<十二>
ストックも暇もなくなってきました。
更新遅れ目になります。
長い目で見てやってください。
今回はホラー風味?
=そろそろ始めよう=
-良い頃合いだな-
=まずは…=
-余分な因子の排除か-
=…その因子も利用しよう=
-良かろう-
闇の何処かで「声」がした。
…カサ…、…カサ…。
さっきから、何か音がする。
それほど大きなものではない。
まるで、誰かが歩いているような音。
隣にいるテッドと目を合わせる。
「ラミー。」
テッドの声が震えている。
ここは自分たちの拠点だ。安心なはずだ。
そう思っていても、少しずつ、不安が増す。音がやまないからだ。
先刻は、たった一人の冒険者に全員が叩きのめされてしまった。そのことも影響しているかもしれない。
音がだんだん増えてきている気がする。
(まさか、追っ手に見つかった?)
もう一度テッドと目を合わせうなずく。
天幕の外に出てみる。肩の力が抜けた。
(何も異常なしじゃない。)
気にしすぎだったのだろうか、そう思い隣のテッドを見た。いや、見ようとした。
「テッドッ!?」
いなかった。慌てて、周囲を見回す。
今しがた、一緒にテントから出てきたのだ。側にいるはずだ。
「悪ふざけはよしてよ。」
そうだ、きっと私を驚かそうとしているんだ。だから、そっと隠れてるに違いない。
そう思っているのに、なぜ身体が震えるの?
ラミーは既に野盗の頭目ではなかった。
そこにいたのは小鳥のように怯えて震えているただの女だった。
「お願いだから出てきてよ。」
声が震えていた。気がついてしまったのだ。
いないのはテッドだけではない。いつの間にか仲間が全ていなくなっている。
「だ、誰かいないの?」
認めたくなかった。誰かに否定して欲しかった。
自分でも気づかぬうちに足は後ずさりしていた。
背中に何かが当たった。木にぶつかったらしい。
そこで初めて自分が後ずさりしていたのに気がついた。
背筋に悪寒が走った。なぜ、背中の木は柔らかいのだ!?
慌てて後ろを振り向いた。何もない!
もう一度振り向く。そこには…。
テッドがいた。仲間もいた。だが、それは本当に?
なぜ目が真っ赤なの?どうして首筋を押さえたり隠したりしているの?
「ラミー。」
テッドが私を呼ぶ。優しい声。なのに、ぞっとした。
「おいで、仲間になろう。」
動くのは真っ赤な唇。その端から覗いた牙。
それを見たとき、私は悲鳴を上げてその場から逃げ出した。
どちらに逃げればいいのかも分からない。
ただ、目の前の仲間だった者の形をした恐怖から、逃れようと必死で。
ラミーは森の闇に向かって走り出した。怯えたウサギのように。
後を追うのは闇の猟犬。かつて仲間だった者を狩り立てるために、いくつもの影が走り出した。 急がず、焦らず。
彼らは知っているのだ。闇の中こそ自分達の世界。獲物は逃れられない。
元人間であった猟犬たちは狩りを楽しんでいた。
野盗団、壊滅。