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Watch ~監視者~  作者:
「悲しみの森」
14/98

<十二>

ストックも暇もなくなってきました。

更新遅れ目になります。

長い目で見てやってください。


今回はホラー風味?



 =そろそろ始めよう=

 -良い頃合いだな-

 =まずは…=

 -余分な因子の排除か-

 =…その因子も利用しよう=

 -良かろう-


 闇の何処かで「声」がした。












 …カサ…、…カサ…。

 さっきから、何か音がする。

 それほど大きなものではない。

 まるで、誰かが歩いているような音。

 隣にいるテッドと目を合わせる。

 「ラミー。」

 テッドの声が震えている。

 ここは自分たちの拠点(アジトだ。安心なはずだ。

 そう思っていても、少しずつ、不安が増す。音がやまないからだ。

 先刻は、たった一人の冒険者に全員が叩きのめされてしまった。そのことも影響しているかもしれない。

 音がだんだん増えてきている気がする。

(まさか、追っ手に見つかった?)

 もう一度テッドと目を合わせうなずく。

 天幕テントの外に出てみる。肩の力が抜けた。

(何も異常なしじゃない。) 

気にしすぎだったのだろうか、そう思い隣のテッドを見た。いや、見ようとした。

 「テッドッ!?」

いなかった。慌てて、周囲を見回す。

 今しがた、一緒にテントから出てきたのだ。側にいるはずだ。

 「悪ふざけはよしてよ。」

そうだ、きっと私を驚かそうとしているんだ。だから、そっと隠れてるに違いない。

 そう思っているのに、なぜ身体が震えるの?

 ラミーは既に野盗の頭目ではなかった。

 そこにいたのは小鳥のように怯えて震えているただの女だった。

「お願いだから出てきてよ。」

 声が震えていた。気がついてしまったのだ。

 いないのはテッドだけではない。いつの間にか仲間が全ていなくなっている。

「だ、誰かいないの?」

認めたくなかった。誰かに否定して欲しかった。

 自分でも気づかぬうちに足は後ずさりしていた。

背中に何かが当たった。木にぶつかったらしい。

 そこで初めて自分が後ずさりしていたのに気がついた。

背筋に悪寒が走った。なぜ、背中の木は柔らかいのだ!?

慌てて後ろを振り向いた。何もない!

 もう一度振り向く。そこには…。

 テッドがいた。仲間もいた。だが、それは本当に?

 なぜ目が真っ赤なの?どうして首筋を押さえたり隠したりしているの?

 「ラミー。」

テッドが私を呼ぶ。優しい声。なのに、ぞっとした。

「おいで、仲間になろう。」

 動くのは真っ赤な唇。その端から覗いた牙。

 それを見たとき、私は悲鳴を上げてその場から逃げ出した。

 どちらに逃げればいいのかも分からない。

 ただ、目の前の仲間だった者の形をした恐怖から、逃れようと必死で。



ラミーは森の闇に向かって走り出した。怯えたウサギのように。

 後を追うのは闇の猟犬。かつて仲間だった者を狩り立てるために、いくつもの影が走り出した。 急がず、焦らず。

彼らは知っているのだ。闇の中こそ自分達の世界。獲物は逃れられない。

 元人間であった猟犬たちは狩りを楽しんでいた。


野盗団、壊滅。

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