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35話 撃退

「なっ!? は、はぁぁぁ!?」

 


 この情けない声を出したのはケリーだった。

 俺がこの扉を破壊することは不可能だと思い込んでいたのだろう。

 それは俺の力を見誤っていたってことだ。

 こいつらは俺――鈴芽ちゃんの真の力を知らない。

 情報はあるけど細かな所は知られていないようで助かった。

 


 『まあ。私達が本気を出したのって、学校の中か精神世界の中だけだもんね』


 『そのおかげでこうして扉を破壊できたんだけどね』

 


 目の前にあった教室の扉は無惨に破壊され、壁ごと大きな亀裂が入っている。

 学校は特殊な魔力で覆われていて破壊が不可能だ。

 ケリーの力で補強されたとはいえ、拘束を超えた俺の一撃の前には紙切れに等しい耐久力。

 それに今の轟音できっと職員室にいる先生達にも異常事態だと知らせる事ができただろう。

 


「ケリー。まずい事になりました。どうやら今の音で例の英雄がこっちに向かって来てるようです」


「そうですか……。流石に手が早い……。いや足が速いと言った方がいいのでしょうか?」

 


 イズナとケリーがそう話し合ってるのが聞こえた。

 そんな二人にお兄ちゃん達が連携を取りつつ攻撃を仕掛けている。

 3対2は流石の二人にも応えたようで反撃するので精一杯なようだった。



 ケリーの動向をお兄ちゃんが口頭でアリスとアカリに伝え、二人はイズナだけを見ながら体を動かしている。

 今すぐこの場を去りたい二人は、焦りが出ているのか、動きが粗雑なものになっていた。

 


 『これチャンスよ! 今あの二人を足止めしてこの場所に食いつかせないと!』

 


 その通りだ! 俺は扉の前からケリーに向かって駆け抜ける。俺はケリーの魔法に耐性がある。

 故に目を合わせようが問題ない。

 


 ケリーの霧の攻撃は大体見切ってる分、俺は思った以上によく動けた。

 戦機と霧が交錯し金属音が響く中、教室の外からドシドシとこちらに向かってくる何かが聞こえ始めた。

 


「もう来ました! 仕方ありません。ケリーはこの場から撤退を。しんがりは私が勤めます」


「そうですね。分かりました。では最後に一つだけ――」

 


 言ってケリーは何かを小さく唱えた。

 その瞬間チラリとアカリの方を見た気がするが、気のせいかもしれない。

 俺はレイピアで斬りかかるが、彼の肉体は霧となって消えてしまった。

 


 まんまと逃してしまったようで悔しいが、残るイズナは健在だ。

 4対1の状況は流石のイズナも被弾が増えて体に傷が増えていく。

 もう逃げる気もないのか彼女は全力で俺たちに攻撃を仕掛けてくる。

 だが――

 


「待たせたな! 子供達!」


「「「「先生!!」」」」

 


 教室に結由織先生、いや今は茜か。

 彼女が入ってきてはすぐにイズナに肉薄し彼女の横顔にパイルバンカーを叩きつけ、戦鎚を放った。

 ドゴォォン!!と激しい轟音と共にイズナの体は校舎の壁に叩きつけられて瓦礫の中で埋まってしまう。

 どうやら一撃で気を失わせてしまったようで、イズナが目を覚ます様子がない。

 


「あんなに苦労した敵を……しかも一瞬で……」


「流石日本最強と言われるだけあるわね」

 


 お兄ちゃんとアリスが茜の姿を見てそう言った。

 茜は斬新から戦機を消して、俺たちに駆け寄ってきた。

 


「怪我ないか?」

 


 そう言われて全員自分の体に目を向ける。

 幸い大きな怪我はないようで、茜に心配しないようこの場のみんなが言った。

 すると茜は安心したのか、

 


「ほら良かった。あれやな。合宿の成果が出たっちゅう事やな」

 


 そう言った。合宿の成果といえば成果だろう。

 俺とお兄ちゃんの連携。

 アカリとアリスを起こしてから最低限の言葉だけで連携をとってみせた事。

 その全てはあの合宿があったおかげだろう。

 


「そうですね。先生の言う通りかも。にしてもあのイズナを一瞬で倒したなんて、本当にすごいですね?」

 


 アリスが言うと茜は「いや〜」と満更でもなさげに喜んでいた。

 そんな光景の中、一人だけ口を開かず虚空を眺めているアカリが、俺は気になった。

 


「アカリ? どうしたの?」



 俺はアカリの肩を叩いた。

 すると彼女はハッとして俺の方を見た。

 


「ご、ごめんごめん。少しぼーっとしとったわ。いや〜。お疲れさんやなほんま」


「大丈夫? 顔白いよ?」


「大丈夫や大丈夫。心配あらへん。ただの疲れや」

 


 アカリの顔がいつもより白く見えたが、疲れか……。そう言われたらそうかもしれない。

 【エリミネーター】と戦うウィザードが、今回は人間同士で争った訳だからね。

 俺と鈴芽ちゃんは最近対人の経験を積んだからアカリよりは慣れてるけど。

 


「無理しないでよね? あんたは私と同じ舞台の仲間なんだから」


「仲間……せやな!」

 


 うん。どうやら本当に疲れだけなようらしい。

 その後俺たちはイズナを回収し、ウィザード専用拘束具を取り付け職員室へ運んだ。

 このまま逮捕する前に茜はコイツに聞きたい事があるようだ。

 


 だが目を覚ますのはまだ当分先だろう。

 なぜって、あんな0距離からパイルバンカーを打ち付けられたら誰だってそう簡単に意識を取り戻せないだろう。

 そう考えながら俺たちはイズナの体を職員室の元まで運ぶこととなった。

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