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月
この物語を青空に散ったカノンに捧ぐ。
真っ白な天井。
真っ白なドア。
真っ白な壁。
真っ白なカーテン。
真っ白なシーツ。
白で構成された部屋。
このまま自分も白に融け合って消えてしまうんじゃないだろうか。
そんな不安がよぎり、自分の眼前に手をかざしてみる。
ひょろ細い色白の手だ。
まだ真っ白になっていない。
思わず安堵の息が漏れた。
勢いよく白い扉が開く
「おはよー。歌ちゃん。今日はとぉーてっもよい天気よ。」
白いナース服のお姉さんが笑顔で入ってくる。
「はい、いつものように。」
そう言ってベージュ色の体温計を渡してくる。
「おはよーございます。」
小声でぼそぼそ言って受けとる。
白いベットにいる少女は細く痩せている。肩口で切りそろえられた髪はおかっぱ頭で、伸長も低いため、到底15歳には見えない。10歳と言われたほうがすんなりと受け入れられるかもしれない。