<十五>
やっと、投稿です。
次回はもっと早くしたいですね…。
繁みから息も絶え絶えに出てきたのは、ラミーだった。
自分たちが化け物に襲われたこと。追いかけられて必死で逃げたこと。自分たちが野盗だということ、昼間シィンと名乗る男に遭遇したこと等…。
順序はバラバラで、分かり難かったが、どうやらそれだけのことをしゃべり終えると、ラミーは半ば気を失ってしまった。
「奴らが来ると思うか?」
すでに臨戦態勢の仲間達に、カイトはあえて確かめた。
「当然。」
「来ると思いますよ。」
答えるケイトとシャリー。うなずく仲間達。ただし一人を除いて。
「ファーサイト?」
「違うぞ、カイト。」
声の調子に全員が警戒を強める。
「もう、来ている!」
言うや否や、ファーサイトは連弯の矢を発射する。
闇の中に続けざまに放たれた矢は五本。
しばらくして、矢の打ち込まれた方角から何か聞こえてきた。全員が耳を澄ます。
地面の落ち葉を踏む音。その音が徐々に近づいてくる。
現れたのは額や胸、中には右の眼に矢が突き刺さったままの人影が五人。その姿を見てラミーがヒクッと息を呑んで怯える。
ゆっくりと現れた五人は一行の手前、5ミトル程離れたところで立ち止まった。そしてニタリ、と嗤うと自分に突き刺さった矢を引き抜き始めた。
抜けにくいように返しが付いている戦闘用の鉄矢である。当然、肉を抉り、傷口が開いていく。眼に刺さった矢にはそのまま、眼球まで付いてきた。
その光景に、ラミーはとうとう気を失ってしまう。慌ててフィリアが支える。
その後、自分の血や肉、眼球を愛おしそうに口に運んだ五人は、手に持っていた鉄矢を指二本で折り曲げると地面に捨てた。
「こんな鉄の棒は効かんよ。」
先頭にいたテッドだった「もの」-従者吸血鬼-はそう言った。
「可愛い獲物を追ってきたら、大漁だな。」
「たらふく血が飲めそうだ。」
何時の間にか、矢で付いたはずの傷は全員が再生していた。
「獲物になる気はないな。」
そう答えるとカイトは剣を構える。それが合図のように仲間達も戦闘態勢を整える。
「フィリアはラミーさんの側に!」
ケイトがそう指示を出すと、ファーサイトと二人を護衛できる位置に付く。
全員が戦闘態勢を整えるのを待っていたかのように、サーヴァント達も動き出す。
「たった5匹で俺たちの相手をできると思ってるなら甘いな。」
カイトは挑発する。彼は以前サーヴァントと戦った経験があった。サーヴァントの力は侮れない。しかし弱点もあった。
その一つが人間に対する優越感である。自分たちが優れている、人間を超えている、と思うが故に簡単に挑発に引っかかり、自分たちを不利な状況に置いてしまうことが多い。先ほどの行動からも成功する率は高い、そう判断していた。
しかし、カイトの予想は裏切られる。
周囲から、さらに10人ほどのサーヴァント達が現れたのだ。
「これで不足はないかな?」
嘲るテッド。
死闘が始まろうとしていた。
短いですが、切りがいいのでここまで。
サーヴァントはゲームの中で言う「レッサーヴァンパイア」ですが、何気に強敵だと思うのは私だけでしょうか?
というか、アンデッド系は殺せないし、もう死んでるんだから…。
死なない相手と戦う、無理ですよねぇ。