プロローグ
抜けない年末商戦の疲れで、昨日は一日寝てしまった。本当は映画でも見に行こうと考えていた分、理想の休日を過ごせなかった後悔で胸がもやもやしている。
いつも通り午前六時に起床をして洗濯を片付けようと思っていたが、結局起きたのは六時四十分になっていた。一度に三回セットしていたアラームの最後でやっと起床した。
溜まった洗濯は帰ってきたら何とかしよう。このままでは、下着とインナーの残数が限界を迎える。そろそろ買い時なのはわかってはいるのだが、ここ数週間は疲れに任せてまともな買い物も出来てはいなかった。
買い置きのパンを食べながら朝のニュースを流し見して、食器とシンクを洗う。ここで洗濯物を干してからシャワーを浴びるまでが日課。
シャワーを浴びて、震えながらインナーシャツに下着姿でリビングに戻ると、乱雑に椅子に掛けていたスーツに袖を通した。そろそろクリーニングに出すタイミングかなと頭によぎった。
メイクを簡単にしながら、今日のスケジュールを頭にめぐらす。月曜日は決まったアポイントは三店舗で、空き時間に明日の会議資料をまとめればいい。できなかった残務を片付けないといけないので、余裕はないのだが。
最近は、心の中にある黒い何かが心を締め付けるように私の体を重くする。疲れているはずはないが息切れをしていて、何度も休もうかと考えたが目に見えた体調不良ではないので放置していた。実際、出勤さえすれば、何事もなく仕事はこなせていたのだ。
いや、こなしていたのか。
鞄の中に充電したノートパソコンとタブレット端末をしまった。どちらも会社の貸与品だ。部屋の隅に作った仕事ようのスペースに鞄を持っていった。
必要な書類、どれだっけ。
広い机にしたつもりだが、机の周りにも机の上にもクリアファイルに入れた書類が無造作に積もっており、何が必要かわからない。確か、サインをもらう必要のある書類があったはずだが、あれは社用車の中に入れたままだったか。
社用車の中も書類であふれている。
テレビから聞こえる、週のスタートからいい天気が続きますという声が聞こえてきて、心の中のもやが増していく。
なんか、疲れたな。少し休もうかな。
テーブルに戻り、腕時計を付けてから、私は椅子に腰かけてネットニュースを一心不乱に見始めた。