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ダイスロール・ヒーローズ


「ダンジョンンに潜りたいにゃん」


 フィッツが言った。


「俺も、ダンジョンに潜りたい。というか戦いたい」


 俺は賛成した。


「別に良いと思いますけど、誰が行くんです?」


 レイチェルも同意した。


「ダイスロールで決めるか」


 俺が提案した。


 こういうのは勢いとノリが大切なのだ。俺とフィッツは決まりとして、後はダイスロールだ。

 ランダムなのが良いのだ。行ってしまえば何とかなる、考えるのは後回しだ。


「ええと、まずは人数からだな」

 ころころとダイスを振ると、4の目が出る。


「4人だね、じゃみーとインギーは決まりということで、あと二人か」

 サクラ、レイチェル、マリア、キャスリー。


 ころころー、ころころー。

 出た目は、2と4。つまり、レイチェルとキャスリーだ。が、キャスリーは不在。


「キャスリーは、サクラと一緒に薬草採取クエスト中だったよな」

「はい。今日はフォレスト・イゾー草とかを採りに行ってますよ?」

 よし、ダンジョンの前にそちらに向かい、合流してもらうか。


「ちぇ、いいなー、ボクもたまにはレア素材げーっとー! とかやりたかったのに」

 マリアは最初から除外されている。鍛冶の腕は認めるが、モンスターとの戦闘経験があるわけではない。けんかっ早いだけでは、どうしようもないからな。


「今度サクラあたりにけいこをつけてもらうといい。あいつは弱かった分、教え方もうまいぞ」

 ぶすっとしながら、はいはいと適当な返事をされてしまう。ううむ、すねたか?


「まあいい、ちょっと行ってくるぞ」


 目指すは西の森。まずは薬草採取中のサクラとキャスリーを探すのだ。




 王都の西に広がる大森林、名前はまだない。いや、あるのだろう。きっとある、無いわけがないのだが、ここは俺がつけてやろうと思う。

 なに、どうせ内輪で呼ぶ名前だ。もし公式の名前があるのなら、その時は森自体を焼き払ってしまえばいい。そうすれば、焼野原を作ったのは俺だ。名前を付ける権利は作成者にあるはずだ。


 うん、決めたぞ。

 『熊さんの森』だ。熊が住んでいそうだから、熊さんの森。荒ぶる熊、現れるヒドラ。なすすべもなく食べられる熊。

 これが、弱肉強食、自然の掟なのだ。

 さて、俺たちは熊さんの森に足を踏み入れる。



 サクラとキャスリーはすぐに見つかった。


「キャスリー、探したぞ。ダンジョンに行くからついてこい」

「えっ、インギー、なんでこんなところにいるんですの? 今日は別行動だと思っていたんですの」


「ダンジョンって、行先でも変わったんですか? ねえレイチェル、どういうこと?」


 俺たちは事情を説明する。

 サクラには悪いが、キャスリーは連れていくぞ。


「一人ですか? いいですけど、少し寂しいなー。うん、気を付けてくださいね」

 サクラに関しては問題なかろう。なんだかんだでうちのギルド内では一番強いし、逃げ足も速い。世間知らずなだけで常識力もある。


「薬草探しだったよな、サクラの依頼は。ではキャスリーの代わりを置いていこう」


 俺は懐からスキットルを取り出し、ちょちょいと魔法をかける。

 スキットルからはにょっきりと手足が生え、動き出す。生き物を作った後は、名前を付けねばならない。名前を付けることで、その生き物を真に支配下に置くことができるのだ。


「よし、お前の名前は、ミリリッ太だ」


 ミリリッ太はちゃきちゃきした声で喋り始める。

「へい旦那、サクラの旦那、薬草ならまかせてくだせえ。いくらでも取ってきやすぜ。旦那、行きましょ、行きましょ」


「ええ、ほんと? 頼りになるのかなあ。ちゃんと見分けられる?」

「ムリです、旦那。あっし、目が無いんで」

「ダメじゃん」


 呆れるサクラを置いて、俺たちは別行動を開始した。


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