始まりの唄1
私は小説を書くのが下手ですが、宜しく御願いします。出来れば批評をしていただければ幸いです、どんな酷評も私の小説為になるのでコメントを頂けたらありがたいです。
あれから一週間という些細な時間が流れた。幽霊曰くみじろはことあるごとに三百四号室に遊びにきて僕の暇な時を解決してくれている。まだ僕を完全には信用をしていないようだ。みじろから発せられる口調は多少僕に暴力的な気がするけどまあ僕も幽霊など全く信頼などしていない、もしかしたら何かの陰謀という可能性も無きにしも在らずであまり深入りは禁物と心に誓った。それに妄想かもしれないと思うと怖かったからだった。
カーテンの隙間から射し込む陽光が、室内を明るく照らしていた。時に屈折する光は淡く何かを予感させるものだった。
僕こと木村ましぎは頭痛という奇病に悩まされている。二年以上悩まされている。しかし慣れることは無いだろう。現時点では軽いものだけれど頭痛の到達点最高潮まで達した時の痛みは焼いたスプーンで目をほじくり出されているようなレベル。この悶絶苦闘を始めて経験した時は記憶には残っていないが育ててもらっている叔父さんによれば自宅の二階自室から飛び降りたそうだ……僕はそれからずっと入院している。以来頭痛が最高潮なると例の「白黒世界」への旅が始まる。
僕は痛みを誤魔化す為に病院の売店までジュースを買いに行くことにした。
軽い音を立てて開けた扉の後ろから何やら気配がするのだけれど気にしないことにした。この恐ろしい邪気を羽織るふわふわした幽霊は一人しか皆目検討が付かないからであり非現実すぎる異質な存在だからだった。
僕は後ろの存在など最初から知らなかったと信じ歩き始めた。
「待ってよ! 気づいているならレディーには優しくするものよ」
みじろはこの一週間でかなり口調だけは達者になった。本質なのかもしれないが口調だけはどうにかして欲しいと思う今日この頃である。
「ああ…… 気づいているから気にしないで 出来れば用がないなら帰ってくれませんか? 」
「あっあんたね! ! 私がせっかく寂しいだろうからついて行ってあげようとしているのにその態度は何?まったく最近の男はデリカシーが無いわね」
僕は周りに独り言をしている所を観察されるとまずいので、ふてくされているみじろの耳にボソボソと喋った。
「ごめんごめん ちょっと考えごとしていてさ そういば最近のましぎさんの病室によく来るけどどうしたの? 」
「べ! 別に意味なんか無いわよ ほら用事ないし暇し…… あんたには関係ないでしょ! さあ早く行こう 」
「わかったよフワフワ」
「ふわふわって呼ぶな!」
みじろはなぜか赤面しながら地面に足を付けて普通の人間みたいに歩き始めた。何事も無いようにである。
僕はこれを最初に観察した時に驚愕したと共に普通の人間と大差無いなと思った。これなら僕が日常的に見ている人の波の中にも人との遜色がわからずに、間違いてしまいそうだ。
隣にいるみじろは僕との他愛もない会話の途中、時折ほくそ笑み時折高笑うという何とも憎らしいキャラに変わっていた。会話の内容は世界中を旅したとかベートーヴェンの幽霊に会ったとかちょっと信じられない内容だったけれども、まあみじろなら不可能ではない不可思議ではあるけれど。
みじろの前を歩いていた少年が目線の先に親御さんだと思われる母さんを見つけ活発に母さんの元へ走りみじろの体をすき抜けて行った。みじろはその瞬間寂しそうに微笑んだのだった。
中央線大学病院はかなり先進医療が発達しており世界随一と呼ばれているまた、この街は成長都市とも呼ばれておりその由来は一日ごとに疾風のごとくあらゆる分野の科学、芸術、などが日に日に成長しているからである。知の宝庫である。
僕はこの「成長都市」についてあらゆることをみじろに話した。興味心身に聞いており必死にうんうんと頷いていた。
