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契約違反は喰われるらしいです

「契約?」

「そうよ。式鬼は使役される代わりに、主が契約に背いたら殺して喰らうの。生者の肉は、それはそれはおいしいらしいから、楽しみだわ」


 秘色ひそくが、意味ありげな視線を月影つきかげに投げつける。


「秘色。月影を脅すな。大丈夫。おれたちは、おまえの母さんに命じられてるからな。裏切ったりはしない。それに、体を乗っ取るっていうのは、そうたやすくできることじゃねえんだ。おれたちみたいな高等霊でも全く痕跡を残さなってのは難しいんだからな」


 緑青ろくしょうが月影の頭をなでながら話す。


 月影は、内心冷や汗をかきながら次の行動を考えていた。

 最初は何となく「記憶喪失」という言葉を使ってしまったが、それが重大な過ちだったような気がする。


 月影は迷った。


 彼らに、本当のことを話そうか、それとも、自分を押し殺して、月影として生活していこうか。契約に違反すれば、自分を殺して喰らうという、先ほどの秘色の言葉を思い出して、しばし逡巡するが、元来、月影は嘘がつけない性格なのだ。この先ずっと、彼らを欺き続けることができるのかと自分に問いかける。


 答えは、否。



「えーっと。大変申し上げにくいのですが。私、月影じゃないんだよね。知らない間に、この体を乗っ取っちゃった、ような?」



「は?」



 秘色と緑青は絶句して、穴が開くほど月影を凝視した。浅緋うすきひだけは、話を聞いているのかいないのか、ずっと窓の外を眺めていた。


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