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Watch ~監視者~  作者:
「精霊の迷宮」
47/98

<十>

 異変を感じたのはシィン。

 (何だ、何が起きた?)

 急に背負っていた身体を重く感じた。

 (罠?いや違うな。他のメンバーに変調はないようだ。)

 しかし、何か異変は起きている。このまま進むのは危険、と判断して一行を止める。

 「どうした?」

 たずねてきたカイトに、自分が感じた変調を伝える。

 カイトは早速パーティのメンバーに確認していく。

 結果、変調を感じているのはシィン一人ということが分かった。

 「原因として考えられるのは『鍵』でしょうか。」

 シャリーが推測を述べる。シィンと他の者の違いは確かに『鍵』である。

 「試してみよう。」

 そう言うとカイトがシィンから『鍵』を受け取り、首に掛ける。 

 「どうですか?」

 シャリーの問いにカイトは

 「別に変わりはないぞ。」

 と答える。シィンも

 「相変わらず、身体の調子が悪く感じるな。」

 と返す。

 「その子を背負っていて疲れたんじゃないの?」

 ケイトが言うと

 「疲れたと言うより、いきなり力が弱くなった感じだな。」

 と答えるシィン。

 「原因は分からない、ということですね。」

 「で、どうする?」

 「俺が弱くなっただけだ。やることは変わらん。」

 「大丈夫か?」

 「『試練の間』に入らなければ大丈夫だろう。」

 「彼らがいる可能性は?」

 「『鍵』が無ければ無理だ。そこまで辿りつけんだろう。」

 「それでは進むか。」

 何が起きるか分からないため、慎重に進んでいく。未だ「新しき星」の手がかりは見つからなかった。












 シャリーもシィンも、そして「風追い人」の他のメンバーも失念していたことがあった。 それはシィン自身が「特別」だということ。

 神にも届く「不死者」に念入りに呪われた「転生者」であること。

 その魂には「不死者の呪い」が食い込んでいる。

 そしてこの『迷宮』は不死者が入れない結界を持つこと。

 実は、この迷宮に入った時点でシィンの弱体化は起きていた。ただし、それはそれほど影響のある物ではなかった。結界が不完全だったからだ。

 しかし『鍵』が『迷宮』の深部に進むことで「試練」が開始され、『迷宮』の構造が変わってしまった。 

「試練」が終了するまで、入り口が閉ざされたのである。

 入り口が開いている状態では綻びがあった結界が、入り口が閉ざされることで完全に機能し始めた。

 そのためにシィンの身体能力が弱体化したのである。この状態で戦闘になるのは非常に危険であった。

 知らずに進むシィン達の行く手には予想以上の「試練」が待ちかまえていた。



一つめの「試練の間」に着いたのは、それから1ジアン後だった。

 「ここまでには見あたらなかった、な。」

 仲間に確かめるカイト。

 それに頷く一同。

 「扉には誰も手を触れた形跡はない。」

 そう告げたのはファーサイト。

 その事が示すものはただ一つ。

 「新しき星」の生存者は一名、ということだった。

 「引き返そう。」

 シィンの言葉に全員が扉に背を向け戻っていった。

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