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ふうさされたハウス!


「なんだこいつ、アンドロイドか?」


 俺たちの目の前に現れたのは、金属製の光沢を持つ、一体の人形だった。

 いや、人形のように見えるのは形だけ。目には光が無く、顔はまるで仮面のように感情が読み取れない。

 魔力はさほど感じないが、かわりにどんな攻撃をしてくるかも一切想像できなかった。


 かくん、とマリアに似た――メタルマリアの首が後ろに倒れる。取れた首の断面から、複数の触手が伸びていく。

 ううむ、これはちょっとしたホラーだな。

「首がもげるところまで似ているとは、ゾンビになりきっているのか?」

「うええ、ボクはあんな化け物じみた動きはしないよ!」


 マリアの必死の抗議。


「マリア、あいつは何に弱いと思う?」

「え? ええと、なんだろう。金属っぽいから、直接的な打撃よりも熱とか冷気かな。あとは――」


 室内で炎か、あとで怒られそうだからパスだ。ならば――

 迫る触手に、俺は右手をかざす。まばゆい閃光とともに、太い電撃が奴に直撃する。


「あとは、≪電撃(ライトニング)≫あたりかな? 電気の通りは良さそうだが」

 俺の腕の中で、マリアはこくこくと頷いた。


 ぶすぶすと焦げつつも、メタルマリアはゆっくりと動く。呆れたな、たいした生命力だ。

 さて、と。

 瀕死のモンスターを前に、俺はマリアに事情を聞く。

 そこへ、フィッツがやってきた。


「フィッツー。怖かったよー。聞いてよ、へんなモンスターがさー、」

「ああ、ちょっとしたトラブルだ。大丈夫だ、もう終わった」


「……そう」


 フィッツは素っ気なくつぶやくと、じっとこちらを見ている。その眼には、光が無い。


「……フィッツ? どうした」


 てくてくと歩いてきたフィッツは、急に妙な体勢で俺に向かってとびかかってきた。

 うがあっ!


「うおっ、どうした、寝ぼけているのか?」

「インギー、そいつも化け物かも! やばい!」


 もみ合った後、フィッツを蹴りはがす。彼女の顔はドロリと溶け、まるでのっぺらぼうだ。

「インギー、さっきの奴もいなくなってる!」

「なにっ!」


 振り向くと、焦げた床があるだけだ。ばたばたと音を立て、ニセフィッツも逃げ出す。

「まずい、追うぞっ!」

 が、遅かった。ニセフィッツは身軽に窓から外へと逃げ出す。


 しまった。


「どーしよう、インギー」

「とりあえず、だ。張ってある結界をすぐに強化する。外に逃げられるとさらに面倒になる。あとは、全員をたたき起こすぞ。敵が何人か、誰に化けているか、わかったもんじゃない」

「わかった!」


 マリアに俺の側を離れないように厳しく言う。今の様子だと、次に現れたときにはもっと似せてくるかもしれないからな。




 数分後、俺は中庭にギルドメンバーを集めた。

 サクラ、キャスリー、フィッツ、レイチェル。そして、俺とマリア。集まったメンバーの前で、俺は事情を説明した。

 キャスリーが手をあげ、質問をしてくる。

「あのーインギー、一ついいですの?」

「なんだ?」


「この中に偽物が混じっている可能性もあるんじゃないんですの?」


 しまった、盲点だった。


 どうすればいいだろうか、確かに今の段階で確実に信用できるのは、一緒にいたマリアだけだ。

「インギー、それにゃん。そのモンスターが最初からマリアに化けてた場合、マリアも怪しくなっちゃうにゃん?」


 しまった、それも盲点だった。


「もっと言うと、イングウェイさん自身もモンスターって可能性もありますよね。こうして皆を集めたわけですから、マリアさんと二人ともモンスターってことはないでしょうけど。騙されてるのがマリアさんって可能性も」


 困った、何か信用してもらう方法はないものだろうか。


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