<十二>
短めですが投稿。
「どういうことよ、これは。」
そう言ったのはケイトだったが、全員の気持ちでもあった。
入口が無くなっていた。
閉じていたのではない。
入り口があったはずの場所が壁になっていたのだ。
「場所は間違っていない。」
ファーサイトが一応答える。
「そんなことは私だって分かる。どうなってるの、シィン!」
「どうしてかは分からん、が…。」
「が?」
「何時なったのかは分かる。」
「どういうことですか?」
「さっき俺が異常を感じた時だ。あの時に閉じたのだと思う。」
「何でそれが分かるんだ?」
「多分だが、不死者用の結界が閉じた。」
そして自分の推論を語り始めた。
自分と他の者の違いが「転生者」か否かということ、これはおそらく魂に関係する呪いであること、そしてそれをかけたのが「不死者」であること…。
「つまり、俺は半分『不死者』扱いなんだろう。」
そう言ったシィンにケイトが、
「それは分かったけど、この後…。」
と話しかけた時に、別の声がした。
「…ここは?」
どうやら救い出した娘が気が付いたらしい。
取りあえず気が付いた娘の対応を先にすることにした。
「貴方、名前は?」
「…ディー。」
「そう、私はケイト。ここにいるのは私の仲間よ。」
「そう…。」
ケイトと受け答えをする様子を見ながらシャリーは
(まだ状況が把握できていない…?質問は後回しにした方が良いかも…。)
と考えていた。辛い質問は彼女を傷つけるかも知れない。
その想いをぶちこわしにする声が響いた。
「お前の仲間はどうした?」
シィンがいきなり聞いた。
思わずシィンを睨んでしまう。
「いつかは確かめなければならんことだ。」
助けを求めるようにカイトを見たシャリーは、カイトが頷いているのを見て理解した。
未だ危機は去っていない。
というより自分たちは危機の真っ直中にいるのだ、ということを。
甘い気遣いは全員を危機に導く。
(そんな事はよく分かっている事なのに、どうかしていましたね。)
入口が無くなっていたことに、知らず知らずに動転していたのだ。
(私もまだ未熟ですね。)
シャリーの内心はよそに、シィンが質問を重ねる。
「後二人は居たはずだ。どうしたか分かるか?」
その質問にディーは、
「…ガナッシュ、…ザルツ、ホー…ランド、チェ、ル…シー?あ、ああっ、ああぁーっ!」
仲間の名を呼び、両手で自分自身を抱きしめるようにして身を震わせた。そして声を上げて泣き叫び始めた。
その様子から残りの全員が覚った。
「新しき星」は彼女以外、誰も残っていない。
ディーの泣き声は、迷宮の廊下に虚しく吸い込まれていった。
自分の泣き声を聞きながらディーは理解していた。
もう、本当にあの仲間達は帰ってこないのだと。
「還らずの迷宮」に飲み込まれてしまったのだと。
ディーのパーティ名の誤りを修正。
「新しき風」→「新しき星」




