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隣の幼馴染  作者: カカ
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プロローグ

「あ、倉橋悠」

「え?」

 唐突に名前を呼ばれて、倉橋悠は視線を声の方へ向ける。そして、悠の右隣の席に、一人の少女を認める。

 背中にかかるくらいの長い髪。それをやや乱暴に二つに結んで、後ろに垂らしている。顔立ちは整っていて、ぱっと見はやや冷たく感じるのだが、どこかぼんやりした表情が、その雰囲気を緩和している。学校指定のセーラー服姿は良く似合っていて、少しまぶしく感じられるくらいだ。

 悠は、その少女のことを知っていた。

 意外だと思った。なんとなく、この子とはもう、縁がないのではないかと思っていたのだ。

 別に、そんなことないはずなのに。

 誰かがそうと決めたわけでもないのに。

 たった六年間の空白で、そんなことを、本気で思っていた。

「……吉良、茜」

 彼女の名前を呟くと、茜は目をぱちくりと瞬いた。

「あたしの名前、覚えてたんだ。もう、すっかり忘れられてると思ってた」

「いや、それは俺のセリフだけどな。さっき名前呼ばれて、びっくりした」

「それはあたしのセリフ、という言葉を返そう。名前を呼ばれて、びっくりした」

 二人して、なんだかしみじみと、お互いの顔を見合わせてしまう。二人の間には、せいぜい一メートルの距離もない。この距離で茜の顔をじっくり見るのは、久しぶりだった。

 と、女の子の顔を見つめている、という今の状況に思い至り、悠は気まずい思いとともに視線を逸らす。

「……なんていうか、お前とは、もう縁がないような気がしてた」

「ふぅん。今日は気が合うね。実は、あたしもそうだったよ」

 おかしなこともあるものだ。幼馴染だからって、思考まで似なくていいのに。

「……まあ、せっかくのお隣さんだし、少なくとも一年間はクラスメイト。これからよろしく。……倉橋くん」

「ん。よろしく。……吉良さん」

 高校の入学式。その日に起きたほぼ六年ぶりの二人の会話は、それで途切れた。新しい担任の先生が入ってきたのも理由の一つだけれど、それ以上に、会話を続けるための話題も思いつかなかった、というのが大きかった。

 幼馴染だった、悠と茜。途切れていた二人の物語は、ここから再び、動き始めた。


 ありがとうございました。

 はじめはやや大人しめですが、後々明るくなるんじゃないかと思います。

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