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僕の人生○○ました。  作者: 亜希成
第1話 僕の人生罪ました。
3/7

その3

あれから、どれくらいの時間が起ったのかはよく覚えていない。

そして僕は、駅の交番にいる。

僕の前には、この交番で一番偉いと思われる年配の警察官と、日向の母親がいる。

僕は、この二人を見る事ができないず、俯きつつ机の傷をみつめていた。

もう、僕の心も頭も体も疲れ果てていた。

「浅野さん…。」

日向の母親が僕の名前を呼ぶ。

その声に釣られるように僕は、顔を上げ日向の母親の顔を見上げる。

彼女の顔は、とても悲しそうな表情をしていた。

僕は、その表情を見つめていられず、また、うつむき何も言葉を出す事ができない。

「浅野さん…。」

再び、彼女僕の名前を呼ぶ…

おそらく、立ち上がったのだろう…、そんな気配が感じる事ができたが、僕は再び彼女の顔を見る余力も、話す気力も残ってなかった…。

彼女が再び口を開く。

「本当に、すいませんでした…。」

先ほどから、何度もきこえた言葉が再度耳に伝わる。

彼女の少し、染められた髪が机に触れているの視界にはいってくる…。

しかし、言葉がでてこない…。

「大変失礼な事をしてしまい、なんとお詫びをしたらいいかわかりません。」

こんどは、髪だけでなく、彼女の頭も視界に入ってくる…。

すると、手首にひんやりとした感触が伝わる。

視線をおとすと、日向のちいさい手のひらが僕の手錠をかけられた時にできた痕にふれていた。

「おにいちゃん、おこってる?」

日向は、真っ赤にした大きな目で僕の顔をのぞいている。

僕の疑いは、この隣にいる日向のおかげではれる事ができた。

僕が、手錠をかけられた時、起こった事に驚き日向が泣きながら、事情を説明してくれたのだ。

本当に良くできた子供ですよ。

とりあえず、すぐに手錠ははずされ、この親子と共に、駅にある交番へ行き事情を説明することになった。

結局僕が、よかれと思いした事が総て裏目にでてしまったそうだ。

僕が、日向と食事をしている時に、母親が帰宅したが、日向がいない。

あるのは、「娘さんをあずかってます。帰宅したら連絡を下さい。」と言う伝言と連絡先が書かれている僕のメモ。

まさかと思い連絡をすると、娘といる不振な男が電話にでる。

その男は、金がないからとか、娘をなかしてるとか言う。

母親は、その会話から誘拐犯だと確信し僕に会う前に駅前の交番に助けを求めて僕の前に…。

警察も最初は、そんな人の多い所にいるのはおかしいと思っていたらしいが、母親に殴られた僕が、誤解をはらそうと彼女に近づいたのが、その人達には、襲いかかろうと見えたらしく急いで確保したようだった。

そりゃ、僕も悪いですよ。

言葉がたりないですよ。

もっといえば、奇跡的にそうもとれる電話の会話でしたよ。

でも、そんな捕まりやすい場所で、普通まってないでしょ!

てか安アパートの住人誘拐してもたかがしれているでしょ。

誘拐のときは警察に言わないのが定説でしょ。

全部、僕が柄にも無い事をしたせいなんですよね。

わかります。

僕は、母親や警察への怒り、親子の再会での感動してた自分、正義の味方になれたかも何て言う行動のあさはかさで、はずかしいやら悲しいやらで、顔あげる事も言葉を発する事もできずにいた。


僕が、やっと家に帰れたのは、夜中の零時をすぎたころだった。

精魂尽き果ててしまい、とにかく早くその場をはなれたかったので、「気にしてないです。」とだけ言葉をふりしぼり、なんとかその場を納め家路につく事ができた。

部屋に入ると、ベッドに倒れ込んだ。

体がだるく、頭が重い。

今日は、本当に厄日だ。

あそこで、声をかけなければ、いつものように、家に帰り、いつものように、食事をして、いつものように、風呂にはいり、いつものように、ネットして、いつものように、寝ていたのに。

やっぱり、人間と言う者は、自分の力量に合わない事をするからこんなことになってしまう。

僕は、やっぱり、正義の味方にはなれないんだ…。

そんなことを考えているうちに僕の意識は落ちていった。


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