21話 思考
叔母と出会ってから私達はスーパースズキで食料を買い込み、帰宅した。
お兄ちゃんとアリスが手伝ってくれるって事もあって、いつもより多く食材を買いこんでしまった。
使い切れるか自信はなかったけど、たまには良いわよね。
そう思い自宅に着くと、予想通りアリステラは「私もご飯一緒に食べたい!」と言ってきた。
初日のコロッケで味を占めたというのもあるだろうけど、純粋に私と一緒に過ごしたかっただけかもしれない。
食材も多く買いこんだこともあったし、私達はまた一緒に食卓を囲んだ。
あまりウチでご飯を食べていると家で待っている人も心配すると思ったが、どうやらアリステラの家には使用人しかいないらしく、食べる時はいつも一人で味気ないと言っていた。
ご飯ぐらい、誰かと楽しく食べたいわよね。
自分もお兄ちゃんが居ない食卓を想像すると耐えられない。
そんな寂しさを知る私はアリステラを帰すことは出来なかった。大樹が断るかと思ったけど。
『今いきなり雪也お兄ちゃんに対して好感度が上がることはないはず。良いんじゃないかな?』
と許可が下りた。
そうと決まればと、私は張り切って料理を3人分作り食事を共にした。
そんな今日の食事メニューは the 和食にした。
鯖の塩焼き、ほうれん草の味噌汁、豆腐、私お手製の糠漬けだ。
お兄ちゃんもアリスも美味しそうに全て平らげ、休憩ののちアリスは家に帰って行った。
食器を片付け、風呂に入り、今はお兄ちゃんと別れ自室で今日の授業の復習をしていた。
教科書を見ても理解できず、今度本屋に寄って参考書を買おうと思い、シャーペンを放り投げ椅子に深く腰掛けた。
『ねえ?大樹』
魂の中のもう1人に話し掛ける。
『ん〜?』
『あんた。この先の大体の未来が分かってるんでしょ? なら教えなさいよ。茜さんはこれから何かしてくるの?』
やはり気になるのは伯母のことだ。
私が特別強化実習生だと聞いてから何か企んでいそうな予感がしたから、この先の未来を知ってるこいつに聞いて対策を練ったほうがいいと考えた。
『茜……。九条家の問題は、だいぶ先になる予定だったんだが、特別強化実習生に選ばれること自体が俺も知らないルートだから、あの反応についても正直どう答えたらいいか分かんないんだよな』
『だいぶ先のことでもいいから教えなさいよ。またルートがずれて早まる可能性だってあるんだし』
『確かにな〜。なら俺が知ってる先の話をするか』
そう言って大樹は話し始める。
『まずあの叔母が目の前に現れるイベントは原作でもあった。あれは雪也お兄ちゃんがこの先の事件をいくつか解決してから起こる内容だったはずなんだけど』
『それが今起こったってわけね』
『そういうこと』
このイベントが未来の予定だったって事は、完全にそのルートに入ってる。
『そのルートだと、九条家のウィザード達が鈴芽ちゃんに襲い掛かるんだが、本筋だと、雪也お兄ちゃんが九条家のウィザード全員を撃退するんだよ』
『なるほどね〜。なら明日から九条家に襲われる可能性があるってことよね』
そうなると今の私の実力じゃ太刀打ちできない。
九条家のウィザードは精鋭揃いだ。
とてもじゃないけど私に敵うとは思えない。
あの叔母もそんな精鋭の一人だ。
『鍛える必要があるよな』
そうはいうがどうやって鍛えればいいか見当がつかない。
そう考えていると大樹は私の考えを勝手に読み、
『まずは鈴芽ちゃんの戦機ライトニングスパローの知識を深めるところから始めたほうがいいな』
『なるほど。知識さえあれば、アリスと戦った時に見せたあの力を扱えるようになるってわけね。なら説明をよろしく』
大樹は頷き、そこから知っている情報を夜遅くになるまでレクチャーしてくれた。
まずライトニングスパローの能力は、ただ速く走れるようになるだけではない。
詳しく聞くと、初速が光速。そこから1速ずつギアを上げ、スピードに付随する効果を扱う事ができるようだ。
出来る事は、ストロボ分身、エアバースト、隕石衝突レベルの破壊力のある一撃。
全て破格の強さだが欠点がある。
発動までに走らなければならないということ。
まず足場が不安定だと走れない。つまり全ての能力を封じられる。
次に足を潰されると同じように何もできなくなること。
最後に一番考えさせられたのが、威力が高すぎて本気を出せば地球を破壊しかねないという点。
どうやらこれは真面目な話らしく。大樹が見たっていう設定資料には「鈴芽は本気を出せば地球を粉砕できます(笑)」と書かれていたらしい。
てか(笑)ってなによ! 全然笑えないんですけど!
『だからこれから鍛える点については、初速を早く発動させられるようになること、力のコントロールが出来るようになることだね』
『スピードを調整して地球を木っ端微塵にしないようにするってことね』
そう聞くと『そうだね』と大樹は呟いた。
九条家が攻め込む前に身につけないといけない事が多い。
そう考えていると、
『特訓場所については心当たりがあるから任せてほしい』
そう大樹が言った。
一体どこで特訓するのだろうか。
心当たりのある場所を考えてみるが、大樹から告げられた場所は全くの予想外だった。
『次元の裂け目に行こう』
次元の裂け目。【エリミネーター】が出現すると言われているゲートだ。
確かにそこなら実践経験を積める。
命の危険と隣り合わせだが、実戦の中でしか身につかない事もあるのは間違いない。
そう考えていると大きなあくびが出た。
時計を見ると夜中の2時だった。
いけない。と私は思い、思考を中断する。
これ以上考えてたら明日遅刻しちゃう。考えるのは明日にして今日はもう寝よう。
そう思い部屋の電気を消してベッドに入るのだった。
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