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僕の人生○○ました。  作者: 亜希成
第1話 僕の人生罪ました。
2/7

その2

僕たちは、駅前のファーストフード店に入る事にした。というか僕の金銭的に奢れる限界である。

女の子は、お腹が一杯になり、少し安心したのか、いろいろと話をしてくれた。

女の子の名前が堀川 日向という事。

今日は幼稚園で遊んでいる時に転んでしまった事。

多分、鍵はその時に無くしてしまっと思う事。

お母さんはいつも早く仕事に行く事。

どんなに忙しくても夕飯はお母さんが必ず作ってくれる事。

お母さんの作るハンバーグとカレーが一番好きな事。

話を聞いていると僕の何も無い日常のすぐ隣で、母親とこんな小さい子供と二人で協力し合い生きている。

ただ流されるままに生きている僕と正反対の生活があることがとても不思議で、少しうらやましかった。

柄にも無く、日向ちゃんとの話が面白くなってしまい、一時間ほどたったころ僕のケータイがなった。

その音に日向ちゃんの目が輝いた事に気づいた。

着信を見ると、知らない番号だった。多分母親だろう。

僕は、日向ちゃんにうなづきながら電話にでた。

「もしもし。」

と言い終わらない内に女の人の声が聞こえる。

「日向と…娘といっしょなんですか?」

すこし声が震えている。よほど家に娘がいない事が心配だった様子だ。

「はい、一緒です。日向ちゃんは無事です、安心してください。」

「どこに行けばいいのでしょうか?」

母親の声がこわばったきがした。いくら同じアパートの住人でも知らない大人といるのは気が気でないはずだ。

「すいません。僕、あまりお金がなくて、今、駅前のファーストフード店にいます。わかりますか?」

「ファーストフード店?駅の向かい側の?」

「そうです。早く来てあげてくださいね。さっきまで日向ちゃん泣いてましたから。」

僕は、日向ちゃんにイタズラっぽく笑ってみせた。

すると、日向ちゃんは、頬を膨らませ、ヒドーイ、泣いてないもんとポカポカ僕の腕を叩いいた。

こんなじゃれ合いをしていると、電話が切れている事に気がついた。

「日向ちゃんが叩くから電話切れちゃったよ。」

「おかあさん、きてくれるかな?」

心配そうに、日向ちゃんがうつむしてしまった。

「大丈夫だよ。すごく心配してたみたいだから、すぐに来てくれるよ。」

日向ちゃんは顔をくしゃくしゃにして笑った。

その笑顔が、まぶしいくらい暖かい気持ちにさせてくれた。

母親はこの笑顔によって、僕以上に暖かい気持ちになっているんだろうな。

僕にはまだ、理解はできなかったけど少しだけ分かるようにも思えた。

「あ!」

いきなり日向ちゃんが立ち上がった。

彼女の目線を追うと、そこには、ジーンズと白いシャツを着た女性が肩で息をして立っていた。

よほど、我が娘が心配で急いで来たのだろう。

「おかあさん!」

日向ちゃんはその女性の元に走って行き抱きついた。すると母親も膝からくずれるように日向ちゃんを抱きしめた。

「よかった…。本当によかった…。」

母親は何度も胸に抱きしめた日向ちゃん言い続ける。

そんな光景を前に僕は、すこし感動していた。

やっぱり、勇気をだして、声をかけて良かった。少しは正義の味方になれたかもなんておもっていた。


母親が立ち上がり僕に向かって歩いて来た。

「本当にありがとうございました。あなたのおかげで日向が無事でした。なんとお礼をいったら…。」

なんて、言われてしまうのだろうか?。

名前も告げずに立ち去った方がかっこいいかな?

でもお隣さんだからすぐにばれてそれはかっこわるか?

なんてことを考えていると…。

突然、体に衝撃がはしった。

視界がブレて何が起こったかわからない。

なにか、怒鳴り声が聞こえる。

女の声?

日向の母親?

視界が戻ってくると僕は倒れている事に気がつく。

僕が殴られた????

なぜ…?

混乱するなかで、状況を把握しようとする。

倒れている僕。おそらくなぐられたよね。

そして目の前にいる日向の母親。ものすごい剣幕で僕に何か言っている。

「なんで、こんな小さい子供を!あなたは、卑怯です。」

卑怯?

え?

なにが?

ますます混乱する中で、母親からの言葉の一つのキーワードが耳に飛び込む。

「この誘拐犯!」

マジで!

僕、誘拐犯なんですか?

そんなこと、ないでしょう!

家に入れない、小さな子供を、[なんどか見放そうとしたけど…]善意として[ちょっとは仕方なくですが…]母親が帰ってくるまで、一緒に待ってあげて、[僕の方がなんか元気もらいましたが…]あげくの果てにはメシまで奢ってあげて、[店で一番安いものにしましたが…]そして母親との対面に感動までして…

それが、誘拐犯なんですか?

このままではまずい。非常にまずい。なんとか誤解をとかなくちゃ。

僕は、とりあえず、母親に誤解を解くため立ち上がり、理由を話そうとした瞬間。

僕は目の前が真っ暗になった。

いや、真っ暗と言っても、また殴られて視界が見えなくなったとかではなく、お先真っ暗みたいな心の表現です。

しっかりと視界は良好です。

だって、ちゃんと見えてますもの。

僕の目の前にいる同じ制服をきた数人の男性達が…。

いわゆる、警察官たちですね…。

僕は、その数人の警察官たちに囲まれ、なす術も無く、羽交い締めにされる。

日向ちゃんは無事か? ちゃんと真実を話してね。

もみくちゃにされる中、日向をさがすと、母親の隣で泣いていた…。

これじゃ、僕は本当に誘拐犯みたいじゃない。

そう思った時僕の手に冷たい感触つたわり、冷たい金属音が耳に響く。

その音が、僕の人生を、詰みました。

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