「へぇ……そうなんだ知らなかったこの街がそんなに凄かったなんて、 驚きよ 」
「そうだろ? ましぎさんもちょっと信じられないもんな」
みじろと熱く会話している途中、僕は突然に肩を叩かれた。驚き振り返ると親友の久石凛が僕の真後ろに名前ように凛とした雰囲気で立っていて見舞いの為の名前も分からないファンシーな色の花を持っち僕を見つめていた。
「あ…… こんにち ……久石さん 」
「あなた誰と会話しているの? 入院しすぎてついに頭いかれちゃった? 何時もあなたはそうゆう可笑しなこと言う人だったけれど」
「あはは……ひどいなあ独り言だよ独り言 」
「本当に? 私の観察点を述べるとあなた一人でジェスチャーしてたわよ…… 気になるわ」
「本当ですって、 嘘なんかこのましぎさん限ってつくわけがないでしょう」
「ならよいのだけれど」
僕は予定外の事態で、心臓の鼓動が体中に絶えず体につんざいている。とりあえず平静を保つことにした。
「あっ病室に来る? ここで立ち話もなんですし… そうした方が良いと思うけど」
まだ太陽が昇っている昼間でも久石凛の見た目と雰囲気のせいか夜と錯覚してしまうほど彼女は人を引きつける力を持っている。
溜息をつき月のような銀髪を、くるくると巻いて僕に真っ黒い瞳を向けて言った。
「そうねそうさしてもらうわ……折角買ったお花を活けなきゃいけないものね」
「そうだね 出来れば先に僕の病室まて先に向かっていてくれないかな ちょっと用事があってさ」
「女一人で行かせる気? あなたも薄情な人ね」
「えっ? 」
「嘘 先に言ってるね 」
久石凛は独自のオーラを漂わせながら僕の病室までで急ぎ足ぐらいのスピードで向かっていった。
あの人もなんであのような性格をしているのだろう優しく微笑んでくれるとこちら側としたら楽なのだけれどと思っていると、隣から大声が聞こえてきた。再び僕の心臓の鼓動は回転を始めた。
「へーー女の子待たせていたんだ じゃあ私邪魔よね 」
何を怒っているのだろう……みじろは僕を蛇のように睨みつけて風船のように頬を膨らましている。
「えっ?そんなこと無いよ つかなんでそんなに怒るの?ちょっとましぎさんは怖いな」
「ふん 知らない 私用事できたから行ってくるから君はあの綺麗な人と楽しく遊んでいれば良いんだよさよなら 」
そう言ったみじろは風船のようにフワフワと浮かんで、何処かへ鳥のように飛んでいってしまった。なぜあんなにむかっ腹を立てるかは正直見当がつかないが、一人残された僕は子供に指を刺されていた。
僕の悪戦苦闘は何時まで何処までつづくのであろう、そして思考の海は常に頭なかで潮が満ちては引いていた。
頭痛が増している……しかし凛を帰すのは男として名が廃るので我慢することにした。
僕は急いで二人分のジュース
を買った。片方はコーラ片方は久石凛が好きなお汁粉である。凛はああ見えて大の甘党で常にお菓子を持ち歩いているほどである。
僕は急いで病室に向かった。
「ごめんごめん待たせたね……走ってきたから疲れてしまったよ 」
僕は病室の綺麗なベットに腰を掛けて先ほど買ってきたコーラのプルタブを開けて、勢いよく喉へ流しこみ渇きを癒していった。
「私の分は無いのかしら?」
そう言った凛に僕はポケットに入れてあるあたたかいお汁粉を渡した。
「あら……気がきいているじゃない。なかなかグットな選択よ」
それからしばらく凛は僕の病室に留まり、色々話をした。高校で発足した凛のファンクラブの者が凛の写真を撮影してきて物凄く目障りだとか毎日告白されて、そのうち噂が一人歩きを繰り返し運試しに告白してくる輩が後を絶たないだとか自慢なのか自虐なのかわからない話しを一通り聞いた。
