表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/20

プロローグ

 抜けない年末商戦の疲れで、昨日は一日寝てしまった。本当は映画でも見に行こうと考えていた分、理想の休日を過ごせなかった後悔で胸がもやもやしている。

 いつも通り午前六時に起床をして洗濯を片付けようと思っていたが、結局起きたのは六時四十分になっていた。一度に三回セットしていたアラームの最後でやっと起床した。

 溜まった洗濯は帰ってきたら何とかしよう。このままでは、下着とインナーの残数が限界を迎える。そろそろ買い時なのはわかってはいるのだが、ここ数週間は疲れに任せてまともな買い物も出来てはいなかった。

 買い置きのパンを食べながら朝のニュースを流し見して、食器とシンクを洗う。ここで洗濯物を干してからシャワーを浴びるまでが日課。

 シャワーを浴びて、震えながらインナーシャツに下着姿でリビングに戻ると、乱雑に椅子に掛けていたスーツに袖を通した。そろそろクリーニングに出すタイミングかなと頭によぎった。

 メイクを簡単にしながら、今日のスケジュールを頭にめぐらす。月曜日は決まったアポイントは三店舗で、空き時間に明日の会議資料をまとめればいい。できなかった残務を片付けないといけないので、余裕はないのだが。

 最近は、心の中にある黒い何かが心を締め付けるように私の体を重くする。疲れているはずはないが息切れをしていて、何度も休もうかと考えたが目に見えた体調不良ではないので放置していた。実際、出勤さえすれば、何事もなく仕事はこなせていたのだ。

 いや、こなしていたのか。

 鞄の中に充電したノートパソコンとタブレット端末をしまった。どちらも会社の貸与品だ。部屋の隅に作った仕事ようのスペースに鞄を持っていった。

 必要な書類、どれだっけ。

 広い机にしたつもりだが、机の周りにも机の上にもクリアファイルに入れた書類が無造作に積もっており、何が必要かわからない。確か、サインをもらう必要のある書類があったはずだが、あれは社用車の中に入れたままだったか。

 社用車の中も書類であふれている。

 テレビから聞こえる、週のスタートからいい天気が続きますという声が聞こえてきて、心の中のもやが増していく。

 なんか、疲れたな。少し休もうかな。

 テーブルに戻り、腕時計を付けてから、私は椅子に腰かけてネットニュースを一心不乱に見始めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