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プロローグ

 十年前、人類はサメに敗れた。


 ある日、全世界の海岸線に八体の巨大なサメが現れた。ユーラシア大陸、アメリカ大陸、アフリカ大陸、主要な大陸の全ての海に。

 人々が何事かと問う前にサメは大陸を食い出した。大地を、都市を、何もかもをサメは腹に納め始めた。次第にかつての海岸線はただの海と化し、緑生い茂る大地も、枯れ果てた大地も、全ての陸地は等しく青一色に染まっていった。どういう事かとニュースキャスターが生物学者に問い質す映像の裏でもその"食事"は続いた。時にはそのキャスターが餌となる光景が中継されることすらあった。

 各国は愕然としながらも反撃を開始した。魚雷を命中させた。無傷だった。戦車の砲弾を直撃させた。擦り傷一つ負わなかった。戦闘機のミサイルが巨体を貫いたかに見えた。見えただけだった。人類の全ての兵器はその巨大なサメ達には歯を立てる事すら叶わなかった。


 やがて人類は最後の選択肢を選んだ。核を投下したのだ。

 サメ達はそれを見ると、ただ天を仰ぎ、口を開き、そして少ししてから、その顎門を閉じた。そしてまた前を向くと、その巨大な牙を大地に突き立て、喰らうことを再開し始めた。

 核を喰ったということを数巡置いて悟った人類は、サメの次に天を仰ぐこととなった。今度は喰らうためでは無く、救いの手を求めて。

 しかし与えられたのは救いの手では無く、全てを喰らう牙のみであった。


 かくして大地の九割は海となり、地球は、ただの青い星となった。

 ただ一つの島を残して。

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