中学生の頃からその並外れたルックスで野郎どもから憧れの眼差しを受けたと共に僕は周囲から殺気の満ちた目で見られていた。なぜなら中学生時代から彼女とは同じクラスで常に健全な友達関係だったのにも関わらずに中学校全体で交際していると思われていたからである。
いたって健全であり一瞬もやましいことなど僕は……考えてはいないそりゃ凛と肩を並べて歩けるのは男として優越感に浸れるけれど立場が違いするのが明白だった。
いつも無表情で、感情を出さず笑むという行為をまだ数回しか見たことがない。中学の入学式を終えた後クラスの連中は教室で全員緊張した表情をしているのに対して、彼女は至っては冷静沈着で椅子に行儀正しく座り黒い瞳を反らさずに黒板を見つめている風景は今も完全に記憶している。
それが木村ましぎと久石凛の出会いだった。
なぜかみじろと久石凛はまったく性格こそ違うのだけれど重ねてしまっている。
久石凛は唐突に怪談話を持ちかけてきた。
外は夜になり、怪しい雰囲気だった。鴉は不気味に
窓からこちらを観察しているようだった。
「ねえ知ってる? 最近巷ではこんな話が盛り上がってるらしいのよ」
「どんな話? 」
「 人が死ぬ話よ 」
「詳しいことはわからないのだけれど、オルゴールの音が聴こえるらしいのよ 死ぬ一週間前ぐらいから、一日ごとに音の大きさが増していって、最後は耳元に女の人の声が聴こえるらしいわよ 」
久石凛は声のトーンを変えずにいつも通りの調子で話しているが、それが凛の独自の雰囲気と交り話の怖さを引き立てている。
病院の静けさでさらに身の毛がよだった。
僕は怪談が大嫌いだつまり物凄い小心者ということだった。僕は幼い頃からこの手の話を聞くと身震いをしてしまう。
「へーーそんなくだらない話が盛り上がっているなんて世も末だな」
「そうかしら……私は中々に興味深いけれどあなたはもしかして怖いの?」
「ば……馬鹿なこと言わないでくれよ 僕は男だよそんなことありえないよ さあもうすぐ面会時間が終わるから帰った方が良いみたいよ! 」
凛は意味深い顔をしながら少し思考して、窓を見ている。その時の横顔は寂しいというか心もとない雰囲気をさらけ出していた。
「そうね……それじゃあ帰るわ、さようなら」
僕は最後に悩んでいるみじろについて軽く久石凛に聞いてみることにした。
「あっ待ってちょっと聞いて良いかな?」
「どうしたの?」
「いきなりなんだけどさ幽霊とかって凛は信じるか」
久石凛は少しの間、思考して真っ暗な瞳を僕の目線から外さずに力強い言葉で言った。
「私は科学の視点から見れば在りえないと思うけれど、私は信じてるわ 昔見たことがあるもの! それじゃあ私は帰るわね 」
凛は会話を後にこの部屋を足早に後にした。彼女にしては珍しく感情が入った言葉に僕は少々驚いた。凛は普段は滅多に自分の感情が言葉に出るタイプでは無いからだった。
僕は自分自身の奇病について深く思考してみる。思考すればするほどわからない底無し沼の泥濘にはまっていく感触に苛まれた。
頭痛は先程から痛覚のスイッチを入れ替えたように激しく痛み、まるで初めて乗ったバスや車で乗り物酔いをした時の気持ち悪さが僕に強烈なストレスという感情を芽生えさせていった。頭の内部は脈を打ち親指ぐらいある釘を何本も刺されている錯覚に囚われベットから転げ落ちた。
僕は両手を頭に抱えながら自分自身に言い聞かせるごとく言った。
「これはやばいかもしれない……気持ち悪い頭痛がする 」
段々と目の前が真っ白になっていった。何も見えないし頭痛と目眩が酷くて僕の意識は混濁している。
遠くから声が聞こえる。生意気なふわふわ幽霊の声だった。僕はなんと言っているか耳を澄まして集中した。
「どうしたの?大丈夫! ねえ私……どうすればいいかわからない 起きて 起きて 」
僕は力を振り絞って口から弱々しい声を放った。
「大丈夫だよ……毎度のことだから」




