動した証……あえて言うなら癒しの光って所だろう。


そして光が収まると同時に痣や擦り傷はまるで最初からなかったかのように消えていた。




「……ありがとう、ございます」


自分の体を見渡した後、俺を見上げてミゼルはペコッと頭を下げて感謝の言葉を口にした。



しかしその話し方は何処と無くぎこちない様な感じが……まあ、奴隷商人と一緒に居たのならある程度そりゃ警戒はするよな。


いくら口で大丈夫と伝えようが、やはり悪い記憶というのはそう簡単に拭えない物だ。





そうして再び街までの帰路を並んで歩く。


まあ、会話の発展を期待していたという程ではないがやはり会話は簡単はそう簡単に出来そうには……




「あの……よろしいでしょうか?」







……え?


思わずビクッと肩を震わせ、ミゼルの顔を覗き込む。





いや今……空耳じゃないよな?



ミゼルが俺に対して……よろしいでしょうか?って言ったんだよな?



我ながら大袈裟すぎる反応だとは思うが……まさかミゼルの方から話しかけてくるとは思わなかった。




「ど、どどうした?」


少しどもりながらも言葉を返す。


ミゼルは少し考え込むような素振りを見せたあと、静かに首を横に振る。




そして……




「その……貴方様のお名前を、お聞かせ願えますでしょうか?」






……あ?





あれ?あー……あれ?




必死に記憶の意図を辿る。




しかし……無い。





彼女に名前を教えた記憶が、1度も無い……!






馬鹿か俺は、ああ馬鹿だよ。


何でここまで来て名乗り忘れてるんだよ!!


胸中を締めるのは恥ずかしさと……ほんの少しの罪悪感。


今どき幼児でも、初対面の人に名前を名乗るのは常識である。


クソ……何か本当に、申し訳ないな。





ていうか……俺が何を話すか悩んでいた時、ミゼルは俺の名前を聞くかどうか迷っていたのか?






「ごめん……言うの、忘れてたな……クラウド・ラグドーンだ……よろしく」



俯きながら改めて自己紹介をする。


この3日の間ゾンビ達と遊んで(ゾンビ談)居たからだろうか、どうにも人付き合いが苦手になっているような気が……




「クラウド様……お教え頂き誠にありがとうございます」


しかしミゼルは、表情を崩さず礼儀正しく感謝の言葉を述べる。




ありがとうございますって……むしろ俺が謝らなきゃ行けない話だ。






煮え切らない思いを感じながら、街の門をくぐる。


ミゼルは当たりをきょろきょろと、探るような視線で見ていた。






まあ何だ……とにかく何か……彼女に食事を取らせるべきかな?

次回は恐らくグルメ描写が……自信ないですが頑張ります!

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